開店準備!
自身の経験から思い付くままに書いてみました!
ブラインドを開けると朝日が射し込む。
「ん~・・・気持ちいい~!!」
彼女の名前は《高野 真雪》
この春からココ〝Garage SHI・N・NO・SU・KE〞で事務として働いている24歳。
大きく深呼吸をする。
「さてと!今日もがんばるぞ!まずは掃除から行きますかっ!」
気合いを入れて開店準備を始める。
十数分後
「おいーすっ!!」
1人の男が入るなり大きな声を出した。。
《新堂 新之助》47歳。
ここ〝Garage SHI・N・NO・SU・KE〞の代表だ。
身長は187㎝。
肌は浅黒く、短い角刈り。
無精髭を生やした筋骨隆々な大男である。
「あ、社長おはようございます♪」
「うむ!毎朝ご苦労っ!フンフンフ♪」
「社長。今朝はご機嫌ですね!何かいいことでもあったんですか?」
「あれ?気付いちゃった?♪そこまで言うならしょうがない!♪特別に見せてやろう!!」
そう言いながら抱えていた紙袋から1冊の本を取り出した。
「じゃーん!!これよこれ!♪」
「は?スーパーカーの歴史・・・?」
「そう!最近買ったのだが読む暇無かったのだよ♪今日の昼休みにでも読もうかと思って持ってきたのだ!♪」
うっとりした目で表紙を眺める新之助。
真雪は本を見てギョッとした。
(・・・いや、付箋めっちゃついてるじゃん!)
その本は確かに新しい。
しかし既に付箋だらけとなっていた。
つまり熟読済みであろう。
心の中でツッコミを入れていると、
「特にこのページの・・・」
新之助は本を開き、真雪の目の前に出した。
「ランボルギーニ・カウンタックLP400!!はうぁ~カッコエェ~わぁ~!」
何故か関西弁の新之助。
「・・・なんか平べったい車。」
非情な一言。
これにより、それまで幸悦に浸っていた新之助の表情が一瞬で変わり、カッと鋭い目となった。
「まさかとは思うが、ランボルギーニ・カウンタックLP400を知らないとは言わせないぞ!?」
威圧するように真雪の正面に仁王立ちする。
マンガであれば背後にゴゴゴゴという文字があるだろう。
「し、知りません・・・」
「これは知っておくべきだぞ!そもそもランボルギーニという会社は創始者のフェルッチオ・ランボルギーニという人がだな・・・」
熱く語り始める新之助。
そう、彼は根っからの《車マニア》であり、中でもカウンタックLP400が大好きなのだった。
(やばい!地雷踏んだかも!)
脳裏に1つの事件がフラッシュバックする。
それは入社後すぐのこと、歓迎会をしてくれるということになり皆で居酒屋へ。
酔っぱらった新之助は真雪を捕まえて実に3時間にも及ぶスーパーカー話をしたのだった。
それ以来、車のことは新之助にだけは絶対に聞かないと心に誓ったのだっだ。
「社長!ストーップ!私に語られてもわかりませんから!!」
慌てて止めた。
「にゃにお~!?君は史上最高の車について知りたいとは思わないのか!」
そこから数分、「知れ!」「嫌だ!」と子供のケンカにも似た言い合いをしていた。
すると、ドアが開き1人男が入ってきた。
「朝からウルサイなあ。」
彼は《西長田 謙弥》38歳、整備士だ。
身長172㎝。
薄く茶色掛かった髪をオールバックにしている。
細身だが、捲った袖から逞しい筋肉が伺える。
新之助が店を立ち上げた頃からいる1番の古株だ。
「あ、西長田さんおはようございます♪」
新之助越しに挨拶をする真雪。
「おう!西長田!お前はランボルギーニ・カウンタックLP400の良さがわかるよな!?」
くるっと振り返り、西長田へ再び語りだす新之助。
はいはい、と軽く流されながらも歩みを止めない西長田へ熱く語る。
そのまま2人は奥の工場へ消えていった。
「ふぅ。危ない危ない。迂闊に話しかけられませんな!」
ホッとし、2人のことを忘れ掃除を続けることにした。
「真雪さん、おはようございます。」
「槇田さん!おはようございます!」
続いてやってきたのは《槇田 雄二》36歳。唯一の営業マンである。
元は某ディーラーで働いていた彼を新之助が気に入り、半ば強引に引き抜いたのだ。
さっぱりとした髪に、色白な肌。
眼鏡を掛けていて、見た目にも真面目さが伺える。
実質的には真雪の上司に当たる人物だ。
「毎朝ご苦労様です。あ、これ昨日お客様からもらったお菓子です。皆さんに配ってあげてください。」
「はい!いつもありがとうございます♪」
お菓子を手渡し自分の席へ着く。と、同時に
「真雪ちゃーん!これ運ぶの手伝ってー!」
奥の扉が開き、1人の女性が関西弁で声を掛けてきた。
彼女は《大河原 トミ子》年齢不詳、事務員。
やや太めで威勢のいい、俗に言う[大阪のオバチャン]である。
「あ、僕手伝います!」
雄二が率先して手伝いに走った。
「あら、槇田さん。ほな頼みます。」
トミ子の方を向いた時、時計が目に入った。
(そういえば、もう直ぐ9時だってのにあと2人来ないなぁ)
そんなことを考えていると、バタバタと2人の男が駆け込んできた。
「間に合った~!」
「Good Morning!」
《瓦谷 有人》23歳と、
ジェイミー・エヴァンズ22歳。(通称ジェミー)
2人共に整備士。
有人は新之助の甥である。
164㎝と小柄だ。
いつも同じ帽子を斜めにかぶっている。
ジェミーはアメリカ出身で身長184㎝の黒人である。
日本車が好きなあまりに単身来日したのだ。
片言ながら日本語は話せる。
「2人共おはよう!ギリギリだよぉ~?」
「いやぁ~ヤバかったッス!昨日は遅くまでジェミーと走り回ってたんで寝坊したッス!」
「アルトがトマラナイナルカラダヨ!」
2人は地元の走り屋でもあった。
そうこうしていると、奥の扉が開きゾロゾロと人が入ってきた。
「よーし!全員いるな!んじゃ、仕事始めるぞー!」
新之助の掛け声に全員でオー!と声を上げた。
毎朝の日課。
一種の朝礼みたいなものだ。
こうして今日も慌ただしくも愉快な1日が始まるのだ。
頑張って書きます!
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