歴史若道書き、かく語りき (2)
それから、これは完全に生産する側の話になるけれど、フェミニストだアンチだといった事とは関わりなく、自分を登場人物に感情移入して様々に考えるタイプの女性もいる。――あ、前も言ったけれど、腐男子の方々にとってBLはただの恋愛小説だからね? 全く不思議はないのでこの際無視。まあともかくこういった事をする女性がいる。BLから離れたとはいえ私自身がそうで、このジャンルの草分け的存在の故・栗本薫氏もそうらしいのだが……ううっ、あまりにも早過ぎる旅立ちでした、先生。小説道場でびしばししごいて欲しかったです……。
涙を拭って話を戻そう。蒼樹の場合、明るく気丈に(本人主観)振舞っていても、ふと甘えたい時がある。現実の人間ではその人にも感情ってものがあるから自分の思う通りの反応をしてくれるなんてまずないだろう。そして何より、蒼樹自身がめそめそうじうじして相手の気分を害し、愛する人の貴重な時間を奪い、体力を奪って仕事に支障が出る、ひいてはゼニが入ってこないなんて事は謹んでお断りする。……すみません、調子に乗り過ぎました。ただただ愛する人の負担になりたくないんです。重荷になるなら捨てていけ。君の自由に羽ばたく姿が見たい。
ごほん。まあ不必要にプライドが高いのだろうが、ともかく感情を持った存在に頼りかかる事をしたくないのだ。
ではなぜそれが男性といった「依代」が必要になるのか、という疑問にはこう答えよう。「自立した存在」であるはずの「男」の目線に立って、パートナーと同じ風景を見たいから。幻想だって事はよおく分かっているけれど、そういった理想化をするにはもってこいなんだよね、オトコっていう生き物同士は。ただし、これは男尊女卑といった事とはまるで関係ない。と思っている。同性であるが故の共感や理解は確かにある。だからと言って私がビアンにならなかったのは恐らく資質プラス環境によるものだと思う。あまりに女の中にいすぎて、特有の欠点を嫌というほど見ているからであろうな。なにせしょーがっこーからこーこーまで女子校、それもお堅い旧態依然とした化石せんせ……いや失言失言。結構そんな雰囲気は好きで、模範生してたのよ? だから見逃せっ。まあ要するに私の作品の恋愛は作者のいわば理想であり、幻想なのである。
(また続く)
(3)へ。