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黒い夢と白い夢Ⅲ ――攻撃の科学――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第6章 街の闇 ――科学都市テクノシティ――
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第32話 なんだコイツら!?

 偉大な科学は、人間に幸せをもたらした。


 安定した生活。


 保障された生命。


 約束された未来。


 人々は幸福の最中にあった。


 魔物に怯えたのはもはや過去の話。


 人間の偉大な科学によって、多くの脅威は消え去った


 ――ハズだった。



 人々を幸せにしてきた科学が人間の脅威となったあの日を、


 パトラーは永遠に忘れないだろう――












































 【科学都市テクノシティ 中央市内】


 雨が降り注ぐ科学都市テクノシティ。星ひとつ見えない真っ暗な空から落ちてくるのは冬の冷たい水ばかり。

 ナノテクノミアの支配する科学都市テクノシティ。都市の中心には、青色の光で美しくライトアップされた大きな円形のタワーが見える。ナノテクノミアの本拠地テクノミア=エデンだ。私はあそこに用があってここまで来た。


 先日、首都暗黒層で回収された例の機械。あの中にあったSウィルスは、私の予想通り、グリード=グールの発生原因だった。グリード=グールは、Sウィルスに感染した人の成れ果てだった。

 もし、あんな機械が、Sウィルスが世界中にばらまかれたら、世界はおしまいだ。そうなる前に、暴走するナノテクノミアを止めないと……


「こちら、パトラー。作戦は順調?」

[問題ない。もうすぐテクノミア=エデンに到着する]

「了解」


 腕に取りつけた小型通信装置に向かって私は小さな声で言う。

 今回の侵入作戦は、私とクラスタ、ピューリタンとミュートとトワイラル、クディラス将軍とスロイディア将軍、クェリアで行っていた。

 それぞれが別々の方向から科学都市テクノシティに密かに潜入し、テクノミア=エデンへと向かう。メディデントを拘束する予定だった。


「クラスタ、周りに異常は?」

「……ない。気づかれている様子もない」


 しっかりと被った黒いフードからチラリと顔を見せるクラスタ。この都市は連合政府の支配下にある都市だ。サラマシティの時のように連合の軍用兵器が監視を行っている。

 それにしても、科学都市なだけに都市そのものの科学技術も高いようだ。華やかな光を放つ店の景観は首都のそれと同じようだけど、都市防御システムの科学技術は首都よりも高いのかも。


「…………! パトラー!」

「……えっ?」


 急にクラスタが飛びかかって来て私を押し倒す。私は水たまりの出来ていた地面に倒れ込む。ク、クラスタ……!?


「うわぁっ!」

「え、えっ!?」

「なんだコイツら!?」

「魔物だ!」

「ひぃぃっ!」


 クラスタが私を押し倒したのと同時にそこら中から悲鳴と、首都で聞いたあの雄叫びが上がる。……私のいた所のすぐ近くに、硬化した白い皮膚を持つ人型の魔物がいた。鋭い牙に鋭く長い爪。体色は違うケド、グールだ!


「グリード=グール? いや、色が違うな。亜種型か?」


 クラスタが黒いフードを脱ぎ捨て、剣を引き抜くと、その白いグールを斬り殺す。だが、白のグールはすでにそこら中にいる。さっきまで1体もいなかったのに……!

 グールは人間の肉を食べる魔物だ。ここで発生したグールとて例外じゃないみたい。現に、一般市民に噛み付き、食い殺している。

 グールの呻き声。人々の悲鳴。グールを排除する為に戦闘を始めるバトル=アルファやバトル=ベータといった軍用兵器――


「いやぁッ!」

「痛い、痛いよぉ!」

「うわあぁッ!」


 ついさっきまで平和だった科学の都市は、惨劇の都市へと変貌する。食人という恐怖の狂乱が都市を覆う。サラマシティの時のような悲鳴と泣き声が私の耳に響く。

 アチコチに配備されていたバトル=アルファやバトル=ベータといった軍用兵器は、慌てて白いグールと戦闘を開始する。


[“Sウィルス-タイプ2”の過剰放出を確認。システム・エラー。外部よりのサイバー攻撃を確認。都市防御システムを起動。全部隊を出撃させ、鎮圧を開始スル]


 近くにあった円柱状の小型端末からの音声。……なんだか、首都グリードシティにあった巨大円柱に似ている。大きさは全然違うケド。

 タイプ2なんて言ってるところを考えると、首都のウィルスはタイプ1だったのだろうか? 首都の時と同様に、この円柱からウィルスを放出しているのだろうか?


「この機械、あっちにもある」

「……全部壊してるヒマはない」

「そもそも、壊せば中のウィルスが全部出てくるな」

「……そうだね」


 私はぎゅっと自分の剣――デュランダルを握り締める。ナノテクノミアは何がしたい? 仮にもテクノシティの市民は自分たちの市民じゃないか! ふざけるな!

 私の目線の遥か先には、騒ぎが起こっても微動だにしない円柱状のタワー。テクノミア=エデンの最上階で、メディデントはこの惨状に対して、何を考えているんだ?


「行こう、クラスタ」


 私とクラスタはその場から駆け出す。向かう先は変わらずテクノミア=エデン。でも、目的が変わった。私は――メディデントを許さない。

 この時、私は、いや、私たちは見られていることに気が付かなかった。冷たい機械が、私たちを監視していた。


[――――]

 【位置情報】


◆テクノミア=エデン

 ・メディデント


◆中央市内

 ・パトラー

 ・クラスタ


◆南部市内

 ・ピューリタン

 ・トワイラル

 ・ミュート


◆東部市内

 ・スロイディア

 ・クディラス


◆西部市内

 ・クェリア

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