NewでOld!
いよいよ改造スタート!
コンテストへの参加が決定した翌日、スープラを工場に運び込んだ。
「ふむ。しかし何ともラッキーだな!良いタイミングで良い車が手に入ったのだからな!」
この車は下取りしたばかりで、まだメンテナンスも済んでいなかった。
そのため値段も未定であり、売り物になる前の状態である。
コンテスト用のベース車を仕入れる必要もないため都合が良かった。
「でもスープラってスポーツカーっていうよりレースカーってイメージッス!」
ヒョコッと現れた有人。
「うむ。90年代の国内レースで活躍したからな!ここ大きなボディはスポーツカーというよりGTカーだな!」
〝トヨタ・スープラ(JZA80)〞
全長:4520mm
全幅:1810mm
全高:1275mm
ホイールベース:2550mm
エンジン:直6
排気量:3000cc
最高出力:225ps-280ps
最大トルク:44kg-m
サスペンション:ダブルウィッシュボーン
トランスミッション:6速マニュアル
重量:1510kg
「そもそもスープラという車は1978年発売の初代、2代目の〝セリカXX〞の北米輸出モデルに付けられた名前だ!」
「え!?セリカって、あのセリカッスカ!?」
「そうだ!国内ではセリカ、北米ではスープラの名前で売られていたのだが、1986年からスープラとして独立した車種となった!70というモデルだな!その後1993年に登場したのがコイツ、80スープラだ!」
「SUPRAハ、アコガレのMOVE CAR!」
いつの間にかジェミーも横にいた。
「ジェミーが言っているのは走り屋系のハリウッド映画だな!確かに映画に登場する主人公が乗ったオレンジのスープラは格好良かった!しかもあれはエアロトップモデルだ!屋根が外れてセミオープンになる。日本ではなかなか見ないモデルだな!」
「イツカハ、ノリタイ!」
「で?どんな風に改造するんだ?」
話をしていると西長田がやって来た。
「それなんだが、少し悩んでおるのだ。何かインパクトがなければ優勝など出来んからな!」
「こっちは通常業務を続けとくから、適当に決めてくれ。」
西長田達3人は作業に戻った。
「うむ!任せた!」
新之助は事務所に戻りアイディアを捻り出すため雑誌を読み漁った。
「うーむ・・・これと言って斬新なものもないな。」
「いただきまーす♪」
隣で真雪が弁当を広げていた。
「お?もう昼か!腹が減るわけだ・・・」
自分の弁当を取りに席を立った時、真雪のパソコンに映し出された映像が目に入った。
「ん?真雪くん、博物館でも行くのか?」
「これは、家ですよ!クラシックスタイルって言って、古風にしてるんです。お母さんがキッチンをこんな風にしたいって言い出して・・・」
「ふむ・・・クラシックスタイルか・・・」
真雪の話など耳には入らず、何かを考え込む。
「お!そうか!これだ!がっはっは!」
「な、なんですかいきなり!?」
「真雪くん!ありがとう!これで車が造れるぞ!」
そう言うと事務所を飛び出して行った。
「なんなのよ、もう!」
「テーマはクラシックスタイルだ!」
工場にある休憩室に入るなり大きな声で言う。
「脅かすなよ!で、クラシックがなんだって?」
「うむ!つまりスープラを旧車にする!」
「何か考えがあるみたいだな。」
「うむ!まずはボディだが・・・」
ここから入念な打ち合わせを行った。
「期日は2ヶ月後!お披露目はコンテスト会場だ!」
話を締め、作業に取り掛かる。
新之助は事務所に戻り必要な部品をリストアップ。
注文書を作成していた。
残った3人はエンジンを降ろした後、ボディ、内装を分解する。
仕事の合間に少しづつ行い、約1週間掛けて分解した。
その間に続々と部品が届いていた。
「よし!エアロのフィッティングからだな!」
ボディにエアロを当て、余分な部分は削り、足りない部分はファイバーやパテで足す。
「うむ!綺麗に合っているな!ジェミーはこのまま塗装の準備!有人は内装だ!」
2日を費やし綺麗なボディラインとなった。
新之助の声が響く工場の一角では西長田がエンジンと向き合っていた。
今回はオーバーホールではなく、一つ一つの部品の表面を磨き見映えを良くするのが主な作業である。
しかし、傍らには大きな箱が置かれていた。
中を見てニヤリと笑い、
「こいつは楽しみだな。」
ポツリと呟いた。
場面は再び移る。
新之助とジェミーは塗装に入る。
そこへ有人がやって来た。
「今回は何色にするんスカ?」
「ボディカラーは初代セリカXXのストラトスブルーメタリックにする!ん?作業は終わったのか?」
「バラし終ったッス!」
「うむ!ではこちらを手伝え!」
こうして着々と車は完成していった。
まだまだ続きます!




