表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い夢と白い夢Ⅲ ――攻撃の科学――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 土の魔 ――傭兵都市サラマシティ――
13/49

第12話 人殺し? それは軍人の使命だろう?

 【サラマシティ 闘技場】


 白色のガンシップから緑色をベースに銀色のラインが入った装甲服を着た兵士たちが次々と降りてくる。クェリア率いる第12兵団の軍人たちだ。


「撃て、撃て、撃て!」

「1人も生かすな!」


 彼らは傭兵・市民の区別なく、次々と殺していく。逃げ惑う市民たち。その背に向かって放たれる銃弾――

 その時、蒼をベースに緑のラインが入った装甲服を着た1人の高位軍人の姿が目に入る。第12兵団を率いるクェリアだ! 彼女は長く細い長剣で座り込んだ少年を斬り殺そうとしていた。

 私はサブマシンガンを握り締め、走り出す。あの女、なにを考えているんだ……!


「クェリアっ!」

「…………」


 クェリアが黒い刃をした剣を振り降ろす。逃げようとした少年の背が斬られ、血が舞う。血が舞った同時に私はクェリアを後ろから押し倒し、その頭に銃口を押し付ける。


「お前、何をしている……!」

「生きていたのか、バカラー准将」

「お前たちの任務は何だ!? 人殺しか!?」


 私は彼女を無理やり仰向けにし、額に銃口を当てる。今ここで発砲すれば、この女は死ぬだろう。だが、それにも関わらず彼女は涼しい顔をしていた。


「人殺し? それは軍人の使命だろう?」

「違う! 私たちの使命は人を守る事だ!」

「国を守るのが軍人だ。――勘違いしているな。私は敵を殺してるだけだ」

「…………!?」

「連合政府の市民は、国際政府の敵。殺して何が悪い?」


 その瞬間、クェリアは勢いよくサブマシンガンが握られた私の手を掴み、銃口の標準をずらす。いきなりのことで、私はつい発砲してしまう。銃弾はクェリアの右頬をかする。

 彼女は私の腹部を強く蹴り、そのまま地面に叩き伏せさせられる。私は激しく咳き込む。その喉に少年の血が付いた剣をそっと当てる。


「クディラスも、お前の父親も、マグフェルトも、甘すぎる。所詮は力だけが正義。勝てば正義だ」


 そう言うと、クェリアはその場から立ち去ろうとする。だが、すぐに脚を止める。さっきまでの落ち着いた表情が消え、強敵を見るかのような険しい表情に変わる。

 彼女の目線の先を私も見る。そこにいたのは、――


「――フィルド閣下?」


 土の地面に座り込み、呆然とするケイレイト。彼女の目の前にいる1人の女性。赤茶色の髪の毛に、同色の瞳をした女性。あの人は、フィルドさん……!?


「……フィルド……? なんで……?」


 ケイレイトは震えながら、フィルドさんを見ていた。――どこか、その瞳には疑問のような感情もあった。なぜ、フィルドさんがここにいるのか、ワケが分からなさそうだった。

 フィルドさんはケイレイトのことを無視して、私たちの方に歩み寄ってくる。クロノスを殺した張本人が……


「フィルド閣下、あなたは今までどこに……?」


 クェリアが不思議そうに声をかける。だが、フィルドさんは無言で歩み寄ってくる。何ともいえない不気味さが、そこにあった。

 やがて、彼女は途中で歩みを止め、ニヤリと笑みを浮かべる。その瞬間、手をクェリアに向かってかざす。クロノスを殺した時と同じ――


「…………!」


 クェリアは間一髪で飛んできた超能力を剣で防ぐ。大きな金属音が鳴り響いた。放たれてから超能力が届くまでには一瞬の間がある。その間でクェリアは防御態勢に入ったんだ……!

 防がれた超能力。フィルドさんは表情を強張らせる。だが、すぐに超能力を何発も飛ばし、クェリアを殺そうとする。


「フフッ、面白い能力をお持ちじゃないですか、フィルド閣下!」


 次々と飛んでくる超能力を剣で弾きながら、避けながら、受け流しながら、クェリアは素早い動きでフィルドさんに近寄って行く。白銀の髪の毛を風になびかせながら、優雅な動きで迫る。

 クェリアが剣を大きく振りかぶり、フィルドさんを斬ろうとする。だが、それは上手くいかなかった。フィルドさんは大きく後ろにジャンプし、斬撃を避ける。


「ほう……」


 後ろに着地したフィルドさんは白色の魔法弾――衝撃弾を連射する。それらはクェリアのすぐ近くで激しく爆発する。彼女の姿は衝撃弾と砂煙で見えなくなる。

 だが、クェリアはそれを上手く利用した。煙の中から一筋の電撃が飛ぶ。それはフィルドさんの胸に当たり彼女の身体は壁に叩き付けられる。


「ガ、ハッ――!」


 壁に叩き付けられ、地面に倒れ込んだフィルドさん。彼女は咳き込みながら血を吐きだす。

 そんな彼女に勢いよく近づく黒の長剣を握った蒼の影。――クェリアは、死と敗北の恐怖を感じ、逃げ出すフィルドさんの左腕を斬り落とす。


「グッ……!」

「フィルドさん!」


 クェリアは、血を撒き散らしながら地面に倒れたフィルドさんに鮮血の付いた剣を向ける。フィルドさんは震えていた。


「い、イヤだ、死にたくない……! ごめんなさいっ! 許して!」

「……私の任務は敵を滅ぼすことだ。――殺す事だ」

「ごめんなさい、ごめんなさいっ! 死にたくない! いやだぁっ!」


 泣き叫ぶフィルドさんを鼻で笑うと、クェリアは両手で長剣を握り、大きく振りかぶって――


「いやぁっ! 死にたくないよぉっ!」


 泣き叫ぶフィルドさん。彼女の声が消えるとと共にたくさんの血が舞う。真っ赤な血が土色の地面を染めていく。その血はクェリアの蒼い装甲服にも飛び散る。

 頭から胸まで斬り裂かれたフィルドさん。クェリアは更に彼女の右腕を斬り、血のまとわりつく灰色の布を破り捨てる。腕には“SFT-519136”と刻まれていた。


「SFT…… やはり人造の人形か」


 そう言うと、興味なさそうに腕を後ろに投げ捨てる。それは血を飛び散らせながら、ケイレイトと私のすぐ側に落ちて来る。


「ケイレイト、SFTって……なに?」


 私は震える手で血と土のついた腕を拾い上げ、側で震えるケイレイトに聞く。


「スーパー・フィルド=トルーパー…… フィルドをベースにして生み出されたクローン兵士。あの子、クローンだったんだ……」


 ケイレイトは死んだクローン兵を見つめ、悲しそうな表情を浮かべながら言う。

 もしかして、フランツーシティで見たフィルドさんもクローン……? 何の確証もないケド……

 【フィルド・クローン部隊】


◆概要

 フィルドのクローンによって構成された連合政府の部隊。能力に応じて「SFT」や「NFT」や「DFT」のコードとナンバーが与えられる。

 SFTは超能力と魔法が使えるクローン。NFTは魔法のみが使えるクローン。DFTは超能力も魔法も使えないクローン。

 最近は兵員不足とクローンの地位向上で、本来なら廃棄処分(殺処分)とされる能力の低いクローンも部隊に組み込まれるようになった。



◆キャプテン(クローン・リーダー)

 キャプテンの称号は、総合能力で最も優れたクローンに与えられる。連合七将軍として70万人のクローンで構成された兵団を率いる。

 現在のキャプテンはヒュノプス(通称キャプテン・フィルド)。



◆コマンダー(クローン将校)

 戦いにおいてクローン師団(=1万5360名で構成)を率いる地位にいるクローン。「大佐」・「准将」・「少将」・「中将」に匹敵。主なメンバーは以下の通り。


◇ヒュノプスの兵団所属(合計45名)

 コマンダー・クナ

 コマンダー・フィルスト

 コマンダー・レス

 コマンダー・アース

 コマンダー・ネイア

 コマンダー・ファイス   など


◇バトル=オーディンの兵団所属(合計2名)

 コマンダー・ライカ

 コマンダー・ウォール


◇ケイレイトの兵団所属(合計6名)

 コマンダー・レク など

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ