Trick or Treat !《ベルナルド×シオン》
※もしもこの世界にハロウィンがあったら?という短い小話です。
※全3話(キャラ別)を同日アップしています。それぞれ独立したお話になっています。
※この話は《ベルナルド×シオン》編です。
「Trick or Treat?」
「……は?」
昼下がりの甲板。
日陰になっている場所に腰掛け、本を読んでいたシオンに、突然声がかかった。
見上げれば、楽しそうに笑うベルナルドの姿がある。
「あれ、知らない? ハロウィンの決まり文句だよ」
「知ってるけど。突然すぎて驚いただけよ」
「それで、お菓子は持ってる?」
問いかけてくるベルナルドに、シオンは顔を顰めた。
「あるわけないでしょ」
「じゃあ、いたずらだね」
言うが早いか、彼は身を屈め、シオンの首筋に顔を寄せる。
肌に触れた生ぬるい感触に、思わず体が震えた。
「ち、ちょっと! 何してるの!?」
「何って、いたずら」
悪びれもせず答えるベルナルドの肩を、シオンは思い切り押し返す。
びくともしなかったが、その動きを受けてベルナルドは一度身体を離した。
「ハロウィンにお菓子用意してないと、こうなるってこと」
「一方的すぎるのよ!」
「じゃあ、許可取ればいいのかな」
逃げ場を探すように視線を泳がせるシオン。
焦る彼女に再び顔を近づけ、頬に手を添えて囁いた。
「——どこまでなら、していい?」
やたらと甘いその響きに、シオンの顔が一気に紅潮する。
しばらく言葉を失っていたが、一度呼吸を整えると、勢いよく立ち上がった。
「お菓子、用意してくるから!」
それだけ言い残し、船室へと走っていってしまう。
その背中を見送りながら、ベルナルドは思った。
(……結構、悩んでたな。『どこまで』許可するか)
結局結論が出せず、お菓子を持ってくるという考えに至ったようだが。
頭の中でぐるぐる考えていたのだろうと思うと、自然と笑いが込み上げてくる。
「可愛すぎ。……これだから、やめられないんだよねぇ」
空を見上げて呟くと、少し涼しくなった風が髪を揺らした。
どんな顔でお菓子を持ってくるのかと思うと、それすらも楽しみだった。
お読みいただきありがとうございます!
次は《ノクス×シオン》編となります。
IFの世界線なので、本編とは異なる関係性を描いています。




