【おまけ】俺が教えてあげようか?
少し甘め。短いです。
シオンは甲板に座り込んだまま、しばらく動けなかった。
答えは結局わからないまま、聞けば聞くほど余計に混乱していく。
そんな彼女に、背後から影が差す。
「何を聞き回ってんのかな、ほんとに」
その声にシオンは肩を震わせ、咄嗟に振り返った。
「な、何でここにいるのよ!?」
「シオンを探してただけ。あれだけ騒いでれば気づくって」
ベルナルドはシオンの前にしゃがみ、顔を覗き込む。
シオンは思わず身体を引いたが、逃げられる距離ではなかった。
「駄目だよ、男に変なこと聞き回ったら。何かされてからじゃ遅いんだから」
「何かって……だから、何なのよ」
それがわからなくて聞いていたのに、ますます混乱する。
「そんなに知りたいなら、俺が教えてあげようか? ……順番に、全部」
顔を近づけるベルナルドを、シオンは両手で押し返す。
完全に下を向いているが、髪の隙間から覗く耳が赤く染まっているのが分かった。
「……それは無理」
「何で?」
「無理なものは無理なのよ!」
——心臓がもたない。
だから、心の準備がしたかったのに……!
「と、とにかくもう誰にも聞かないから!あんたも忘れて!」
そう叫ぶと、シオンは逃げるように船室へ走り去った。
本日二度目の背中を見送りながら、ベルナルドは空を仰ぐ。
「“無理”はちょっとショックだけど……否定的な意味じゃなかったな、今のは」
小さく口の端を上げる。
「ま、いいけどね。時間かけるのは得意だから」
まだこの二人、恋人ってわけじゃないです。
でもお互いの気持ちはわかってる状態。
だからシオンは心構えがしたい。




