新之助の趣味
今回はミニカー!
車屋というのは来客が多い。
とは言ってもお客様ではなく業者だ。
郵便配達、弁当屋、部品屋など。
その内の一つが宅配便だ。
大抵は同じ時間にやってくる。
その日も普段と同じくやって来た。
「こんにちはー!お届け物でーす!」
宅配業者だ。
「はーい。」
荷物を受け取ったのは真雪。
「ん?コレ、店宛てじゃなくて社長個人宛てだ。」
「社長ー!宅配便ですよー!」
工場にいる新之助を呼んだ。
「おう!すまんな!やっと来たか!」
嬉しそうに包みを開ける。
「次からは自宅宛てにしてくださいよね!」
真雪の声など聞こえていない。
ちょうどお昼ということもあり、外回りに出ている雄二と商工会へ行っているトミ子を除き、全員が事務所へやってきた。
弁当を取りに来たのだ。
「腹ペコッス~」
「アリトハヨクタベルノニスモール、ナゼ?」
「うっさいッ!」
「ん?なんだそりゃ?」
西長田が新之助へ聞いた。
「これか?これはフェラーリF40の1/24ダイキャストモデルだ!」
「へぇー。よく出来てんな。」
「カッコいいッス!」
「ボクモ、モデルカースキ。」
いつもなら皆、工場にある休憩室で食事を取るのだが事務所で食べ始めた。
「ちょっ!みんな邪魔・・・」
またもや無視される真雪。
「何でフェラーリなんだ?ミーハーかよ?」
「こいつは只のフェラーリではないのだぞ!」
〝フェラーリF40〞
全長:1357mm
全幅:1970mm
全高:1124mm
ホイールベース:2450mm
エンジン:V8ツインターボ
排気量:2936cc
最高出力:478ps
最大トルク:58.5kg-m
サスペンション:ダブルウィッシュボーン
トランスミッションミッション:5速マニュアル
重量:1100kg
「フェラーリ創立40周年記念として、そして創始者エンツォ・フェラーリ生涯最後の車として《そのままレースに出られる車》をコンセプトに自ら開発の指揮を取ったのだ。」
弁当の蓋を開けながら話し出す。
「ふぁんふぉふぁふ・・・(ゴックン)速いイメージッス!」〖※有人はすでにガッツいていた。〗
「ちょっと、有人君そこ私の席!」
「ふむ。正しく速い!徹底的に軽量化が施されている。パイプフレームに軽量素材の外板。メーター廻りもシンプルな上、ABS、パワステ、オーディオや内装など一切余計な物は無い!窓は手動で、極めつけは室内側にドアノブもないのだ!開けるにはワイヤーを引っ張る!」
ミニカーのドアを開けて説明する。
「まんまレースカーじゃねえかよ。公道走っていいの?よっと。」
「西長田さん!トマト嫌いだからって私のに入れないで!」
「まだまだこんなもんじゃないぞ!3リッターV8ツインターボエンジンをMR搭載で、ブースト1.7掛けて450馬力以上ある!タービンは日本のIHI製だ!そのパワーを路面に伝えるために強化クラッチが採用されており、ペダルはかなりの重い。タイヤはピレリ製で専用設計だ。」
今度はリヤフードを開けた。
「Powerハ、セイギデス」
「ジェミー!机に足置かないの!」
「かなりのドッカンターボ仕様らしく、開発にも参加していたF1ドライバー、ゲルハルト・ベルガーは《雨の日には絶対乗りたくない》と語ったという!」
「社長!食べながら喋らないで!」
先に食べ終わった3人はミニカーを手に取り観察した。
「そんなすげぇ車だっとは知らなかったな。」
「乗ってみたいッス!」
「Ferrariハタカイ!」
「ジェミーの言う通りだ!フェラーリ事態高級車だが、コイツは特にだ!バブルの頃には2億や3億で取り引きされた!ちなみに新車販売価格は4650万円だ!」
「高え!」
「億ってどんくらいの量ッスカ?」
「WAO!」
「食べ終わったなら出てって!」
3人はミニカーをイジクリ回している。
「雑に扱うでない!それも高いのだぞ!」
「いくら?」
「3万円ちょっとだ!」
「ミニカーに3万円ッスカ!?」
「探しに探してやっと手に入れたのだぞ!」
「BOSSハRich!」
「狭いんだから早く出てけーーー!!!」
突然叫んだ真雪の声に全員ビクッとした。
その瞬間、ミニカーが宙を舞った。
「「「あっ!」」」
辺りに嫌な音が響いた。
「さぁ!仕事、仕事!」
そそくさと逃げようとする。
「お前ら全員で弁償しろー!!」
〝フェラーリF40〞
最速を誇った最強の跳馬はこれからも憧れの的であり続けるだろう。
筆者もミニカーが好きで古いトミカを集めています(  ̄ー ̄)




