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7 【幕間】ロキシー


 アルはせがたかくて、がっしりしていて、かっこいい。

 おかあさんは「おとうさんはすごくハンサムよね」っていってよくしゃしんをみせてくれたけど、それとおなじくらい「ハンサム」な気がする。


 でも、たぶんアルはわたしのことがじゃまなんだろうな、とおもう。

 アルはなにかしつもんするときいつもへの字ぐち。


「ほら、ミス・スワンが着替え用意してくれたぞ」


 アルは、わたしがきるおようふくをぽい、とベッドのうえにおいた。「じぶんで着れるだろ」っていってた。

 いつもいえにいるときはうえからかぶればいいおようふくばっかりだったけど、アルがもってきてくれたのは、なんかいっぱいあってどうやってきればいいかわからない。

 でも、どうやってきるのってきいたら、アルがへの字ぐちするんだろうなっておもった。

 だから、がんばってひとりできよう。


「…あー、もういいから貸してみろ」


 どたどたおとがして、アルがしゅっておようふくをとっていった。ぱっぱってさっきまできてた大きなふくをぬがせてくれて、ズボンもはかせてくれた。

 ずぼんはくの、はじめてだ。おかあさんもわたしもひらひらがすきだったから。

 ずぼんとぼたんがついたしゃつと、ふわふわのあったかいのをきた。かーでがんっていうってアルがいってた。


「…おとこのこみたい」

「…あー、ここは学校だから女の子でもこういう格好をするんだ。ほらさっさと着替えて」


 アルの手はおおきい。1こずつ、かーでがんのボタンをそのおおきな手がとめてくれる。

 アルが手をつないで、歯みがきするところまでつれていってくれた。水のでるところが、上のほうにあったから、わたしにはとどかなかった。

 ぐちゅぐちゅぺっする時はだっこしてあげる、って言われた。

はみがきしたら、ロイクのベッドはそこだから早くねろって言われて、おへやをくらくされた。まっくらな中でねるのはなんだかこわい。

 だって、あたらしいわたしのベッドにはなんでかしらないけどカーテンがついてて、もっとまっくらだったから。

 アルがいっしょにねてくれたらいいのに、っておもったけど、アルはもうおおきいからいっしょにねるのいやだろうなと思っていえなかった。

 前におかあさんが『ロクサーヌも、もう赤ちゃんじゃないからじぶんのベッドで寝れるようにならないとね』ってこまってたから、ほんとうは4さいの子はもうだれかとベッドでねたらダメなんだとおもう。

 カーテンをしめないで、ベッドのうえにすわってたら、ねむってたアルがおふとんからでてきて、ランプをもって、きてくれた。


「…どうした、ねむたくないのか。早く寝ないと明日起きられないぞ」


 …おこられた。

 でも、なんていえばいいのかわからなくて、もごもごしてたら、アルが「ふう」っていってだっこしてくれた。

「…………一人じゃ寝れないのか」

「…いつもおかあさんとねてた」

 アルがもういっかい「ふう」っていった。こんどのはさっきより大きい、「ふう」だった。

「…ごめんなさい」

「あのブライトナーも子供の頃は素直だったんだな」

 ぼそぼそっとアルがなにかいったけど、わたしにはよく意味がわからなかった。

 だっこされてつれていかれたのはアルのベッドだった。ふかふかのまくらにあたまがのっかるように、ごろんとされた。すぐにアルもベッドの中にはいってきて、ふとんをかたのところまであげてくれた。

「おやすみ、ロイク」

「…おやすみなさい、アル」

 


 

 あさおきたら、アルがまたあたらしいふくに着がえさせてくれた。こんどはネクタイもついてて、アルがむすんでくれた。


「いいか、ロイク。よく聞け」


 がっこうようのふくをきたアルはぴしっとしていてかっこいい。きのうはTシャツにへやようのズボンだったから。


「これから俺は学校に行く。勉強しに行くんだ。でも、ロイクはまだ難しいだろ?だから、ベッドがある医務室っていうところで待っておいてほしい。昼食の時間になったら迎えに行くから、それまでいい子で待ってろ。できるな?」


 いむしつ?アルといっしょに行くんじゃないんだ…。

「……アルといっしょがいい」

「…だから、俺は今から授業なんだよ。ロイクは連れて行けない」

「じゃまにならないようにしずかにする」

「……ロイク、何度も言わせるな」

 おこってる。

 アルにわがままいったから、おこってる。もしかしたら、やっぱりわたしのことじゃまになって、あのこわい大きいおとこのひとのところにいかされちゃうのかもしれない。

「…ごめんなさい」

 アルはなんにもいってくれなくて、すこしイヤそうなかおをしたままわたしのことをだっこした。

 きっとその『いむしつ』っていうところにつれていかれるんだ。

 いい子にしてまってなきゃ。

 じゃないと、アルはわたしのこと、むかえにきてくれないかもしれない。

 もうロイクのことなんてしらないよ、っていわれちゃうかもしれない。

 おかあさんもいなくなってしまったから、アルもいなくなっちゃったらわたしひとりぼっちになってしまう。


 アルにめいわくかけたくないのにな。


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