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賢者なの?

今回は、多少エロいです。


エロいのが苦手な方は読まなくても次の物語からで大丈夫です。



 簡素な冒険用の服は、キャンバス地で作られていて、かなり丈夫なものであり、更には軽くてとても着やすかった。

 しかし、こんなに早くこの服を脱ぐことになるとは予想だにしていなかった。


 濃緑色でなんか自衛隊みたいなシャツに短パン、革のスニーカーに膝上までの靴下と幅広い帽子。

 1番に目立つのはベルトだろうか……。

 細身の長い剣を左腰に下げ、右側にはロープが下がっている。


 他にも色々なポケットがあって、冒険用の道具が入っているのだが、全て軽くて丈夫な物をイザールが用意してくれたみたいで大して重くはなかった。


 本当にイザール達には頭が下がるよ。

 イザールじゃなくフィズ嬢の計らいかも知れないが、結局2人は似た者同士だよね。

 あんなに幸せそうな2人にはきっと本当にさらなる幸せが訪れることだろう。僕も2人に知り合えて良かったと思う。



 しかし、……この先は下着になるのなら、手ぶらでなければならないから何も持っていけない。


 ……ちなみにだが、手ぶらとは手で胸を隠すことを意味してはいないから、残念な気持ちはよく分かるが、グラビアの撮影ではないから、あまり期待はしないでください……。



 やっぱり本当に詰んだのだろうか?!


 ご丁寧に玄関には脱衣用のバスケットが置いてある。

 最初はシャツのボタンを上から外して、左手を袖から抜いて、シャツを脱ぐと、それを畳んでバスケットの中に入れた。


 ベルトを外してから、シャツの上に重ねてバスケットに入れる。


 次に短パンのボタンを外してチャックを下げると、ストンと脱げた。

 ここで恥ずかしさは最高潮に達して来た。


 あと、残るは靴下だけだが、短パンの前に脱いでおいた方が良かったと思い起こす。

 しゃがんで、靴下を脱ぐならいくらスリップを着ていても、パンツが丸見えになってしまう。


 いつものキャミじゃ無いのがせめてもの救いでしょうか?


 いや、やっぱり一方的に服を脱げとはかなり理不尽な要求だよ。

 しかし、僕には色々なことを知るために賢者に会う必要があるから、勇気を持って突き進むしか道は無い。


 バスケットの中に入れた衣服を靴下、短パン、シャツ、ベルト、帽子の順に重ね直す。

 嗜みというか、躾というか、こんな仕草が自然に出てしまうのは、育ちの良さからなんでしょうね。


 女性として身に付けていて当然なことは、全て教わっている。ついでに自分でもこういう事は全て好きだし、やっぱり女としての(スキル)全てにおいて免許皆伝の設定だよな。


 パンツの喰い込みを人差し指で直してから、意を決して廊下を進む事にした。



 ……あれか?


 両開きの扉が見える。

 木の香りがしそうな無垢の木で作られた重厚な扉を開いて中に入ると、眩しい光が目の前に広がる。


 あの柔らかな光と同じ位の光度みたいだが、刺すほどの刺激は神のそれとは違う。


「お主か? 妾に会いたいという変人は?」


 変人とは、言い過ぎではないか?

 下着で来いと言うお前の方が変人ではないか?

 しかも、賢者が女とは思ってもみなかった……。

 僕をこんな姿にして何を考えているのだろうか?

 やはり変人ではないか?


「ちなみに、妾は変人ではない。

 しかし、君の趣味はいいな。まるで、男が喜ぶ見立てだと思うが、まだ処女なのだろう?

 キャミにショーツよりも、そのショーツの半分より少し上までのスリップの方がエロいし、可愛いし、妾の好みだ。ついでに、そなたの容姿はとても好みだ!」


 ううーっ、言葉に詰まる。

 こいつはレズなのか?


 恥ずかしい言葉を並べやがって、秘密だけど下半身にジンジンきしまう。

 お前の言葉攻めでパンツが染みちゃうぞっ!

 変な性癖しやがって……。



「はっ、ねんねには刺激が強かったみたいだね」


 鼻でフフンと笑う姿は、いじめっ子のそれに近い。


「ねんねは言い過ぎじゃ無いですか?

 確かに、賢者様から見たら私はねんねでしょう。

 でも、私には夢があるのです。

 大好きな王子様と初夜を迎えるという王女としての夢が……」


 そう、大好きな王子様と初夜を迎えるという悪夢だ。


「ふーん。嘘を言っても分かるわよ。

 貴女は、婚姻を望んでいない。

 それは妾にはよく分かる」


 えっ、コイツは心を読めるのか?

 確かに当たっているみたいだが、『変人と婚姻』の2つだけでは心を読めるとは断定出来ない。


『バーカ、アーホ、まねけ』


「王女とあろう者が……。

 バカだの言うのではないっ!」


 やっぱり心が読める?

 なら、僕の正体を知られることになるのか?


「シャルロット王女よ。

 みなまで言わずとも妾には分かっている。

 異世界からの使者ということもだ。

 そして、妾への質問も聞かずとも分かるが、手ぶらじゃあ教えられない。

 妾の所望するものをくれるというのなら、教えない事もないのだが……」


 って、異世界と言いやがったよこの変人さんは!

 しかも、不当要求までして来るなんて、鬼畜以下だと思うが……。


 叩いて、言う事を聞かせようか?

 泣いて、ごめんなさいって言わせたい気持ちがフツフツと湧いてきた。


 スッと目を細めて、無心になる。

 目の前の光の中に人影が見え始めて、ターゲットが決まった。


 身体の重心を前に傾けて、一気に影に詰め寄った。

 肩と右腕を取り、一気に右腕を背後にひねり上げて、肩に力を入れて床に押さえつける。


 ……意外にもあっさりいった。


 本当に呆気ないのだが、それはその筈だろう。

 コイツは小学生高学年程度だろうか?


 胸がまな板だから、中学生という事はない筈だし、こんな奴に辱められたと思うと、怒りが込み上げる。


 右腕をひねり上げてる方に更に力を入れて、肩を抑えていた手を離し、そのままその手でゲンコツを作り頭をコツンと2回程叩いてやると足掻いていた賢者の力が抜けるのが伝わってきた。


「あたしに、ごめんなさいを…………、言う?」


「……………………」


 更に3回立て続けにビンタをかます。


 パーン、ペチン、パーンと多少強弱をつけてみた。


「…………言う??」


「……………………」


 くぅっ、強情な奴だな。

 僕は髪を結んでいた紐を解いて、両手を背後に回して紐で結んだ。

 黒髪のおかっぱ頭の美少女は僕を見ながら恐怖しているのは、よく分かる。

 日本の巫女服らしき物を着ているのだが、やはり小学生高学年だろうか?


 少しだけ胸がある。

 コイツは心を読めるのなら多少エロい事でも想像してやろう。


『さあ、今から全裸にしてやろう。

 賢者が辱められるなんて、おかしなことだろう。

 それにこれからは賢者の威厳は無くなるだろうね。

 じゃあ、最初は袴からにしよう』


「くっ、お前っ! 卑怯だぞ!」


 まだまだ抵抗するのか?

 それは得とはいえないんだけどね。

 やっぱ知能は小学生レベルか……。


『バサッ』


 容赦無く袴の紐を解いて、するっと脱がす。


「なんだ。色気ないなあ。クマのプリントですか?

 お子様ですね。こんなのを履いた子が処女なんて言葉をよく知ってるわね。さて、次は一気に胸を拝ませて頂きましょうかしら?

 ……それとも、パンツを脱がす手もあるわね」


 言葉で脅すだけ脅して、パンツに手を掛ける。


「えっ?! ああん、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」


 真っ赤な顔には涙が出ている。

 まあ、そうだろう。

 僕もパンツを脱がされるのは抵抗するし、もしそんな辱めを受けるなんて……、想像だけで恥ずかしさのあまり、舌を噛んで死んでしまいたいよ。


「さあ、どうしてこんなことしたの?

 私は、別に危害を加えるつもりはなかったのに……。

 それは分かっていたでしょう?」


「寂しかった。

 私はここに1人でいて、寂しかったから少しだけ遊んで欲しかった。

 ごめんなさい。お姉ちゃん」


 まあ、いっか。

 小学生とはいえ一応は賢者と話しが出来るのだからね。

「じゃあ、お名前を教えてくれない?

 私はシャルロットです。さっきは痛かったかな?

 ごめんなさいね」


 僕はなるべく優しい顔で小首を傾げながら話しかけて、今までの警戒心を解くことに努めた。


「……あのね、私は名前はないの」


 寂しそうに笑いながら目の前の美少女が言った言葉は、鋭く僕の心に突き刺さった。

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