十話 幼蝶は友情を知る2
「――だーかーら! あそこの回路を副次回路にすれば、もうちょい出力上がるだろ!?」
「何言ってる。あっちをこの線に繋げた方が効率的だろ」
「いやいやいや! 絶対、こっちだって!!」
「いーや、こっちだ」
「…………お前ら、何やってんの」
朝、教室に到着したところでかけられた呆れたようなルークの声に、レンとファルはようやく口論を止める。
が、それも一瞬のことで、レンは手に持っていた紙をずいっとルークの方に近付けた。
「お前はどう思うよ!? これは、こっちだろ!」
「だからこっちだって」
「いや、もうどっちも意味分かんねぇよ……」
再び言い合いをはじめたレンとファルに、ルークは肩を竦める。
成果発表会が終わり、いつもの日常が戻ってきた。
喧嘩の内容は昨日まで様々な問題の種ともなった魔導具に使った魔法陣のこと。もう少し内容をいじれば、治癒魔法の効能を上げられたのではないか――、という事だったのだが、その方法で朝からずっと口喧嘩中だ。
だが、それに答えが出ぬまま、授業開始前の予鈴が鳴る。ファルが不服そうに時計を睨んだ。
「――仕方ないな。続きは昼休みだ」
「わかった。授業が終わったら、すぐに食堂に行くからな」
「食べながらそんな話すんの……?」
隣で聞いていたルークがげんなりした顔をするのを見て、レンはきょとんとする。
同じ表情をしていたファルと目を見合わせ、ぷっと二人で笑った。
出会ったばかりの頃とは違う。
この「口論」がいつの間にか、こんなに楽しくなっていたと気付いて不思議な気持ちになる。
これが、俺のただ一人の「蝶」との出逢い。
十六歳の春、それはまだ互いに青虫と言えるような日のことだった。
これにて、一章完結です。
続きはブログでの連載が終了しましたら、順次掲載させていただきます。
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