第36話 うっそ!?
【科学都市テクノシティ 中央市内 テクノミア=エデン正門付近】
私たちはグールや軍用兵器を倒しながら、やっと中央市内のテクノミア=エデン正門の近くへと辿り着いた。
ビルの影から正門の方を見ると、無数の黒き軍用兵器が配備されている。バトル=アルファ、バトル=ベータ、バトル=ガンマ、バトル=ベーゴマーはもちろん、シンシア支部やサラマシティで見たバトル=メシェディ、バトル=エアロ、バトル=サンダーといった軍用兵器まである。更に低空飛行戦車が何台も配備されている。
「テクノミア=エデンを囲む敵の総兵力は10万を超えそうだな」
あんなに囲まれていると、さすがに厳しい…… 数が多すぎて、黒い大軍となっている。こんなに軍用兵器が集まると不気味だ。
敵の上を見れば、黒いガンシップが何機も飛んでいる。ガンシップだけじゃない。バトル=スカイやバトル=デルタまで……
[リーグ中将、パトラー=オイジュスはすでにこの近くにいると思われます]
「…………!」
バトル=コマンダーが声をかける相手は連合軍のリーグだ。黒い装甲服に白いマントを羽織った男性。片手には大きな剣のような武器を持っている。ログリムやグレートと同じ連合軍・九騎の1人。
「リーグか…… 連合軍の名将の1人だな。わたしも何度か戦ったが、なかなか強い。本人だけの実力なら、バトル=オーディンを超える」
「そんなに……」
スロイディア将軍の言葉に私は不安を抱く。でも、ここで留まっているワケにはいかない……
その時、背後から爆音が鳴り響く。私たちは後ろを振り返る。また爆音が鳴り響く。それと同時に建物の角から、ピューリタンたちが飛び出してくる。
「ピューリタン!?」
「走れ! またアレが――!」
彼女が続きを言う前に、建物の角から何体ものバトル=フィルドが飛んでくる。シンシア支部で見たレーザー光線を撃って来る改造クローン兵!
私たちも慌ててその場から正門前広場に向かって飛び出す。……あっ!
[あ、リーグ中将、パトラー=オイジュスたちデス!]
「いたか……」
鋼のフェイス・ガードを被ったリーグがゆっくりと立ち上がる。何千もの軍用兵器たちもこっちを向く。
前にはテクノミア=エデンを取り囲む黒い軍用兵器の大軍。後ろからは赤い装甲服に身を纏ったバトル=フィルドたち。完全に挟み撃ちだ!
「強行突破しかないか……」
クディラス将軍がそう呟き、大軍に向かって走って行く。あの大軍を突っ切れるのか!? いや、テクノミア=エデンに行くにはそうするしかないのかも知れないのだけど。
クディラス将軍を先頭に、私やスロイディア将軍、ピューリタン、トワイラル、ミュート、クラスタも走って行く。
[うっそ!? リーグ中将、突っ込んで来ましたーッ!]
「ハッハッハ、勇ましき国際政府の軍人たちだな! だが、無謀だ。かかれ!」
リーグ中将の命令で、一斉に軍用兵器たちがこっちに向かって来る。私は、いや、私たちは物理シールドを張り、突っ込んでいく。
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
サブマシンガンを握り、襲い掛かってくる軍用兵器を相手にしていく。これだけ数が多いと、どこにを狙って撃っても、ほとんど確実に当たる。
ここまで数が多い敵を相手にしたのはビリオン・ポート本部以来だろうか? あのロボットの女王と称されたコメットが支配するビリオン・ポート本部のときも数が多かった。
[攻撃セヨ!]
「邪魔だっ!」
背後からアサルトライフルを片手に走り寄ってくるバトル=コマンダーに向けてサブマシンガンで発砲する。銃弾はバトル=コマンダーの額に当たって倒れた。
その間にも、私は次の敵を撃ち倒す。バトル=アルファ4体をまとめて撃ち倒す。更に近寄ってきたバトル=ベータ2体も一気に倒す。
でも、これじゃキリがないな…… 敵はまだまだ無数にいる。この調子じゃ朝が来ちゃう。
私は正門の方じゃなくて、戦車の方に向かう。周りのバトル=アルファやバトル=ベータを撃ち倒し、戦車に飛び乗る。蓋を開け、操縦していたバトル=メシェディを撃ち壊すと、その戦車の操縦席に座る。
「喰らえっ!」
私は敵軍に向かって砲弾を撃つ。爆音と共に何十体もの軍用兵器が吹き飛ぶ。次々と近くの軍用兵器たちを吹き飛ばしていく。
やがて私の乗った戦車を破壊しようと、1機のガンシップが近づいてくる。私は戦車の銃身をやや上方向を向かせ、砲弾を撃つ。砲弾はガンシップ正面に当たって爆発する。ガンシップは炎に包まれながら軍用兵器たちの真上に墜落する。
「よし!」
私は砲撃しながら戦車を進める。戦車を使えば、敵を倒す速度が格段に速くなる。敵を蹴散らしていると、誰かが戦車に飛び乗ってくる。
「パトラー将軍、小さな敵への狙撃は任せて!」
「ミュート!?」
視線を外に向けると、何体ものバトル=エアロが飛んできていた。バトル=エアロやバトル=サンダーは肩に付けられた小型ジェット機で空を飛べる軍用兵器だ。
ミュートは魔法アローを使って、近づきつつあるバトル=スカイやバトル=エアロを狙い撃ちにしていく。これは助かる。素早い小型軍用兵器を砲弾で狙うのは至難の技となるからだ。
「このままテクノミア=エデンまで行けるかな……?」
「……どうだろうね」
私は敵軍を見渡す。まだ戦車やガンシップは何十台もある。この戦車がいつ破壊されるか分からない。そこを考えると、簡単には行かないのかも知れない……




