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黒い夢と白い夢Ⅲ ――攻撃の科学――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第6章 街の闇 ――科学都市テクノシティ――
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第33話 数が多すぎるぞ?

 【科学都市テクノシティ 南部】


 私は目の前まで迫っていた大型グールを斬り倒す。普通のグールよりも二回り大きいグールだ。その体系はやや太く、生物兵器アサシンにも似ていた。灰色の爪を有し、それで獲物を引き裂いてから食す。普通のグールよりも知能があるのかも知れない。


「ピューリタン!」

「…………!」


 私ははっと後ろを振り向く。大型のグールが迫っていた。鋭い爪が、私を狙っていた。ああ、マズイ……!

 斬り裂かれそうになった瞬間、そのグールの胸に3本のアローが刺さる。更にその背後から、黒髪の青年――トワイラルが二振りの剣を使い、斬り倒す。


「大丈夫か!?」


 トワイラルが、剣を声をかけてくる。


「すまない、今のは危なかった」


 私は剣を握り、トワイラルの後ろに飛びながら言う。彼の背後にも、3体のグールが迫っていた。私は、そのグールの目の前までやってくると、剣を横に大きく振り、3体まとめて斬り倒す。

 そんな私の後ろでは、トワイラルが二振りの剣で他のグールを斬り倒す。ミュートがアローを放ち、大型グールを射倒す。


[攻撃セヨ!]

「…………!」


 私は近寄ってきたバトル=アルファの射撃を大きくジャンプして避ける。ミュートが遠くからそのバトル=アルファを射る。一方、私は、グールたちの目の前に着地し、剣を素早く振る。近くにいた4体のグールは簡単に倒れる。

 大型グールは物理・魔法共にやや強い力を持つ。耐久力もそこそこある。連合軍の軍用兵器で言えば、バトル=ガンマに匹敵するだろう。一方、小型のグールはそんなに強くない。耐久力も低い。バトル=ベータとほぼ同等。


「ピューリタン、これじゃきりがない!」

「ああ、確かに!」


 私たちは群がってくるグールたちを相手に、必死に戦う。だが、グールの数は、全く減らない。次々と市民がグールへと変わっていく。

 このグールの発生原因は何なのだろうか? パトラーやクラスタは無事だろうか? (スロイディア将軍とクディラス将軍は無事だろうが……)


「ここに留まっていても意味がない。テクノミア=エデンを目指して進もう!」


 私は、目の前で初老の男性から大型グールへと変異したモノを斬り倒しながら言う。テクノミア=エデンは無人の建物と聞いている。そこに行けば、グールと戦わなくて済むだろう。

 だが、まだテクノミア=エデンまでは遠い。この、グール予備軍含め、グールの巣窟と化した街の中心にまで行けるのだろうか?



◆◇◆



 【科学都市テクノシティ 東部市内】


 わたしは目の前でグールと変異したテクノシティ防衛兵を斬り殺す。白い装甲服に随所に青い塗装がされた装甲服。警備軍の兵士だ。彼はついさっきまでグールと戦っていたのだが、急にグールに変異した。

 一方、クディラスは武器も持たず、素手でグールを殴り倒している。さすが、四鬼将の1人と呼ばれるだけのことはある。


「スロイディア、数が多すぎるぞ?」

「ああ、人が次々と魔物に変わっていっているな」


 突然の動乱。普通の人間が、魔物へと変わっていく。……わたしとパトラーの調査で、首都におけるグール発生原因はウィルスによるものだった。ここのグール発生原因も恐らくは……

 それにしても、ナノテクノミアの狙いが分からないな。わたしたちの命を狙っているとは思えない。もし、わたしたちを狙うなら、都市防御システムだけで十分だ。無数のバトル=アルファやバトル=ベータを起動させ、集中攻撃すればいいだろうに……


「そらっ!」


 クディラスが超人的な速度で、無数のグールを蹴り、殴り倒している間にわたしは遠くのテクノミア=エデンを睨みながら、このグール事件の意図を考える。

 メディデントが発狂したか? いや、それは考えにくい。もし、仮にそうだとしても、優秀な人工知能テクノミアがそれを許すハズがない。

 ならば、人工知能テクノミアの反乱か? いや、それも考えにくい。もし、そうならば、バトル=アルファやバトル=ベータはなぜグールと戦っている?

 わたしは剣で数体のグールを斬り殺し、素早く警備コンピューターに近づく。近くにいたバトル=アルファ2体を斬り倒し、コンピューターに触れる。


[現在、テクノシティにて異常事態発生中。外部からのテクノミアへのアクセスは許可されていません]


 ……ダメか。データシステムもロックされている。そこはしっかりと人工知能テクノミアが守っているらしい。

 そんなことをしている内にクディラスがやってくる。彼が来た方向を見れば、無数のグールの死体が転がっていた。100体近い数の死体があるな。


「ひとまず、テクノミア=エデンに向かおう。ここでグールと戦っていてもキリがねぇ」

「ああ、そうだな。……ピューリタンやパトラーたちも心配だ」


 そう言い、わたしとクディラスは悲鳴と怒号、爆音と銃撃音が鳴り響く街路時へと入って行く。

 ……さっき、わたしはわざとクェリアの名を抜かした。彼女は無事だろう、という考えもあったが、なにより、……無事でなくても、構わない。あの殺戮魔は、色々と問題だ。

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