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地獄に堕ちた公爵令嬢〜裏切りと婚約破棄の復讐につき、あなたを殺します〜  作者: 久方久米


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第9話『強襲』


 ──何だか、組織内が慌ただしい。


 「帰ったわよヴァル」


 司令室にヴァルの姿は無かった。


 見回りかなぁ……。


 空気が重いのはなぜなんだろう。


 せっかくヒーラーのルミナスを連れて来た。


 早く報告をしたいところ。


 後回しにしようか……。


 そんな時──。


 「アリス大変だぜ!」


 ヴァルが血相を変えて現れた。


 「なにがあったの!?」


 「何もクソもねぇ。バカマリアが攻め込んで来やがった」


 「嘘……なんでこのタイミングよ……」


 予定よりも早い進軍だった。


 一月先のはずだったのに……。


 まだ対策だって出来ていない。


 ヴァルが焦るのも分かる。


 弱小とはいえ、目障りなんだろう。


 そんな連中は、さっさと潰してしまおうって魂胆か。


 「──敵軍の規模は?」


 「天はまだ味方してくれているみたいだぜ」


 そうか、小隊で来たか。


 雑魚相手だからわざわざ中隊を出すまでもない。


 そうなんでしょうマリア。


 こちらとしては、願ったり叶ったりよ。


 むしろ、舐めてくれていた方が助かる。


 その甘えが命取りだと分からせてやるわ。


 強襲をかけてきたのは見事だ。


 弱っている相手を叩くのは戦いのセオリー。


 ただし──。


 簡単に負けてなんてやらない。


 タンクがいないのはマズいかもしれないけど……。


 今はヒーラーがいる。


 少し不利なぐらい、私がどうにかしてみせる。


 「このまま攻めるわよ」


 「正気かアリス……ってか、その子供なんだよ」


 「ヒーラーのルミナス。ど……どうかしら……」


 「バカ言うな。ガキを戦場に出せる訳ないだろ!」


 それは、ごもっともですけどね。


 私だって引けないんだ。


 だけど、嫌とは言わせない。


 結局のところ攻めなきゃならない。


 やらなきゃ潰されるのは、私たちだ。


 「おいガキ、何が出来るんだ」


 「えぇーと……簡単な回復魔法なら……」


 「そんなこと分かってんだよ。種類の話しだ」


 「中回復魔法と自動回復魔法です……」


 「はぁ──!?お前までバカ言ってんじゃねーぞ」


 凄腕とは程遠い、ごく普通の魔法使いらしい。


 ごめんよヴァル。


 私にはルミナスを引っ張てくるだけでも精一杯なんだ。


 実力不足を呪いたい……。


 「自動回復魔法なんて聞いたことないぜ!」


 「……どういうことよ」


 「そんな魔法……扱えるやつなんていない!」


 訳が分からなくなった。


 扱えないだって?


 だけど、確かにルミナスは扱えると言っていた。


 当たり前のような魔法ではないのか。


 魔法には無縁の私。


 詳しくないが故に、それがどう凄いのか。


 「どこで捕まえてきたんだこの小僧……」


 「どこでって言われてもねぇ……」


 「最高峰の魔術師にだって扱えない魔法なんだぜ」


 「──それを早く言いなさいよ!」


 掘り出しものだったみたいだ。


 ──回復術師ルミナス。


 天才魔法使いの類いであった。


 もしかして、私はいつかなる大物をスカウトしたのか。


 「おい小僧、自動回復魔法の効果範囲は?」


 「……設定したらどこまでも」


 「こいつは……トンだバケモンだ」


 ルミナスをパーティ追放したやつらが可哀想だな。


 こんな逸材を手放してしまうなんて。


 返してと言われても返してやるものか!


 戦力のない私たちにおいて、まさに宝そのもの。


 これならあのマリアの軍にも対抗出来る。


 ルミナスの言う通り、効果範囲は無制限。


 回復量はよく分かってはいない。


 自動回復は回復量が少ないって話しだったけど。


 冒険者を一瞬で回復させてきたんだ。


 戦いに有利になるほどの回復量に違いない。


 「ごめんちょっと喋り過ぎた」


 「気持ちは分かるわよ。私も驚いてるから」


 「どうすんだ我が女王。戦うかあの軍と」


 「こうなったら行くしかない!」


 別にルーカスだって止めはしないだろう。


 さっきからずっとニヤけているばかり。


 初陣を飾るには、まさにベストタイミング。


 殺せるだろうか。


 私にマリアを……。


 弱気になるな私。


 今の私には仲間がいる。


 戦うしかない。


 マリアの軍なんか皆殺しだ。


 小隊を潰しさえすれば、マリアの戦力はガタ落ちのはず。


 再編成する余裕なんてなくなる。


 その隙にこちらも戦力を整える。


 そう出来たなら──。


 次は中隊だな。


 道筋は決まった。


 やれることは全力でやり切ろう。


 「──作戦通達。project Alice始動!」


 「まぁやるしかねぇよな。一丁やってやるぜ」


 作戦を組み立てた。


 敵兵の足止めの為、簡易な罠を設置。


 こちらの兵を束ねて、敵兵へ衝突。


 ルミナスの回復魔法を貰いながら敵兵を殲滅。


 残る小隊長は、ヴァルに任せることにした。


 単騎撃破の得意なヴァルには、うってつけの仕事だ。


 期待を裏切らない働きぶりをしてくれるだろう。


 最後に私だ。


 ここが一番の不安材料になる。


 手薄になったマリアと戦闘。


 そこで仕留める。


 義足の私がどこまでやれるのか。


 マリアは名の知れた魔法使いの一人でもある。


 通用するかな……。


 そればかりは、戦ってみないと分からない。


 「おい小僧、名前は何だ」


 「ルミナスです」


 「そうかルミナス。お前に言わなきゃならんことがある」


 「……なんでしょうか」


 「俺らの仲間を誰一人殺すなよ」


 「ボクは回復術師ですよ。プライドに賭けて守ります」


 「──そうか。良い覚悟だな」


 ──戦争が始まった。


 数十の兵とルミナスは出陣する。


 「行ってきますアリス様」


 「成果を期待するわ」


 「任せてください。ボクもproject Aliceの一員です」


 あまり言葉をかけてあげられる時間はなかった。


 だけど……ルミナスたちなら大丈夫だ。


 上手くやってくれる。


 「俺も行ってくるぜ」


 「ヴァル……気をつけてね」


 「誰に言ってんだよ」


 「凄く疑問なんだけど」


 「何だよこんな時に」


 「どうやって小隊長を倒すの?」


 「気合いだ」


 「……嘘よ。相手は魔法を使うのよ?」


 「魔法なんて要らないってことを教えてやるよ」


 ヴァルも出陣した。


 魔法が要らないってどういうことよ。


 剣一つでどうにかなるような相手じゃない。


 それは、ヴァルにだって分かっているはず。


 簡単に勝ってくるような言い方だった。


 思えばこれまでは、小隊長と戦うまでに至らない。


 それほどの敗戦状況だったんだ。


 ヴァルは本当の実力を出し切れていなかった。


 そう解釈も取れる。


 信頼するわよヴァル。


 後は私がどうにかする。


 みんなの頑張りは無駄にしない。


 「さてっ、行きますか」


 「僕もついて行くよ」


 「来なくていいわ」


 「僕にはアリスの復讐を見届ける義務がある」


 「だと思った。断ってもルーカスはしつこいものね」


 「そうだね。僕は執念深いのさ」


 私も出陣しよう。


 後悔だけは残したくない。


 マリアにあったらなんて言うべきかな。


 素直に殺しに来たと言うか。


 遂に因縁の相手に会うのかと思うと心が熱くなる。


 この高鳴りは──。


 この鼓動は──。


 私は喜んでいるのか。


 こんな極限の戦争なのにね。


 裏切ったツケは、しっかりと払ってもらう。


 戦場に連れて行って私の脚。


 もう二度と走れないと思ってた。


 これからが正念場なんだ。


 意地でもこの戦争に勝つ。


 マリアも殺す。


 次なる中隊も殲滅してやる。


 最後には、国王の首元に喰らいついてやる。


 最後に笑うのは私たちだ。


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