お父さんのお父さん。
今回の車は日本車です♪
週末の夜、有人とジェミーはいつものように仲間と夜中の山道を走っていた。
「どりゃぁぁ!」
有人はハンドルを切る度に叫んでいる。
「アルト、キアイハイッテル!マケナイ!」
後ろを走っていたジェミーも負けじと攻めた。
ある程度走り山頂の駐車場に停める。
そこには走り仲間がいた。
「有人、今日はよく走るな!?」
「お前上手くなったじゃん」
「ホントッスカ!」
「でもジェミーのが速いよな?」
「アルトニハマケナイ!」
談笑をしていると仲間の1人が思い出した様に話し出した。
「あ、そーいえば。家に古い車があんだよ。死んだじーちゃんの車なんだけどな。親父が乗るって言い出してよ。そんでさ、有人んトコで診てくんない?」
「いーッスヨ!ウチの社長古い車好きなんで問題ないッス!」
その夜はそのまま解散した。
翌週末、有人の仲間と父親が来店した。
「社長!この間話した仲間ッス!」
「こんちは!」
軽い挨拶をすると
「親父!あとはいいよな?」
と言い残し、有人と2人外で話を始めた。
新之助は父親と話をする。
「何でも古い車の修理をしたいと?」
「はい。私の父の車で、とても大切にしていたんです。父の体調が悪くなってから今まで放置状態になりました。この間久しぶり車を見たらなんだか切なくなって、修理しようと決めたんです。」
「車種はなんでしょう?」
「フェアレディZです。」
「なぬ!?Zですか!?モデルは?」
「初期のS30型で240ZGです。」
「是非ともウチでやらせて下さい!」
父親の手をガッシリと握り力強く言う。
「あ、はい。お願い・・・します。」
新之助の目力と握力に圧倒される父親。
「早速車を診たいのですが?」
「では家まで来て頂けますか?何せ動かないもので。」
「承知しました!トラックで行きましょう!」
有人達を残し、父親と2人車の元へ。
「父はかなりのレース好きでね、富士グランドチャンピオンで走っていたZを見て興奮しっぱなしだったそうです。そしたらある日突然購入して来たと母から聞きました。」
「ほう。それは72年の雨の決勝ですかな?確かに凄かったと聞いております!」
「そうです。休日には父と2人であちこちに行きました。その度にレースの話をされて、もう耳にタコでしたよ。」
「良いお父上ではないですか!」
「お陰で私も車好き、息子に至っては走り屋ときたもんだ。」
2人は同世代ということもあり話は弾んだ。
家に着くと納屋に案内された。
扉を開くとカバーを被った1台の車が静かに佇んでいる。
「これです。ちょっと待って下さいね。」
父親がカバーを外す。
「ほお。これは綺麗ですな。」
「動く様になりますか?」
「うむ。長年放置されていた割にボディは綺麗ですな。室内保管がよかったのでしょう。この頃の車に湿気は大敵ですからな!ボディは磨けば良いとして、エンジン、ミッション
、ブレーキなんかはオーバーホールした方が良いかもしれませんな。」
新之助は車の隅々を見て回る。
「お金は結構掛かりますよね?」
「有人の友達のお父上だ!そして何より私はZが大好きだ!格安でお受けしましょう!1度見積りを作りたいのでお預かりしてもよろしいですかな?」
「ありがとうございます!是非お願いします!」
今度は父親の方から新之助の手をガッシリと握った。
新之助は車をトラックに積み1人店へ戻った。
有人は洗車をしていた。
「ご苦労!ちゃんと働いておるな!」
「あ、社長!おかえりッス!この車ッスカ?」
「おう!状態を診るために預かったのだよ!」
そんな会話をしつつ、トラックから車を降ろす。
「西長田!ジェミー!ちょっと手伝ってくれ!」
車を工場まで押して運ぶため新之助は2人を呼んだ。
「なんだ?ペリカンじねぇか。」
「Oh!ZーCar!!」
運び終えると、詳しく点検する。
「うむ!ボディに錆や腐食はない!磨いてクリアを再塗装すれば良いだろう!」
「社長。ショックアブソーバは抜けてしまってますね。ブレーキも固着してる。」
「古いガソリン抜き終わったッス!」
「ブースターモッテキマシタ。」
「よし!エンジンが掛かるか試してみるか!」
鍵を捻るが反応がない。
「ぬう?ランプ類は点くが・・・スターターか!」
応急処置によりなんとかエンジンが掛かった。
更に細かく調べた結果、交換必要な部品がいくつか有りはしたが全体的な状態としては綺麗であった。
「うむ!こんなもんだろう!」
新之助はリストを作成し、真雪に連絡するよう指示した。
翌日、連絡を受け再び来店した父親に説明を始めた。
筆者自身、Zには特別思い入れがあるのです!




