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優秀な落ちこぼれたち

王弟宅にいた老執事の独白になります。短めです。

アリウス殿下の立太子の礼は、つつがなく行われた。

王弟殿下も陰ながらその場を支え、私もその手伝いに奔走している。


それにしても、立派になったものだ。

殿下も、その後ろに控えるシュゼル様も。

国民の前に立つその姿を見て、心から思う。


(帝国行きの王命がなければ——ノクス様も、あの場にいたのだろう)


今、殿下の傍にはシュゼル様の他に、見習いの従者がいる。

黒を基調とした服を纏う少女に、ノクス様の姿を重ねた。


しかしノクス様は今、皇帝の側近としてかなり優秀な働きをしていると聞く。

皆、かつて落ちこぼれと呼ばれていた頃からは、考えられない姿だ。




——いや、違う。




彼らは、昔から優秀だった。

優秀な、「落ちこぼれ」だったのだ。






ーーーーーーーーーーーーーーー






【アリウス・リュミエル・アルナゼル王太子殿下】

後ろ盾のない第二王妃の御子息として生まれた第三王子。

十歳を超えても王の資格である「響術」に目覚めないことから、落ちこぼれの烙印を押されていた。


しかし、彼は行動力と決断力、そして優れた記憶力を持っている。

さらに民を思いやる優しい心の持ち主で、人の上に立つに相応しいカリスマ性もある。

今は響術も扱えるようになったらしく、王太子に相応しい者として誰も疑う余地がない。




【シュゼル・アストリアン様】

魔術師の名門であるアストリアン公爵家の嫡男でありながら、魔力量も適性も少なく蔑まれた。

この身分で従者という立場についたことも、周囲から奇異の目で見られていた。


「家の思惑によるもの」と囁く声もあったが、真実がどうであれ、彼の忠誠は本物だった。


美しすぎる容姿に注目が集まりやすいが、剣術の才能は群を抜いており、今やその実力は騎士団長をも凌ぐ。

さらに頭の回転が非常に早く、政略・戦略家としても優秀だ。




【ノクス・セルティス・アルナゼル様】

……いや。

帝国で新たな姓を授けられ、今は「ノクス・グラシエル」と名乗っているらしい。

髪と瞳の色から不義の子と疑われ、光の血筋でありながら闇の力を持っていたことで迫害を受けてきた。

ある時期を境に増えた粗暴な振る舞いも、彼の扱いに拍車をかけたのだろう。


だが——あれほど魔術に秀でたお方を、私は他に知らない。


幼い頃から魔力の扱いに長けていて、高等魔術であってもわずかな期間で習得してしまうほどだった。

先日は魔術師団長を一方的に沈めるほどの才覚を示したという。

今ではあのグレイシャ帝国の皇帝陛下に認められるほどの実力者だ。






ーーーーーーーーーーーーーーー






彼らは偏見によって「落ちこぼれ」と呼ばれていただけで、本来は最初から優秀だったのだ。

中枢にもっと理解者や支持者がいれば、あのような扱いにはならなかっただろう。


もちろん、今でも偏見は残っている。

第一王子派や第二王子派は表立っては動かなくなったものの、完全に消えたわけではない。

彼らの味方と言えない人間が、まだ多くいることは事実。


王弟殿下は、それらの動きに目を光らせている。

アリウス殿下を支えたいと言ったその言葉を、実行するように。


——本当は、ノクス様とも和解したかったのだろうけれど。


何も言わずに、また帝国へと去っていった彼に、交流の意志がないことがわかってしまった。

……もっとも、彼自身にとっては「帰った」のだろう。

あの氷の地こそ、今のあの方の居場所なのだから。


だから我が主は今、ご自身のやるべきことに集中している。

ノクス様が信頼していたアリウス殿下を支えることが、彼のためにもなると信じて……。



執事はノクスが闇の力を持っていると思ったままです。

本当は光ではないかというのはアリウスの推測の域であり、更にその話を知るのは王弟の部屋にいたごく限られた者たちだけだからです。

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