愛しのカエル
ユーノスは名車ですね!
「ほう。こいつは最新のRFか!?」
新之助の眼前には新旧のロードスターが並んでいた。
その数凡そ20台。
ここはロードスターの専門店。
「やあ、新堂社長。お待ちしてましたよ。」
店先に並んだ車を見ていると、奥から1人の男性が出てきた。
彼は店のオーナーである。
「ご無沙汰しております!またご厄介になりますぞ!」
新之助は過去にも何度か仕事で付き合いがあった。
「なんでもユーノス・ロードスターを探しているとか?」
「うむ。お客様から注文を頂きましてな!青のロードスターを探しているのですよ!ありますかな?」
「ありますとも!こちらへどうぞ。」
店の奥へ案内された。
そこには2台のユーノスがあった。
「ほう。これはまた綺麗ですな!」
「そうでしょう!ウチで徹底的にメンテナンスしてますからね!」
「ちなみにおいくらですかな?」
「これなら・・・」
細部までチェックし、商談に入る。
「うむ!それでお願いします!では後日車を引き取りに参りますので宜しく!」
数日後
車を引き取り工場へ運んだ。
「うむ。やはり完璧にメンテナンスされているな!あとは幌の交換だけだな!」
新之助は軽くチェックを済また。
と、そこへ
「おー!これが佐藤さんの車かあ!」
真雪がひょっこり顔を出した。
「うむ。写真通り小さくて可愛いだろう!?」
「これ、ライトが無いですよ?」
「ん?そうか!真雪君は知らぬのか!こいつを押すと・・・」
センターコンソールにあるスイッチを押すとヘッドライトが現れた。
「わっ!ビックリしたあ!面白ーい!」
「少し離れて真正面から見てみろ!」
新之助の言葉に後退りする真雪。
「離れましたけど?」
「よーく見てみろ!何かに似てないか?」
「んー・・・あ!カエルだ!」
「そう!なんとも愛くるしいだろう!今でも人気がある理由の一つだ!」
新之助と真雪がはしゃいでいると
「ユーノスって山でも速いんスヨ!」
いつの間にか有人とジェミーが側にいた。
「うむ。チューニングパーツもかなりの数が出ているからな!見た目にもヨーロッパ風、クラシック風、スポーツ・コンパクト、など様々なスタイルにできる!さらに、搭載されているB6/BPエンジンは馬力こそ少ないが、ポテンシャルは高いし頑丈だ!後付けでターボ、スーパーチャージャー、4連スロットル、キャブなどエンジンだけでもバリエーションが多い!」
「俺ならターボッスネ!」
「AmericanナSuperChargerガ、スキ!」
「よーし!んじゃ、幌の交換するぞー。」
西長田の声が響き、作業を始める。
特に難しい作業ではない。
シートの後ろにある幌の骨組みの取り付けを外す。
これが意外と重たいため2人掛かりで下ろす。
「破けている訳でもないのに何で交換するんスカ?」
取り外しを終えると有人が質問した。
「ユーノスの後ろの窓はガラスではなく透明なビニールなのだ!こいつはメンテナンスが難しい。炎天下に晒せば黒く焼けたようになるし、ビニールだから変形してしまう。最悪は割れて穴が空く。屋根を開ける時はビニール部分の周りにあるファスナーを開けビニールを先に畳むという手間がいる。それに比べ、2代目の幌はビニールからガラスに変更されている。屋根を開ける際にも先に畳むなど必要ない。幌の交換は少々高価だが一般的なメニューなのだ!」
「あ、本当だ!これビニールッスネ!」
「ハードトップニハシナイ?」
「ハードトップにすると屋根は開けられなくなるからな!そこは好みだ!」
新しいガラス幌に交換し、フロントバンパーにリップスポイラーを取り付ける。
「ふむ。完成だ!」
納車の準備が整い、いよいよ引き渡す。
「おお!これはまた綺麗だね!」
車を見た佐藤は感嘆の声を上げた。
「うむ!極上ですぞ!がっはっは!」
「若い頃を思い出すなあ!」
「何をおっしゃる!今でも十分お若いですぞ!がっはっは!」
「さっそくドライブへ行くとするよ!ありがとう!」
エンジンを掛け、屋根を開ける。
「やっぱ気持ちいいな!」
1速へ入れゆっくりと走り出す。
「うむ!ユーノスはいつまで経っても色褪せないな!」
その姿を見ながら満足そうに笑顔で頷いた。
「社長、こっちチェックお願いしまッス!」
「おう!」
有人の声に振り向き、工場へ歩き出す。
〝ユーノス・ロードスター〞
海外ではMXー5・ミアータの名で呼ばれている。
世界一売れたオープンカーは今後も多くの人に愛され続けるだろう。
次は2、3日中に更新します!




