真雪のヤル気!
いよいよビートルのレストア開始!
翌日よりビートルの修理が始まった。
修理というよりレストアだ。
「社長。これ、ボディはもとより、足回りも腐食して使えないよ?」
状態を確認していた西長田が言う。
「内装パネルも配線類もダメッスネ!」
一緒に確認していた有人も続く。
ちなみにジェミーは納車のため不在。
「うむ。だが、フレームとエンジンは生きておる。」
「そりゃそうだけど・・・かなりの時間と金が掛かるから、トミ子さんが許さないでしょ。」
「その辺は大丈夫だ!ついて来い!」
そう言うと新之助は2人を工場に隣接する倉庫へ連れて行った。
「たしかこの辺に・・・」
山積みとなった部品を掻き分け倉庫の奥へ。
外で待っている2人は、相変わらずの量に呆れている。
この部品の山は新之助が集めた物。
廃車や解体業者、個人売買などで手に入れてはココに保管していた。
西長田、有人、ジェミーからすれば、たまに来る古い車や珍しい車の修理に役立つことがある程度であった。
そのため新之助が趣味で集めているくらいにしか思っていない部品。
2人が暫く外で待っていると、
「おー!あったあった!ちょっと中へ来い!」
と新之助の声がした。
「この箱だ!外に出してくれ!ついでに俺も出してくれ!嵌まって動けんのだ!がっはっは!」
見ると大きな木箱がある。
2人は箱を運び出し(ついでに新之助も)開けた。
「なるほど。こりゃ使えるな。」
「すげーッス!」
中にはビートルの細かい部品がビッシリ詰まっていた。
再び倉庫内に入った新之助が両手に大きな部品を抱え出てきた。
「こんなのもあるぞ!」
その手には外装部品。
「そういうことか。あれを買ったのは、本当にフレームとエンジンが欲しかったから。というわけだ?」
西長田は合点がいった。
「その通りだ!何年か前にネットオークションで手に入れていたのだよ!」
ドヤ顔の新之助を見て、西長田はふぅと溜め息をついた。
「まぁ、部品代、部品探し、輸送の時間が省けたことで少しは早く進められるな。」
早速作業に取り掛かる。
まずはバラバラに分解してフレームのみにする。
「うむ。見立て通り表面さえ綺麗にすれば良いな!」
エンジンやミッションは降ろされ西長田の元へ。
「へぇー。中は結構綺麗じゃん。」
シートやダッシュボード等の内装は全交換となった。
有人と納車から帰ったジェミーはせっせと倉庫から工場へ部品を運んでいる。
夕方、作業をしていた新之助はふと何かに気付いた。
「うん?真雪くん、何だその格好は?」
そこには体型に合わない大きなツナギを来た真雪の姿があった。
「私も手伝うって言ったじゃないですか!!」
かなり張り切っている様だ。
「う、む。まぁ、怪我だけはせんようにな!」
一瞬考えたが、まぁ簡単なことなら良かろうと思い承諾した。
「ツナギ着た女の人って可愛いく見えるッスネ!」
ヘラヘラと笑いながら有人が言った。
その言葉に、ギロッと怒りに満ちた目で睨む真雪。
「普段は可愛くないと?」
ドスの聞いた声で返した。
「ひぃっ!スンマセンッス!スンマセンッス!」
真雪の背後に何か見えたのか、手を合わせペコペコと必死に謝る有人。
「Oh・・・Jesus!」
ジェミーも怯えていた。
それから真雪は仕事が終わると毎日手伝った。
古い塗装を剥がすため、ひたすら外装部品を研いだ。
新之助はフレームの塗装をしている。
西長田もエンジン類の点検整備を終わらせ、ブレーキ関係に着手していた。
内装部品は倉庫にあったものを有人達が綺麗に磨いている。
シート等の布は業者に任せ、張り替えることとなった。
「うむ。皆良くやってくれているな!差し入れだ!」
新之助は全員に缶コーヒーを配る。
「社長。ブレーキ全滅だね。ストック品も使えないですわ。」
西長田はコーヒーを受け取りながら報告した。
「ぬう!やはりか!」
覚悟はしていた様だがショックは大きい。
「部品を買えば良いんじゃないですか?」
真雪が質問した。
「そうなのだが、コイツは初期のドラムブレーキだからな。珍しいものではないが古いが故、専門店に頼む必要がある。それでは時間が掛かる!ストックにディスクブレーキはあるのだが、オリジナルで造りたいのだよ!」
「それは私に任せてもらえませんか?あ、コーヒー頂いてもいいですか?」
そこへ雄二がやって来た。
「何か伝があるのか?」
「ええ。昔のお客様にビートル好きな方がいるので、もしかしたら手に入るかもしれません。それに私にも少しは手伝わせて下さい。」
「うむ!では任せる!」
そして翌日、雄二は難なくブレーキを入手してきた。
「うむ!これで組み立てられるな!」
新之助は満足そうに頷いた。
無事終わりそうな雰囲気♪
本当はかなりの手間隙がかかるのですよ~!