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とある車屋の日常。  作者: 和泉野 喜一
15/35

ボンド

ほのぼの第1弾[愛車!]同じ時間軸の話です!

「うーむ。どれも見事な出来映えだな!」

新之助と雄二はモーターショーに来ていた。

しきりに唸る新之助。

所狭しと並ぶ車。

そのどれもが綺麗で目移りする。

車の傍らには美しい女性が立ち、華を添える。

会場を歩いていると、

「おや?新堂社長ではないですか?」


振り返るとそこには年配の男性がいた。

「おお!これはお久しぶりです!その後お車の調子は如何ですかな?」

「お陰様で快調そのものですよ。」

「それはよかった!あ、コレ、ウチの社員です!」

「槇田と申します。宜しくお願い致します。」

雄二はスッと名刺を出した。

「これはこれはご丁寧に。」

「雄二!この人はな、K大学の教授で世界的に有名な自動車工学博士だ!コレクターとしても有名でな、それは一見の価値があるぞ!ついでにこのイベントの実行委員長でもある!」

「大袈裟ですよ。大したことはないですから。」

「そう謙遜なさるな!」

男性の背中をバシバシ叩く新之助。


(偉い人なんでしょ!?)

雄二の思いとは裏腹に仲良さげに話す2人。

「今日は視察ですか?出展リストにお名前は無かった様ですが?」

「はい。今日は取引先へのご挨拶と、今の流行りを知るための視察・・・というのは建前で、ただ単に新堂が来たかっただけです。」

雄二はそう答えると新之助を見た。

「お!ハコスカ!」

「こっちはコスモか!」

右へ左へ走り回っている。

「あっはっは!相変わらずですね、あの方は。」

「新堂とは長いんですか?」

「私の教え子ですよ。」

「えっ?あ、それでココに来たがったんですね。」

「社長ってどんな学生だったんですか?」

「それはそれは優秀な学生でしたよ。」

そんな風には見えないと思ったが、口に出すのはやめた。


「それはそうと新堂さん。今度別のイベントを催すのですが、そこへ私の車を展示しようと思っているのですよ。そこで、また貴方に診て頂きたいのだが。」

「お任せくだされ!また、というと()()車ですかな?」

「そうです。数あるコレクションの中でもアレだけは特別ですから。」

男性はニヤリと笑った。


「それと、良ければ貴方も1台展示しませんか?」

「宜しいのですか!?実は先生に見て頂きたい車があるのですよ!」

「ほう。それは楽しみですね。」

「楽しみにしていてくだされ!」

今度は新之助がニヤリと笑う。


「では、詳細は後程。」

「承知しました!」

そう言うと男性は去って行った。


「社長。あの方の車って何ですか?やっぱり凄く希少な車なんでしょうね。」

「うむ。英国の名車だとだけ言っておこう!」

「それはそうと。K大出身なんですね。」

「・・・中退だ。」

「・・・」


イベント終了後、男性の自宅へ。

「この車です。お願いしますね。」

「コレは!ジャガーEタイプですよね!?」

「そうだ!よく知っているな!」


[ジャガー・Eタイプ]

全長:4440mm

全幅:1650mm

全高:1220mm

ホイールベース:2440mm

エンジン:直6

排気量:3781cc

最高出力:265ps

最大トルク:36kg-m

サスペンション:F/ダブルウィッシュボーン

 R/ロワーウィッシュボーン

トランスミッション:4速マニュアル

重量:1223kg


「こいつは1961年~1975年まで造られた車だ。このボディラインは世界一美しい車と言われている!こいつはクーペだが、オープンボディも存在するのだ!生産中に3回モデルチェンジが成され、初期は3リッター直6だったエンジンは最終的に6リッターV12になったのだ!ちなみに映画007のボンドカーとしても有名だな!」


「観ましたね~!007!私はアストンマーチンDB5が好きですね!」

「うむ!あれも名車だな!しかし、ボンドカーと言えばトヨタ2000GTだろ!」

「いやいや、Eタイプが1番格好いいですよ。」

3人の間には火花が散った。


「では、お預かりしますぞ!」

「あれ?でも昔は・・・」

新之助は男性の顔の前にスッと掌を出し、言葉を遮った。

「あの頃とは違います!今回こそは!」

乗り込もうとする。

「ちと狭いな。」

必死に乗ろうとする。

「足が!」

ジタバタともがく。

見かねた雄二が言った。

「・・・社長。私が運転します。」


「うおーー!またEタイプに乗れないのかーー!」

身体が大きい新之助は今も昔も()()()()のであった。


世界一美しい車です!

乗ってみたい!

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