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僕のヒーローは泣かない  作者: 人畜 有害
3/8

3.頭痛が痛い

 前回のあらすじ

僕と王様は不幸者

 そんなこんなで召喚の儀は終了した。生徒達の相手をしていた王様はげっそりした様に見える。

王様が全ての質問に答えていた訳ではなく途中から生徒の質問にあった大臣を斡旋する様にしていたようだ。その間僕はステータスボードをいじって何が出来るか試していた所だ。ただ王様の話を聞いていない僕には何も分からなかった。なんかこう天の声とか都合のいいものが無いだろうか。そんな事を思いながらステータスのスキルの欄を見てみた。

☆☆☆☆スキル☆☆☆☆


    未取得


  取得可能スキル

  〈ナビゲート〉etc…


そしてまた僕は、そっとステータスを閉じた。

 王城を後にした僕たち3人は街を見て回ることにした。その間も僕の両腕は不自由なままだった。あとなんか視界の右下辺りに


(ステータスを選択して、その中のスキルから

『ナビゲート』を取得しよう。)


と書いた吹き出しがあった。それがもう凄い存在感を放って来やがると来た。目をつぶっても見えてしまうんだからどうしようもない。ふむぅ、どうにかして反抗出来ないものだろうか。ステータスを開かない事には何も始まらなそうだったので指示に従ってみる事にするか。


☆☆☆☆ステータス☆☆☆☆


名前  西園寺 奏

レベル 1

職業  未設定

称号  勇者 姉の寵愛を受ける者 

    妹の寵愛を受ける者

スキル 未取得←ココを選択して下さい


なんか変な称号が追加されてるが無視だ無視。今選択出来そうなのは職業とスキルくらいか。それならやる事は一つ。僕は迷わず職業の欄を選択した。結果は失敗におわった。わかっていた事だったが職業の欄を選択する事が出来なかった。何者かの意思を感じる。僕はこう言った自由度の低いゲームが嫌いだ。こう言う時、素直じゃ無い僕はまたまたステータスを閉じた。

「ねぇお兄ちゃんってば、聞いてるの?」

「ああ、聞いてる聞いてる。僕を解放してくれるって話だろ。」

僕の両腕からボキボキと音が鳴る。そろそろ砕けて来ているかもしれない。

「奏は私たちと結婚するのが嫌なのか?もしそうだとしたなら謝ろう。」

「謝ってくれるだけで解放してくれる訳じゃ無いんだろ、どうせ。」

「運命なのだから逃れる事は出来ないよ、奏。」

「お兄ちゃんが逃げたとしても地の果てまで追いかけて結婚してあげるんだから。覚悟してね。」

この世界に来て一番重い言葉だった。そんな地獄みたいな話をしている間も右下辺りがうるさくて仕方が無かった。


(いいから早く〈ナビゲート〉を取得しなさい。ねーお願いだから早くしてぇ。)


はぁ、そろそろ可哀想になって来たので言う事を聞いてやるか。ステータスを開いてスキルを取得した。


『スキル〈ナビゲート〉を取得しました。』


頭の中にアナウンスが流れた。


『はぁ、やっと取得したわね。なんでこんなにも時間が掛かるのよ。あの神髭ジジイも神使いが荒いわね。こんな事になるなら先に言っときなさいよ。』


さっきよりも汚いアナウンスが流れてきた。

……これマイク的なの切り忘れてるよな。しかもなんか神とか聞こえた気がする。うーむ、こう言う面倒くさそうなのはスルーに限るな。


『あれっ?もしかして聴こえちゃってた?んもー最悪なんですけどー。どーしよー、ねぇあなた何かいい案無い?』

『そうですねーとりあえず神髭ジジイさんの所に行って怒られて来て下さい。そして〈ナビゲート〉を別の神様と代わって下さい。』

『神様に向かって何よ、その口の利き方は。あんまり調子に乗っているとあなたの姉と妹を更に暴走させるわよ。』


そうか、ハル姉と瑠璃がこんなにも乱れているのは神様の力による者だったのか。これは朗報かもしれない。早速だがこの神様には帰って頂こう。


『?何言ってるのよ。その2人にはまだ何もしていないわよ。』

『うっ、嘘を吐くんじゃない。この2人が元からこんなにも残念な美少女な訳がないだろう。』

『元の世界ではあんなのじゃなかったの?あなたこの世界に来て何かしたのよ。』

『何もしてない筈なのになぁ。強いて言えば転移してからの10分間ずっと膝立ちだったことくらいなものだ。』

『はへ?全くどう言う状況か解らないけど、不思議な事もあるものなのねぇ。』


優しくて美人のハル姉と気が利いて可愛い瑠璃に言い寄られて悪い気がする者はそういないだろう。だが僕は違う。悪い気もしないが良い気もしない。兄弟姉妹の関係なんてそんなもんだろう。これは理性と言うよりも本能と言った方が近い様な気がする。僕が頭の中で会話している中でも彼女らは散策しながらこれからの計画について話してあるのだった。彼女らに本能云々の話しても気のせいと言われて一脚されて終わりだな。


『そんな事はどうでも良いわ。まだ私の名前を教えていなかったわね。私の名前はフレイヤよ。これから長い付き合いになりそうだしよろしくね、奏くん。』

『ああ、はいよろしくー』


「ようこそっ冒険者ギルドへ」

受付嬢らしき子の声が響いた。受付嬢の制服かわいいなぁ。両方の爪先に痛みが走った。2人同時に思考を読んで制裁するのはやめて欲しい。更に両腕にも今まで通りの痛みと共にボキボキと音が鳴った。

「私たち3人冒険者登録したいのだが。」

「はい。異世界の方ですね。そうしましたらあちらのテーブルで登録手続きしましょうか。」

受付嬢ちゃんが4人掛けのテーブルを指差す。やっとどちらかの腕が解放……される訳もなく椅子にハル姉と瑠璃が座った。僕はその間の空気が椅子という事になった。徹底しているなぁ。幸いにも2人がかなーり強い力で僕の腕を掴んでくれているので空気椅子自体は楽な方だった。その代わりに腕が悲鳴を上げていた。冒険者ギルドの登録は案外早く終わった。そしてなんかギルドガードという物を貰ったのだが、そこに何が書いてあるのかちっとも読めなかった。解読スキルでも取ろうかな。


『なんで急に無視するのよ。』

『まあ現世の方で話が始まりそうだったからですけど。』

『へぇそうなのーそれじゃあ仕方ないわね。とはならないわよ!あたし神様なのよ。なんなのよこの仕打ちは。帰ったら言い付けてやるんだら。』

『そこに帰れなくて困ってるんじゃなかったのか?なんか僕に存在がバレちゃダメなんだろ。まあ、あんまり気にすんなよ。あーなんだっけスキルを取れば良いんだっけ。』

『さっきからそう言ってんでしょ。さっさとあたしの指示に従ってよお願いよぉ。』


実を言うとさっきから視界の右下に


(各種耐性スキルを取得しましょう)


と、五月蝿く主張した吹き出しがあったのだが、ずっと無視していたのだ。イベントが渋滞しているんだしちょとくらい待ってほしい。あー頭が痛くなって来た。いや、こんな表現じゃ足りない。

これは俗に言う頭痛が痛いと言うやつだろう。それくらい言わないと伝わらない痛さだ。頭痛が痛い時にその日本語は間違ってるとか言われたらその時はもう殴る。お前も同じ頭痛の痛みを味わえってな。ふざけて言って来ていようが構わずに殴るね。そんな僕の状態を察してハル姉と瑠璃が僕の両腕に掛ける力が強まった。2人はなんて優しいんだろう。頭痛の痛みを両腕の痛みで紛らわさせてくれているのか。そろそろ腕が限界かもしれない。この局面を乗り越えるにはやむを得ないか。


『スキル〈毒耐性〉〈麻痺耐性〉〈斬撃耐性〉

    〈打撃耐性〉〈魔法耐性〉〈頭痛耐性〉

    〈自然治癒力増加〉〈防御力増加〉

    〈危険予知〉〈瞬間移動〉〈絶対防御〉

    〈回復魔法適性〉

を取得しました。ねぇなんか変なの混じってるんだけど、まあどれも強力なスキルだしオッケーよ。さあお次は魔物狩りに行くわよ。』


僕は即座に瞬間移動を使用した。けれども今見えている景色が変わる事は無かった。というか、右を見ると悪い方に変わってしまったかもしれない。〈危険予知〉がずっと鳴っている。

「お兄ちゃん今、テレポートしようとしたでしょ。」

バレちゃった。そういうスキルでもあるんだろうか。まあ、何にせよ危険が危ないという事だろう。そういえばさっきからうるさい女神の霊圧が消えた。視界の右下の吹き出しが無くなった。これでやっと静かになる。そんな事があるはずも無くイベントは続いていく。右腕が今までにない悲鳴を上げているので回復魔法を使い続けているのだが一向に治る気配が無かった。


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