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お母様とお孫さん?

 私学を始めてもう3カ月が経った。


 その場の勢いで作った学び舎ではあるが、かなり多くの民衆の支持を受けて、いま建設中の学校を含めると、王都に7箇所もの学校が出来る予定となっている。


 皇帝である父からの援助や名のある豪商も参加して、設備や先生の確保も順調で、僕は統括役にギルバートを推薦した。


 今や僕の後ろ盾となり、つい先日、子爵の位を授与されており領地も少しは拡大している。




 僕はというと、巷では人気者になっているとのこと。

 もう誰も『おてんば姫』とは呼ばなくなった。


 優美姫やら、慈愛姫やら、一足飛びで美貌な賢者さまなんて言われているとルナが自分のことみたいに嬉しそうに言っていた。


 でも、さすがに賢者とは……。


 本物の賢者がこの世界にはいるのに、失礼だろう。



 そんな噂の中、僕が力を入れていることは、身体を鍛えること。


 出来る限り時間を割いている。


 グレイにお願いして、騎馬隊の訓練に交ぜて貰っているのだが、いかんせんこの身体は華奢過ぎるので、未だに長剣は持って構えるだけで精一杯だ。


 だから、細身の剣であるレイピアを使う。




 いまだから言えることだが、アルフレッドと対峙した時にナイフを選んでいて正解だったとしみじみ思ってしまう。


 何故こんなことをしているかというと、それなりの理由がある。学校のことはほぼ終わったと言えるが、次の問題を片付けるためであるのだが、王女自らがしなくても良いとは思っている。


 だとしても、この世界を変えるためなら、待ち構えている不測の事態に怯まずに突き進みたいし、もう後ろを振り向かないと誓ったから、頑張るのみだ。



 いま振り返っても気持ちが暗くなる経験……。


 城下近い綺麗なレンガ造りの家並みを外れると、頑丈な石造りの建物が並ぶ。


 此処からが平民の住まう地区になっている。

 その先には木材で造られている家に変わるのだが、問題はその先の地区のことだ。


 朽ちた材料で、雨風をしのぐだけの家とは思えない地区があり、そこは犯罪の温床になっている。



 前の世界ではスラム街と呼ばれるような地区で、裏路地には、見た事も無い情景が心を打った。


『臓器有ります』、『生きの良い奴隷有ります』

『㊙︎のクスリ有り』、『非合法な仕事受けます』


 ・・・・・・なんてことだ。


 この時のショックは未だに心に残っている。


 此処をどうにかしたい。

 そのために、僕が出来ることを考えた。


 こんな裏社会を一掃してしまわないと、幸せな生活を送れない人々がいる。


 孤児として、異世界での経験とは言え世間の厳しい風を真正面から受けた僕にはここに住む人々の気持ちが多少はわかると思っている。


 だから、僕の片付ける問題と考えている。

 騎士だけに頼るだけではダメなんだ。

 前の世界では出来なかったことを……。

 ここで果たすと決めている。


 とは言うものの、治安が悪い所でも1人で動けるようにならなければ、足手まといでしかない。



 そのためにも自分の身は自分で守ることが最低限、必要となっている。

 そう自ら決めて習い始めたのは剣術だった。

 周囲の反対もかなりあったが、なんとか押し切る形で習い始めた。


 この世界は元々、乙女ゲームということだけあって、女性の意見もかなり言えることだけはとても嬉しいと言える。


 だから父王の反対を2人の母親に後押しして貰い、なんとか許可を得ている。



 2人の母親とは、兄上のお母様にあたるナターシャ様、それに僕の実の母、リーナの2人。


 2人の母親は、それはそれは僕に甘くて優しくしてくれる。ナターシャ様の出身は辺境の伯爵家で、リーナよりも身分的には低いのだが、第1子である兄上の母親であることから、王室内の力関係的には微妙なところ。


 でも、そんな2人が結構仲が良くて娘がいないナターシャ様はリーナよりも僕に理解を示してくれる。



 そして本音を言うと、短く切り取った事髪も既に肩よりも少し長めになってしまったから、あれこれと縁談の話が絶えない。


 つまり、身の危険という危機が近づいている。


 だから、僕としては必要な手を打たざるを得ない状況にある。


 帝国軍を率いるのは、無論のことであるが父王だったが、この頃は兄上が偶に引き継いでいる。

 その実、兄上は僕のことをあまり好きでは無い様に避けていて、いままでもゆっくり話をした事は無い。


 しかし、そんな僅かな時間での会話であっても兄上の優秀さは所々に見て取れる。

 いつも笑顔を絶やさなくて、優しく頼りになる印象と周りからは噂がチラホラしているものの、女性なら仕方ないと諦めてしまう。


 言葉の端々に漂う殺気に、直属の部下は怯えて、何も話せないのがスルーされている。


「アリエス様の言うことは間違い無いから……」が決まり文句なのだが、明らかに間違いもある。


 女は怖いから、反論はしないのだけれどね。


 ……あっ、僕もだった。




 …………偶に忘れる。




 まあ、愛嬌と言うことで。






 アリエス……。


 その名前を聞くとグレイでさえ、黙りこむ程の危険な男。それが兄とは幸か不幸か?


 でも、そんな兄も僕はちゃんと見張っている。

 なにせ、黒い噂の人物だからだ。


 これは、この世界では信じて貰えないだろう。


 ゲームの設定だからなのだが、基本的なことはゲームから外れることはないから、やはり悪い奴なのだと考えている。


 しかし、僕にも味方は沢山いるから、怖くない。


 ざ、ちびっこ軍団が僕の味方なんだ。


 学舎の1期生は、僕も直接勉強を教えている。

 だから、僕に親しみを感じて僕のお願いを聞いてくれる。


 子供だから怪しまれることもないし、偶に王宮にまで連れて来て、リーナの話し相手にもなって貰っているのだが、最初は嫌がっていたリーナもいまはまんざらでもない様子で、甲斐甲斐しく世話をしている。


 お菓子の用意は切れないようにしているし、ことのほかフィズという黒髪で大きな黒い瞳がぱっちりしたお人形みたいな可愛い娘がお気に入りのようだ。


 フィズは僕から見ても可愛い娘だし、豪商の娘だからいつも身綺麗にしている。


 少しだけ大き目な洋服は、着ていると言うよりも着られてると言った感じだが、とてとて歩く仕草にリーナもナターシャも嬉しそうについて歩く。


 僕から見るとおばあちゃんとお孫さん……。


 ……言ったらヤバイよね。


 でも、そんな感じで和やかな雰囲気にしてくれる。


 だから、僕が1人でやって来ると、2人の母親は少しがっかりした顔をする時もあるのは見間違いではないだろう。


 でもね。


 孫は期待しないでよね!

更新が遅れてしまいすみません。


しかも、コメディー路線からどんどん外れて、「ふぁんたじー」まで近づいて来てますね(爆笑)


作者失格ですね!


みなさん、ごめんなさい。



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