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とある車屋の日常。  作者: 和泉野 喜一
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ジェミーとロータリー

事故を起こし、愛車180SXと別れることとなったジェミー。

次に乗るのは好きだったあの車!

「で、何か欲しい車はあるのか?」

西長田が口火を切った。

「RXー7ガスキ。」

「ほう。セブンか。モデルは?」

「FC3S。」

「ふむ。最近少なくなったからな・・・上等なのは出て来ぬかもしれんぞ。」

「車体もそうだが、エンジンが問題だよな。程度にもよるけど、ジェミーみたいに走り回るならオーバーホールは必要だろ。」

苦笑いを浮かべ西長田が言う。


「うむ。ロータリーエンジンだからな。やった方が良かろう。」

「マツダ純正のオーバーホールキットってまだ売ってるよな?」

「マエカラフシギ。ナゼ、マツダダケ?」

ジェミーが質問をすると、


「いい質問だ!そもそもロータリーエンジンの歴史は意外に古く、1957年に西ドイツのNSU社とWankel(ヴァンケル)社が共同開発に成功したエンジンだな。ヴァンケルエンジンとも呼ばれる。1960年にマツダが技術提携し、開発を継続した!だが、実は世界中の大手自動車会社が実用化を目指し独自に研究、開発を行ったが成功したのはマツダだけと言ってもよい!

所々ロータリー搭載の車はあるが、生産を続けたのはマツダだけだからな!」

待ってましたとばかりに語り出す新之助。

しかし、ジェミーはその話を真剣に聞いていた。


「各社が止めた理由としてはオイルショックが大きいな!ロータリーは軽量、コンパクトなため搭載したとき重心を低くでき、少ない排気量でパワーが出せた!さらに部品点数が少なくメンテナンス性もよかった。しかし、燃費が良くない。これにより各社、省エネルギーへと切り替えたため市販されなかったのだ。あとは、耐久性か。ロータリーエンジンはゴム系のシールの塊と言っても良い!アペックスシール、サイドシール、コーナーシールなど、エンジンの寿命はこのシールに左右されるのだ!」

「簡単にバラせるけど、組むときはシールに気を使うんだよなあ。」

苦い思い出でもあるのか、西長田はしみじみと思い返していた。


「だが、当時のマツダ社長である松田恒次(まつだ つねじ)氏の〝技術は永遠に革新である〞をモットーにオイルショックなどでも諦めることをしなかった!そして1967年に世界初となる2ローターエンジン搭載のコスモスポーツを発売し、翌年にドイツで開催された84時間耐久レースでは総合4位になるなど性能の良さも実証した!あとは特撮ヒーロー物でも使用されたな!あれは格好よかった!」

昔を思い出すように遠い目をしている新之助。

しかし、我に返り話を続ける。


「構造の話をすれば、一般的なレシプロエンジンはピストンの上下運動にバルブが連動して吸気、圧縮、燃焼、排気を行い力を取り出すものだが、ロータリーは文字通り回転運動から力を取り出す。ローターハウジングの中でエキセントリックシャフトを中心にローターが回る。回転運動に合わせ、ハウジングに空けられたポートから吸気と排気を行うためバルブは存在しない。このハウジングとローターが1セットならばシングルローター、2セットならば2ローターと言い、通常エンジンで言う気筒数だな!つまりレシプロで言うシリンダーブロック   はローターハウジング。ピストンはローター。クランクシャフトはエキセントリックシャフト。シリンダーヘッド、バルブはサイドハウジングといったところか。少し強引かもしれんが、そんなとこだ!」


「サンドイッチみたいな構造で、締め付けトルク管理が面倒なんだよ。」

「ふむ。まあ色々話はしたがロータリーは実際に触るのが一番だ!」

「Yes!オーバーホール、ジブンデスル!」

「分からなかったら手伝ってやるよ!」

事故のショックで落ち込み気味だったジェミーはいつの間にか元気になっていた。


翌日、ジェミーは180SX(ワンエイティー)から使えそうな部品の取り外し、新之助はジェミーの新たな愛車を探し始めた。


それから約1週間が経った頃、新之助が1台の車をトラックに載せ現れた。

「ジェミー!ご希望のFCだ!」

「Oh!Beautiful!」

「これ、ジェミーの車ッスカ!?」

何も知らされていなかった有人は目を丸くして驚いていた。


「しかし、直ぐには乗れんぞ!まずはエンジンのオーバーホールからだ!」

「OK!」

こうしてジェミーの新たな愛車造りが始まったのだった。

いよいよジェミーがニューカーで復活!!

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