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とある車屋の日常。  作者: 和泉野 喜一
27/35

野望は続くよどこまでも

レース終了です!

[5時間15分経過]

4位以下は既に周回遅れとなっていた。

チラリと金治の方を見る。

「ドライバーは代えぬか・・・」


「ふむ。」

目の前を駆け抜ける3台を見て頷いた。

徐に無線を手にし、

「西長田!聞こえるか?ピットインだ!」

「このまま行けるぞ!?」

「お前はよく頑張った!最後はジェミーに託す!」

ここで新之助は勝負に出たのだ。


「えっ!?代えるんですか!?」

「新ちゃん!そないなことしたら負けてまう!」

近くでやり取りを聞いた、トミ子と真雪は驚いた。

「大丈夫だ!勝てる!」

次の周AZー1が滑り込んで来た。

素早くドライバーチェンジを行う。

「GO!ジェミー!」

新之助の声に猛烈な加速でコースへ戻って行った。


[5時間35分経過]

ここで思わぬハプニングが起きた。


《おっと!2位を走行していた車が止まっているぞ!ここまでチームSHI・N・NO・SU・KE、チームゴールド・モータースとトップ争いをしていただけに悔やまれます!》


「ぬ!?トラブルか!?これで2位だ!」

「やったー!」

「しかもセブンのペースが落ちて来たぞ!」

みるみる差が詰まって行く。


[5時間50分経過]〝残り10分〞

とうとうセブン160に追いついた。

「よし!行けるぞ!抜けー!」

「絶対前に出すなー!」

両チームから声援が飛ぶ、


[5時間57分経過]〝残り3分〞

巧みなブロックになかなか前へ出られない。

しかしジェミーに焦りはなかった。

セブン160の動きを観察していたのだ。

そして、

「ハヤイネ!デモ、ココ!」

最終コーナーで少しアウトへ膨らむの癖を見逃さなかった。

イン側へAZー1のノーズを射し込む。

コーナーを抜け、2台は横1列でホームストレートへ。


「並んだッス!ジェミー抜くッスヨー!」

「ターボ付きのAZー1が有利だ!」

「ジェミー!カッコエエでー!」

「時間的に後1周!がんばれー!」

「ジェミー君ファイト!」

「うむ!作戦通り!最後の仕上げだ!行け!」


「抜かせるなー!」

「絶対こっちの方が速いわよー!」

「勝てるぞー!」


観客も大いに沸いた。


1コーナーへ向かいグングン加速するAZー1

そして、ついにその瞬間が訪れる。

「抜いたぞ!」

新之助達は勝利を確信した。

対象的に悔しそうな金治。

「まだチャンスはある!ラスト1周で勝負だ!」


しかし、金治の願い虚しく2台は最終コーナーへ。

「来るぞー!」

丁寧にコーナーを周るジェミー。

「I´m Champion!」

勝利の雄叫びを上げる。


コーナー出口。

アクセルを踏み込む。

と、その時ボンッと音と共に突然パワーが落ちた。

「Whats!?」

バックミラーに煙が見えた。


《なんと!チームSHI・N・NO・SU・KEのAZー1にここでトラブル発生だ!ゴールまで目と鼻の先!これは非常に無念だ!》


ピットで見守る新之助達も絶句した。

「ここでタービンブローかよ・・・」

西長田の呟きと同時にセブン160がチェッカーを受ける。

「よっしゃー!!勝ったぞ!」

「アナタやったわね!」

勝利に沸くゴールド・モータースピット。

AZー1は惰性でギリギリゴールラインへ辿り着き停まった。


全員ピットを飛び出しAZー1のもとへ。

「ジェミー、ご苦労だったな。」

「グッ!Sorry・・・」

ハンドルに顔を埋め泣いていた。

その光景に真雪、有人、雄二も涙ぐむ。


「ジェミー、AZー1をバトンに皆で走るのは楽しかっただろう?お前も皆もよくやってくれた!2位は誇るべき成績だ!お前達も胸を張れ!」

コクリと頷き、車を降りた。

すると皆、ジェミーへ駆け寄り労った。


表彰式が始まる。

《優勝、チームゴールド・モータース。セブン160。代表して財前社長、表彰台へどうぞ。》

《続きまして2位。チームSHI・N・NO・SU・KE。AZー1。代表して新堂社長、表彰台へどうぞ。》

次々に発表された。


《では財前社長、一言お願いします。》

「今日のレースは勝つべきして勝ったと思っています。しかし、古いAZー1にここまで苦戦を強いられるとは予想外でした。古い車もいいものですね。ただ最後に壊れては意味ないですよね!皆様、セブン160のご用命は是非ともゴールド・モータースへ!宜しくお願いします!」

嫌みたっぷりな発言した金治。


新之助の額には血管が浮き出ている。

「社長怒ってるッス!ヤバいッスヨ!」

《新堂社長にも一言お願いしましょう!》


「うむ。いくら新しく高性能な車でも乗り手が速くなければ意味ありませんな!最後ウチの車は壊れてしまったがドライバーは速かった!皆様、レースは車の性能だけではなくチームワークです!しかし、悔しいのは事実!前田社長!ウチは次も出場しますぞ!」

新之助も負けずに言い返す。

金治は怒りで顔を赤くしながらも、辛うじて笑顔を作っていた。


「レース舞絵はセブン160に脅威を感じましたが、次は勝てますな!がっはっは!」

プチン

「お前のボロがウチのセブンに勝つことなど絶対あり得ん!」

プチン

「貴様のセブンなど目ではないわ!本当はレプリカではないのか!?本当はココは俺が立つべき場所だ!」

新之助は表彰台の一番上にいる金治を押しやる様に登ろうとする。

「あ!てめっ!負け犬は大人しく下にいやがれ!」

それを阻止する金治。

「にょにお~!かるるるる!」

「なんじゃ~!うぬぬぬぬ!」

子供の喧嘩を始めた2人に笑いが起きた。


「もう!社長、恥ずかしいからやめて下さい!」

「アナタも!新ちゃんと仲良くできないの!?」

呆れ返る真雪とハル。

こうして長くも短いレースは幕を閉じた。


数日後、工場にはAZー1があった。

「新ちゃん!次は壊れへんようにキッチリ整備しときや!今度は賞金もらうで!」

「うむ!必ずや勝つ!」

見つめ合い、コクリと頷く新之助とトミ子であった。


〝マツダ・AZー1〞

小さくもスポーツカーとしての性能を十分に持ち、象徴であるガルウィングは翼をイメージさせる。

日本特有の軽自動車。

この車もまた名車だろう。


次は今週末の更新となります!

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