表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄に堕ちた公爵令嬢〜裏切りと婚約破棄の復讐につき、あなたを殺します〜  作者: 久方久米


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/20

第17話『再会』


 もう小隊長は死んだ。


 今のところ、戦線はルミナスが繋ぎ止めてくれている。


 今が絶好の好機。


 残す関門はあと一つなんだ。


 この先にマリアはいる。


 これからは、誰の邪魔も入らない。


 殺し合いには、相応しいタイミングだ。


 ガードナーのやつ……。


 ルミナスに迷惑をかけてなきゃ良いけど……。


 要らない心配だったのかもね。


 敵陣の門の前までやってきた。


 緊張してきたな。


 なんだこの空気の圧迫感は……。


 マリアは、それほどの狂気を孕んでいるんだ。


 「アリスらしくないね」


 「この震えのことかしら」


 「緊張しているのかい?」


 「……抑えられない怒りに震えているだけよ」


 「本当にそうだと良いけどね」


 「何よその含みのある言い方」


 「油断するなよ。マリアは手強い」


 「分かっているわ」


 ルーカスが忠告するなんて珍しい。


 マリアが強敵であることなんて知っている。


 ヴァルが繋いでくれたバトンは絶対に落とせない。


 さぁ、勝負をしましょう。


 私の復讐とマリアの悪意。


 執念と意地のぶつかり合いを──。


 ヴァルとルーカスに敵陣の城門を開いて貰った。


 姿を現しなさい。


 私の宿敵──。


 裏切りのマリア──。


 突入してすぐのこと。


 宿敵と私は対峙した。


 「なぜあなたがこんなところに……!?」


 「ご機嫌ようマリア。顔色が悪いんじゃない?」


 「アリス……どうして生きているの?」


 「──地獄の底から這い上がってきたのよ」


 「信じ……られないわ……」


 「なんで戻って来たか分かるわね?」


 「たかが、アビスに堕としただけじゃない」


 「たかが……ですって!?」


 ──実に半年振りの再会。


 マリア……募る話しは山ほどあるのよ。


 自分がやった行いに悪びれる様子もない。


 酷いことをしたって自覚がないんだ。


 この女……どこまでも腐っている。


 期待するだけ可笑しなものよね。


 多少は人の心でもあるのかと思ってた。


 私が間違いだったんだ。


 マリアには、何を言っても無駄だ。


 自分より立場の低い者には容赦がない。


 ゴミを見るような……その冷たい視線。


 平気で人を裏切り、命を奪う。


 ──この女は外道だ。


 絶対に殺す。


 殺しておかないと、また私の様な犠牲者が増える。


 それだけは、ダメなのよ。


 復讐者は、私一人だけでいい。


 他の誰かが復讐に命を燃やすなんてことはさせない。


 私が全部……背負ってあげるから。


 「この際だからハッキリと言っておくわ」


 私の覚悟とその決意。


 身をもってしれ。


 私はあなたを──。


 「──殺しに来たわ」


 「本当に……ふざけたゴミ虫よね」


 何やらマリアが焦っていた。


 ガゼルの時もそうだ。


 ──死人が蘇った。


 そういう認識にもなる。


 事実、そうなんだけどね。


 地獄に落ちた私。


 黄泉を彷徨い生還した。


 復讐を糧に生き永らえる亡霊。


 そんな者に出会したら……。


 ここは、戦場だ。


 場所が場所だけに、正気でいられないはず。


 往生際の悪い女だ。


 「我が国の軍を殲滅させたのはアリスだったのね」


 「……殲滅ですって!?」


 「小隊が全滅したのよ。どんな小細工を使ったの?」


 「さぁ、私には分からないわね」


 ──これは、朗報だ。


 ルミナスが戦い抜いた。


 圧倒的な戦果。


 これで、マリアの軍は崩壊。


 増援の見込みも薄い状況。


 それでいて、私の手の内も何も知らないんだ。


 攻撃力不足を懸念していたんだけど……。


 奇跡が起こった。


 実際のところ。


 私だってどう殲滅したかは知りはしない。


 ルミナスが頑張ってくれた。


 そう思うことにしておこう。


 「マリアの軍が弱かったんじゃない?」


 「……何ですって!?」


 「たたが、三十人の軍すら倒せないのはなぜかしら」


 「安い挑発なんかしちゃって……」


 「無能と決めつけた者に下剋上される気分はどう?」


 「まぁ……いいわ。弱い軍は要らないもの」


 「開き直るのかしら」


 「あんなのただの捨て駒よ。替えはいくらでもいる」


 「やっぱり、マリアは狂ってるわ」


 「そうかしら。当たり前のことだと思うけど」


 マリアは中隊を用意していない。


 今から呼んだって間に合わないだろう。


 でも、何故なんだ。


 なんでそんなに平然として居られる。


 よほどの自信の表れか。


 あるいは、無策のバカなのか。


 あのマリアが無策……なんてことはない。


 何かがある──。


 そう思っていた方が自然だろう。


 何を隠しているんだマリア。


 さっきの焦りは、どこに消えたのよ。

 

 「──ガゼルを殺したのはアリスだったりするの?」


 「そうよ、良い死に様だったでしょう」


 やっぱり国で問題になっていたらしい。

 

 国王の娘の婚約者。


 その男が無惨にも暗殺されていた。


 誰の犯行か分からないままね。


 私は簡単に自白する。


 いつまでも認知されないのは、私だって困ってしまう。


 次はお前だ──。


 その認識を持ってもらいたいってのもある。


 私が復讐者だ。


 死に怯えて震えてるがいい。


 私が全てを殺す。


 ただ素直に白状したのではない。


 これは私なりの宣誓。


 誓いに他ならない。


 「結局は人殺しアリスなのね」


 「マリアも人殺しでしょ。お互い様よ」


 「私は違うわ」


 「……不思議なことを言うのね」


 「だって兵士や貧民は人間じゃないのだから」


 「マリア……あなたそれ正気で言っているの」


 「下等生物は死んで当然よ」


 「……あんたってやつは……」


 どこで狂ってしまったのよ。


 人間に上も下もない。


 皆が平等であり、懸命に生きているんだ。


 私も貧民街の暮らしを見てきた。


 あなたたちが奪ったのよ。


 生きる者たちの権利を──。


 故郷に生きる者の街を──。


 生きるために必要な資源を──。


 なんで笑ってそんなことが言えるんだ。


 ふざけるなよマリア。


 あなたたち国が人を殺すんじゃないか。


 魔法が使えない者は殺します。


 貴族でない者は殺します。


 貧乏な者は殺します。


 その先に何がある。


 酷い争いを生むだけじゃないか。


 だから反乱軍が創設されたんだろ。


 勝ち目がなくても、生存のために。


 許してなるものか。


 見過ごしてなるものか。


 私にも復讐以外で戦う目的が出来た。


 もう貧民街を国の犠牲にはしてはいけない。


 ──これは私の人生を賭けた反逆だ。


 「おいアリス……もう我慢ならねぇぜ」


 「言ったでしょヴァル。手出しは無用よ」


 「やっぱりマリアは狂ってる。大丈夫なのか!?」


 「大丈夫よ。必ず勝つから」


 「負けそうになったら引きずってでも撤退するからな」


 「その時は……お願いするわ」


 言いたいことは全て言った。


 ここからが最終決戦である。


 ヴァルの怒りも伝わってきた。


 あれだけ、コケにしたらそりゃそうか。


 思い知らせてあげる。


 弱者は時として、強者をも超える力があることを。


 ルーカスにも下がるよう説得した。


 「僕はサポートだと言ったはずだ」


 「ルーカスの手を借りる訳にはいかない!」


 「手を貸す訳ないだろ。僕は傍観者だからね」


 「ずっと屁理屈を言いっぱなしね」


 「……構えろアリス。魔法が来るぞ!」


 別に何かをしてくれる訳じゃない。


 でもなぜだろう。


 なぜだか安心してしまうんだ。


 ルーカスが隣にいてくれる。


 たったそれだけのことなのにね。


 自然と私はルーカスの手を握っていた。

 


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、『ブックマーク』と下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!


※感想、レビュー等、お気軽にお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↑の☆☆☆☆☆を押して頂けると執筆の励みになります!!! 応援のほどよろしくお願いします。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ