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黒い夢と白い夢Ⅲ ――攻撃の科学――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第6章 街の闇 ――科学都市テクノシティ――
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第37話 パトラーは、将軍だと思う

 俺は二振りの剣で目の前のバトル=フィルドを斬り倒す。鮮血が飛び散り、俺の服や地面に飛び散る。

 正直、今でもクローンを見るのは苦手だ。1ヶ月前のシンシア支部での記憶が蘇る。コマンダー・ウォールやクローン兵に拷問された、あの時の記憶が……


「よぉ、トワイラル」

「……クディラスさん」


 俺の後ろからクディラスさんが現れる。彼の背後には打撃で破壊された軍用兵器が大量に転がっていた。彼もクェリア将軍やバシメア将軍、クリスト将軍と同じ四鬼将の1人。その強さは化物級だ。


「クェリア将軍は無事でしょうかね……?」


 俺はバトル=ベータを斬り倒しながら話す。いちいち、立ち止まっているヒマはない。


「さぁ…… アレは四鬼将“最弱”だからな」

「……本人に言ったら殺されますよ」

「ハハッ、間違いないな」


 そう言いながらクディラスさんは戦車に向かって飛ぶ。戦車に飛び乗るのではなく、戦車の側面に飛び込み、そこを思いっきり殴る。戦車は横から強烈な衝撃弾でも受けたかのように横倒しになり、何十体もの軍用兵器を押し潰しながら音を立てて転がって行く。


「さすが」

「まだまだ……!」


 そう言うとクディラスさんは1体のバトル=ガンマに近づく。バトル=ガンマもクディラス将軍に銃砲を向ける。だが、砲撃の前に彼はバトル=ガンマを横から蹴り飛ばす。やや体の大きなバトル=ガンマは、何十体もの黒き軍用兵器を巻き込んで遠くまで吹き飛ばす。


「もう少し慎重にやって欲しいかも」

「大丈夫だ。あの直線状には味方はいなかったハズだ」

「そうですか」


 俺はバトル=メシェディの首をハネながら言う。まぁ、クディラス将軍のことだから大丈夫か。彼は戦い方は激しいケド、意外と周りは見ている。


[攻撃セヨ!]

「…………!」


 俺の後ろから、白い装甲服で身体を守り、同色のヘルメットを被った半人間型の生物兵器が現れる。半人間と言うのは、腕はあっても、脚がないからだ。おまけに頭と胴体が一塊になっている。

 ゼリーモンスターのウォプルを改造したゼリー=アルファだ。横に細長いサングラスで目も覆っている。


「ゼリー=アルファか」


 俺は二振りの剣に魔法で電撃を纏わせ、ゼリー=アルファを斬りつける。ゼリー=アルファは爆発し、木端微塵になる。この生物兵器は水属性の魔物ウォプルをベースにした魔物。電撃には弱かった。


「ウォプルといえば、3ヶ月前、パトラーがフランツーシティでウォゴプルを倒していたな……」


 ウォゴプルはウォプル系モンスターの最上クラスだ。その大きさは何百メートルにもなる。その為、特殊なコア・シップで運搬しないといけなかった。


 かつて、俺は科学都市テクノシティから遥か遠くのプレリアシティでウォゴプルを見たことがある。丁度、クラスタと戦っていた頃だ。バトル=オーディンがウォゴプルを生成していた。

 そのウォゴプルは後にファンタジアシティでパトラーに倒された。彼女が1人でウォゴプルを運搬するコア・シップに乗り込み、コア・シップごと墜落させた。


 フランツーシティのウォゴプルは第2ウォゴプルだ。10ヶ月ほど前、封鎖区域テトラルで生成されたウォゴプルだった。

 それも倒したのはパトラーだった。フランツーシティで、ウォゴプルに突っ込み、コア・クリスタルを破壊して倒したらしい。


「……パトラーは、将軍だと思う」

「んん? どうした?」


 クディラス将軍が5台目の戦車を破壊し、戻ってきたところで俺は呟いた。その間にも集まってくる軍用兵器たちを相手に戦い続ける。


 ファンタジアシティ、封鎖区域テトラル、情報拠点コア・シップ、ビリオン・ポート本部、フランツーシティ、シンシア支部……

 パトラーは危険な戦場へ単独、もしくは少数で乗り込み、ずっと戦い続けてきた。クェリアや一部の元老院議員は彼女が将軍になったことを反対しているが、俺は賛成だ。


「ま、俺も認めているさ。クェリアは反対のようだが」

「クディラスさん……」


 クディラスさんはバトル=ベータを持ち上げ、それをそのまま空を飛ぶガンシップを目がけて勢いよく投げる。その軍用兵器はガンシップ操縦席の窓ガラスを砕き、中に突っ込む。ガンシップは割れた窓ガラスから煙を噴き、墜落する。


「パトラーは、四鬼将は無理そうですね」

「……たぶんな」

「彼女の師は四鬼将でしたね」

「フィルドか」

「…………」


 連合軍が使うクローン兵のオリジナルは昔、四鬼将だったフィルドさんだ。3年前に行方不明になった女性。ウワサによると、連合軍に捕えられているらしい。

 フィルドさんの後任としてクェリア将軍が将軍・四鬼将となった。彼女もフィルドさんと同じく剣をメインに使う。その強さはかつてのフィルドさんに匹敵するほどの実力らしい。……それでも、四鬼将最弱なのだから驚きだ。


「さて、もうすぐ正門だな。一番乗り出来そうだ」

「…………!」


 クディラスさんの指差す先にはテクノミア=エデン内部へと通じる大きな扉――正門が見えてきた。いよいよ、テクノミア=エデンだ……!

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