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とある車屋の日常。  作者: 和泉野 喜一
30/35

ライバルふたたび!

なんとか書けました!

が、時間が取れな~い!

「ほわぁ~。暇だのお。」

新之助は1人事務所でのんびりと車雑誌を読んでいた。


この日の〝Garage SHI・N・NO・SU・KE〞は文字通り《暇》であった。

とは言うものの、前日まで怒涛の日々であった。

お客様の事故処理に修理、中古車の納車、新規客の車探し、ディーラーからの板金修理、その他車検、修理など次から次へと依頼が舞い込んでいた。

しかしその殆んどを処理し終え、皆納車等へ出掛けていた。

1人留守番をしていたために出た《暇》の一言であった。


その時、事務所の扉が開いた。

「いらっしゃ・・・」

出迎えようとした新之助であったが、客の顔を見るなり止めた。

「よお。お前の所は客がいないのか?自由時間があっていいなあ。」

入って来たのは金治であった。


この財前金治という男。

新之助と幼馴染みであり、かつての恋敵であり、今は商売敵だ。

2人共、同じく幼馴染みのハルに好意を寄せていた。

彼女の気を引こうと様々アプローチした。

結果、恋を実らせたのは金治であり、これにより新之助とは犬猿の仲となった。


「そうさ。ウチは貴様の所とは違って暇なのだ。忙しいのだろう?さっさと帰るが良い。」

椅子に居直り冷たく応対する。

「けっ!張り合いの無い奴だな!」

「で、何をしに来たのだ?」

「この間の軽耐久では俺が勝った!しかし貴様は負けたとは思っておらんだろう?」

「当然だ!次はウチのAZー1は壊れん!」

「そう言うと思ったぜ。そこでだ、レースではなく車屋として勝負しようじゃないか!?」

金治は1冊の雑誌を取り出し開いた。

そこには〝カスタムカーコンテスト〞の文字。


「そんな手に乗るか!どうせ貴様はえげつなく金を掛けたフェラーリでも出してくるのだろう?」

「ふん!そんなんで勝っては面白くもなんともない!今回は同じ土俵で勝負しようじゃないか!それとも何か?この店にはちょいと車を()()()()金さえ無いのか?」

「そんな安い挑発には乗らん!」

「いいのかねえ?〝Garage SHI・N・NO・SU・KE〞は勝負に逃げたどころか、勝負する気力も金もないその日暮らしだと噂になったりしても・・・お客様離れちゃうかもなあ」

「貴様!」

新之助の顔がみるみる真っ赤になっていく。

金治はニヤリと笑った。


「ところで、表にスープラがあるな?あれは売り物か?」

「貴様には関係ない!」

「まあ、そう興奮すんなよ。俺の提案はこうだ。お前はスープラ。こっちはGTーR。車格が同じ車で勝負というものだっ!」

バンッと雑誌を叩き新之助に詰め寄る。


「ふん!何と言われようが断る!帰れ!」

しかし、金治の掌の隙間から〝賞金50万円〞の文字がチラリと見えた。

「けっ!甲斐性無しの貧乏人め!せいぜい潰れない様にがんばれ!」

頑なな新之助の態度に怒り、皮肉を吐き捨て金治は店を出た。


しかし、帰りの車の中では

(あいつ賞金に目が行ってたな。これで間違いなくノッてくるぞ!相変わらずチョロい奴め!)

金治の策略であった。

そんなこととは露知らず新之助は雑誌にかぶり付いていた。

「ふむ。50万円とは悪くない・・・」

1人呟く。


夕方になり皆が帰って来た。

「ただいまー・・・って社長何してるんですか?」

扉を開けると新之助が薄暗い事務所で1人、入口に背を向け座っていた。

「皆帰ってきたな・・・重大な発表がある。」

ゆらりと立ち上がり、

「我〝Garage SHI・N・NO・SU・KE〞はこれに参加する!」

くるりと振り返り金治が置いていった雑誌をつきだした。


「なになに・・・カスタムカーコンテスト?」

真雪が覗き込む。

「なんやそれ?飾る車、造る金やらありゃしまへんで。」

「またわけわからんことを・・・」

「この演出は何だったんですか?」

有人とジェミーは興奮していたが、他の者は呆れた様子。


「誰が何と言おうが参加する!そして優勝するのだ!いや、優勝するしかないのだ!しかも賞金50万円だぞ!店の宣伝にもなる!」

トミ子は何かに気付いた。

「あんたのその態度。まーた金ちゃんにそそのかされたんちゃうやろな?」

「う、ぐっ!」

ジタバタしていた新之助はピタッと動きを止めた。

「図星かよ!」

「ふん!確かに金治が来て勝負しろと言ってきたが、キッパリ断った!奴め悔しそうであったぞ!しかもこっちが参加するとは思っておらん!これはチャンスだ!がっはっは!」

「こうなること全部お見通しなんじゃね?」

西長田の指摘を無視し

「とにかくだ!参加することは決定だ!ベースはスープラ!優勝するぞ!」

強引に話を締めた。

皆、新之助は1度言い出したら聞かないことを全員わかっていたため、諦めたにも似た気持ちで納得することにした。


こうしてコンテストで勝てる車造りが始まったのだ。


祝!30話!

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