力の検証・ヒナ
ヒナ視点です。
若干読みにくい点があると思いますが、ヒナは幼い為です(汗)
ウチ、飛べる様になってん。
「キャハハハハハ♪ 飛ぶって、たーのしー!」
お空が明るぅなって、ママのおはよーの挨拶で目が覚めたんやけど、いつもより体が軽う感じて、ウチ、すっごい戸惑ったんよ。やけど、そのまま寝とる事も出来ひんし、お腹も空いててん。せやから、ミミズーの後に寝床から出たんよ。
「た、タート……だよね……? それにミズチ? え……ヒナも!?」
最初、ママが何言うてんか分からへんかってん。じいじはじいじやし、ミミズーはミミズーやけぇ。それに、ウチはウチや。どこも変なとこはあらへん。何言うてん、ママ?
そう思うとったウチやけど、お外に出たら体がウズウズしてな? 無性に羽を動かしとうて抑えれんかった。
「ウチ、飛べるー!」
「凄いよ、ヒナ! でも、先ずは朝食よ。食べ終わったら、今日は新しい力の検証をやってもらうから、飛ぶのはまたその時にしなさい!」
「はーい!」
朝食はママの青白い炎やった。すっごく美味しいんよ! まったりしとって、喉越し熱々で、けど、あっさりしとって。とにかくすっごいの!
「ごちそうさまー!」
「それじゃあヒナ、自分の力を良く確認してね? それがヒナが神獣になる一番の近道だから」
「分かったー!」
ママが良く言う聖獣とか神獣って意味が分からへんけど、ママがなる言うてんからウチも目指してん。やけど、それになるとどうなんねやろ?
まぁ、それはえーけぇ、ウチはお空を飛べる言うんがいっちゃん嬉しい。せやから、お空飛ぼー!
それからウチは、お空を飛び回ってん。一回羽をバサッてすると、それだけでグングン高いとこまで上がれるんよ。それに何や分からへんけど、ウチの体からキラキラしたんがバァーってして、とっても綺麗なんよ♪
ママも可愛くて綺麗なんやけど、今のウチはキラキラやから、ママよりも綺麗なんちゃう?
そんなん考えながら、ウチはグルグルとお空を飛んでてん。
「ヒナや! ちぃとばかし降りてくるんじゃ!」
気持ちよう飛んでるウチに、じいじが声を掛けてきてん。何やろ? とっても気持ちよう飛んでるのに。
せやけど、じいじはママも一目置く言うてるし、ウチもじいじの事は好き。でもな、ちょい臭いんが嫌なんよ。あ、これ、じいじには内緒にしといてんか?
「今行くー!」
バサりと羽を広げ、ウチは優雅にじいじのとこへと舞い降りてん。ウチの体から出とるキラキラも、すっごいええ感じや。
「じいじ、どうしたん? あー! ヘビ、食べていー?」
「だ、ダメじゃ! これはワシの新たな力なのじゃ! 決して食べんでくれ!」
美味しそうなんに、ウチ、がっかりやぁー。
しかし、何の用事やろか? じいじの体から生えとるヘビを見せに来ただけやろか? むぅー、分からへん!
「ヒナや、新たな力が何なのか分からんのじゃないかの? ワシのヘビ……スネイルと言うんじゃが、スネイルは力を見抜く能力がある。じゃから、ヒナが悩んでおるやもしれんと思い、ここに来たという訳じゃ」
「オレはスネイル。よろしく、ヒナ、シャー」
「よろしくー、スネール!」
「スネイルじゃ! ……で、どうなんじゃ?」
じいじは難しい事を言いよんねんな。ウチ、飛べるだけで満足してん。それじゃダメなん……?
「シャー。ヒナの力は蘇りの力、シャー」
「それはどういう力じゃ? スネイルや」
じいじのヘビがウチの事をジィーって見てん。食べてもえー言う事やろか?
ちょい、つついてみよー!
「シャー、魔力のカギギギギギギィィィ……!? ……ッ!!」
「ぬああああ!? ワシのスネイルが……千切れてしもうた!!!? な、何をするんじゃヒナ!!」
「ムグ? クチャクチャクチャクチャ……ックン!! 何って、美味しそうだから食べてみたの! あれ? ママみたいに喋れる様になったー!」
何だか分からないけど、ウチ、ママと同じ様に喋れるみたい。何でだろう? ま、いっかぁー!
おや? 思わずヘビを食べちゃったけど、じいじは痛く無かったのかな? ウチのお腹が空いた時、また食べさしてもらおー! 美味しかったー!
「ぐぬぬぬぬぬっ!! はあああぁぁぁぁっ!!!!!! ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……。本当に再生しおった!」
「シャー、蘇りの力は、魔力の続く限り死ぬ事は無いシャー」
スネール、ウチに食べられたのに、何事も無かったみたいに続きを喋ったよ。じいじにはスネールをまた食べさせてもらおうって思ったけど、凄く辛そうだからやめた方が良さそう。じいじが死んだら、ウチ悲しい。
「ウチ、死ななくなったの? でも、じいじの方が死ななそうだよ?」
「ワシのは脳さえ無事なら再生可能じゃが、ヒナのは魔力さえ尽きねば決して死ぬ事は無いという、ワシの上位互換とも言える力なのじゃ。それに、魔力も恐ろしく増えておる。ビアンカちゃんの様に無限の魔力とはいかんが、ヒナの魔力もワシとは桁違いじゃから、実質不死身になったと言っても過言ではあるまい。ヒナの体から溢れ出しておる赤い粒子がその証拠じゃ」
ウチの体から出てるキラキラって、魔力だったんだ!
「こ、これ、ヒナや! 魔力を高めるでない! 高まる魔力に反応して、ヒナの体が炎と化しておる! 無闇に魔力を高めると、ワシらの命が危険じゃ。じゃから、ヒナは魔力制御の訓練をすると良いぞ?」
キラキラが魔力と分かって嬉しくて、ついつい喜んだらじいじにそう言われた。ウチの体、燃えてるの? でもウチ、熱くないよ?
だけど、ウチの力でじいじ達が死んじゃったら嫌だから、じいじの言う通りに魔力の制御っていうのを覚えよう。どうやってやるんだろう?
「じいじ! それってどうやるのー?」
「シャー。胸の奥に集中すると聖石があるから、そこに力を貯める事を意識すれば制御は出来るはず、シャー」
「……ワシよりスネイルの方が博識かもしれん。じゃが、その通りじゃヒナや。しっかり訓練するのじゃぞ? それではワシはミズチの所へと向かうとするかの」
「バイバーイ!」
じいじはミミズーのとこに行くみたい。ウチにくんれんしろって意味分かんない事を言ってたけど、美味しいのかなそれって? ま、いっか。それよりもお空を飛ぼー!
じいじがミミズーのとこにノソノソと歩いて行くのを見た後、ウチは羽を広げてお空に向けて羽ばたいた。
「やっぱりお空は気持ちいー♪ キラキラも綺麗だし、ウチ、きっとしんじゅーだー!」
神獣の意味は分かんないけど、きっとウチみたいに綺麗な生き物だと思うよ。もしかしたら、もっとキラキラしてるのが神獣かも?
だったら、ウチももっとキラキラを出してみたら神獣になれるかもしんないね!
「あ……でも、キラキラをいっぱい出すとウチの体が燃えるってじいじが言ってたよ。ママが木のそばでほのうは危ないって言ってたから、おサルさんと遊んだ水のとこに行ってみよー!」
炎は水をかけると消えるってじいじが言ってたけど、何で消えるんだろう? 水は冷たいからかな?
そんな事を考えてたら、あっという間に水のとこに着いちゃった。お空を飛ぶのって速いんだね!
「うーん。キラキラをいっぱい出すのってどうするんだっけ? あ、胸の奥に集中するってスネールが言ってたから集中すれば良いんだ!」
何となくだけど、目を閉じて胸に集中してみた。
「集中……? 集中って何だろう? トクントクンって音が聞こえるだけだよ?」
集中しようと思ったけど、集中の意味が分からない事に気付いたよ。でも、トクントクンって何だか落ち着く音が聞こえる。だんだん気持ち良くなって来たから、しばらくその音を聞いていよー!
…………。
何だろう、これ。凄く体がフワフワする。何だかそのまま溶けちゃいそう。でも、凄く気持ちいい。
「――ッ!!!? ウチ、光ってるー!!!!」
スっと目を開けて体を見てみると、眩しいくらいに光ってた。違うね、燃えてるんだ、ウチ。体全体が凄く燃えてて、周りにあるおっきな木も全部燃えてる。ママに怒られちゃうかな?
でも、炎を消そうと思っても、体が思う様に動かないや。いっか、凄く気持ちいいからこのまま寝ちゃおう!
「あれ? 夢……だったのかな? お空を飛んで、キラキラして、光ってて……。体がまん丸だから夢だったのかな、やっぱり」
目が覚めたら、水のとこに居た。でも、水が無くなってるし、周りのおっきな木も無くなってる。ウチの体も赤い毛玉のまんまだ。お空を飛ぶ夢、また見たいなー。
だけど、おっきな木があったとこにたくさんの小さな木があるよ。何でだろ?
「ヒナ! こんな所に居たのね! さ、タート達の所に戻ろう? って言うか、その体どうしたの!? 小さくなって! それに泉の水が無くなってるし、巨木の代わりに小さな木がたくさん生えてるし……。ヒナ、危ない事したの?」
あれ? ウチの体、やっぱり大きかったんだ。迎えに来てくれたママが言うんだから、間違ってないよね。
「うんとね、ウチ、すっごく光ってた! それと、おっきな木も燃えてたよ? それで気持ち良くて、寝ちゃったの。起きたらこうなってた!」
ママに説明してる内に、ウチは何となく理解したよ。スネールが言ってたのはこの事なんだって。
ウチの力は、炎による蘇り……いや、浄化と再生だ。だけど、ママみたいに大きな力を持ってる生き物は浄化出来ないみたい。そんな感じがする。
きっとこの力は、汚れてしまった世界を綺麗にする為に必要な力だね。今は使い道が無い力だけど、その内きっとママの役に立てる時が来る気がする。
じいじが言ってたくんれんって、きっとこの力を自由に使える様になる事なのかも。
ママに甘えながらだけど、ウチも頑張ろー!
……頑張るって何だろ? まぁ、いっか!
お読み下さり、真にありがとうございます!




