今までのツケ
彼は無職だった。言い方を変えればニートであり、怠け者と呼ぶ事も出来るのかもしれない。学校を中退してから、ろくに働きもせず、彼は遊んだ。
周りはそんな彼に、生活を改めるよう言って聞かせたが、とうとう彼が変わる事はなかった。
彼はある時、周囲の幸せそうな様子を見て、「このままではいけないのかもしれない」と、ふと気づくが、時既に遅し、今まで遊び続けた彼に社会は冷たく、誰も相手にはしない。
置かれた状況が自分のせいである事を薄々理解していた彼は、誰を責める訳にもいかず、ただ自分を責めた。それが今までのツケであり、自然の流れであった。
彼が今更、それまでの行いを悔いた所で、大人となった蝉である彼の寿命は一夏である。