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黒い夢と白い夢Ⅲ ――攻撃の科学――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第4章 心の妖 ――連合軍・シンシア支部――
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第23話 ナノテクノミアってなに?

 【シンシア支部 24階 監獄エリア】


 大きい“こま”だ。


「クラスタっ、アレ何!?」


 金属製をした黒色の駒。しかも、軸となる棒の先端が尖っている。でも、戦闘用だと分かるのは、軸と頭のトゲじゃない。駒の側面で、凄い速度で回転するギザギザ。――刃だ。


「……バトル=ベーゴマー。私が連合にいた頃はナノテクノミアが開発中だったハズだが……」


 駒の平面にあるバトル=アルファやバトル=ベータと同じ細い逆三角形をしたピンク色の目は、私たちの方をしっかりと見ていた。

 バトル=ベーゴマーは全部で3体。その内、1体の刃には血がべっとりと付着していた。ここに来るとき、道案内をさせていたクローンの首を斬り落とした時に付いた血だ。


「バトル=ベーゴマーは俊敏な動きをする軍用兵器……らしいから――」

[攻撃セヨ!]


 クラスタが言い終らぬ内にバトル=ベーゴマーは軸棒だけを回転させ、こっちに飛んでくる。そのスピードはそこそこ速い。確かに俊敏。

 私はデュランダルを引き抜く。間一髪のところでバトル=ベーゴマーの斬撃を防ぐ。大きな金属音が鳴り響き、火花が散る。衝撃がビリビリと腕にまで伝わる


「ナノテクノミアってサラマシティにいたバトル=エアロやバトル=サンダーを製造した組織じゃ……」

「彼らは科学技術を駆使し、次世代技術を生み出す組織!」


 クラスタの方にもバトル=ベーゴマーが飛ぶ。だが、同じタイミングで半透明の青紫色をしたアローがそのバトル=ベーゴマーを貫く。ミュートの放ったアローだ。


「大丈夫!?」

[破壊セヨ!]


 クラスタの心配をするミュートの方に別のバトル=ベーゴマーが飛ぶ。私はサブマシンガンでソイツを射撃する。銃弾を喰らったバトル=ベーゴマーは火花と煙を上げ、壁に叩き付けられる。

 だが、その私の方にもバトル=ベーゴマーが飛んでくる。血の付いた刃。クローン兵の首を斬り裂いたヤツだ!


「…………!」

[攻撃セヨ!]

「させるか!」


 素早くサブマシンガンの銃口を向けようとした時、クラスタが持っていた剣を引き抜き、投げる。剣は回転しながらバトル=ベーゴマーに刺さる。壊れたコマは、床に転がる。


「……ねぇ、ナノテクノミアってなに?」


 私はバトル=ベーゴマーに刺さった剣を引き抜くと、クラスタに返す。


「ナノテクノミアはメディデントを総帥リーダーとする企業だ。次世代技術の開発と研究をメインとする組織。かつて、財閥連合を支配した人工知能・オーロラもナノテクノミアが開発した」


 クラスタは剣を鞘に納めると、歩き出す。

 3年前、財閥連合は今よりも何十倍も大きな組織だった。今、連合政府を構成する大企業たちはかつて財閥連合傘下の組織だった。

 製薬会社「テトラル」、ロボット製造企業「ビリオン」、金融連盟「ギルティニア」、次世代科学技術開発企業「ナノテクノミア」、世界銀行「マネー・インフィニティ」、医療連盟「ヒーラーズ・グループ」。これらは連合政府を構成する組織にして、かつて財閥連合の傘下にあった組織だ。

 この六大企業の統括・支配を行っていたのが、財閥連合総督コマンドと人工知能オーロラ。でも、オーロラはフィルドさんが3年前に破壊。そして、財閥連合は分裂した。


「ナノテクノミアは科学都市テクノシティを拠点に活動している。あの情報拠点コア・シップを建造したのもナノテクノミア。間違いなく連合政府を支える大黒柱の1つだ」

「……1つ?」

「六大企業はどれも強大だが、ナノテクノミアはその中でもより強大だ」


 六大企業。確かにナノテクノミアは科学技術面でトップだ。もし、高度な戦術人工知能が開発され、実践に使われるようになったら……


「ろ、六大企業って言っても、もう3つしかないよねっ!?」


 話に全く付いていけてないミュートが言う。

 彼女の言う事も合ってる。製薬会社テトラル、ロボット製造企業ビリオンは私たちの攻撃で既に滅び去った。金融連盟ギルティニアは連合政府を裏切ろうとしていたケド、キャプテン・フィルドによって阻止され、組織は崩壊したらしい。

 今、残るのは次世代科学技術開発企業ナノテクノミア、世界銀行マネー・インフィニティ、医療連盟ヒーラーズ・グループだ。


「……残り3つとはいっても、アポカリプス大陸統治機構バトル・ラインもある。実質4つだ」


 バトル・ライン…… あのサラマシティにいたホフェットをリーダーとする国家組織。バトル・ラインはアヴァナプタとプロパネという七将軍2人を出している。

 六大企業+バトル・ラインで7つの組織が連合政府を支えている。その中で一番やっかいなのは……バトル・ラインかも知れない。


「戦争勃発以来、科学都市テクノシティはナノテクノミアの支配下にある。ここは首都にそう遠くない。バトル=エアロやバトル=ベーゴマーなんかも開発されつつある」

「……危険度は高いってこと?」


 ミュートの問いにクラスタは無言で頷く。


「あのバトル=オーディンを開発したのもナノテクノミア。連合政府の隠れた力持ちさ」


 そう言うと、クラスタは1つの扉の前に立つ。彼女は扉のよこにあるパネルを素早く操作する。たぶん、パスコードを入力しているんだと思う。

 クラスタの操作が終わると、扉が開く。部屋の中にいたのは1人の青年――トワイラルだ!

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