LMKW89
[10日目]
今は0時を回ってから30分が経った0時30分だ。そして丁度ボス部屋に着いた所だ。予想以上に時間が掛かったのは、相変わらずの出現速度でボス部屋の所まで進むのに手間取ったのだ。で、やっと着いた訳だが……
「ん?プレイヤーか?」
数は6人でパーティーを組んでいるみたいだ。その中でも一番高LVなのは重そうな大剣(多分3m以上で30㎏はある)を担いだ女がLV126だ。
「もう、ボス待ちしてるのか。早いな」
予想外の展開にポロッと頭の中だけで思ったつもりの心の声が口から出た。
「て事は中に1パーティーがすでに入ってる訳か」
口から漏れ出たひと言にユウが返事を返す。俺はその言葉にテンパりながらも咄嗟に返事をする。
「ま、まあ、そうなるな」
「んじゃ、まあ。俺達もボス戦の準備するか」
「ん」
誤魔化すように肩をくるくる回して準備運動しながら返事をする俺。その横でユウはパキパキと音を鳴らして指を鳴らしている。
「それじゃあ、ミカちゃん、フェイちゃん。私達も準備始めよっか」
「はーい!」
「..........はい」
そう言って女性陣も準備を始めた。
「あのー……すみません」
「ん?」
俺は後ろから声を掛けられて振り向く。そこには例のLV126の女大剣使いがいた。とりあえず心内詠唱を使って相手にばれないように識別を発動する。
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「ASDshelud」LV.126
種族:人間 女 プレイヤー
・HP 1,600 / 1,600 ・MP 524/504 ・SP 1040/1040
職業:剣士LV.98 大剣使いLV.110 剛剣士LV.65 破剛大剣士LV.42
副職業:鍛冶師LV.95 武器職人LV.60 暗殺者LV.78 盗賊LV.51 不破の霞/ユニークLV.3 道具職人LV.16
攻撃特性:打・破・突
主属性:無
弱点属性:火・水・風・炎・氷・木・焔・凍・樹
弱点特性:撃
主武器:破砕剛剣
状態異常:デスペナルティー
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デスペナルティーねぇ。それと副職業でユニーク持ちか。取り敢えず無難な返事を返しておく。
「こんばんは、如何したんですか?」
「え、あ、はい!あの、ですね。町に帰るのに少しポーションが心許なくて……分けて頂けませんか?あ、もちろん割高でお金は払います!」
ポーションか……インベントリを開いて残量を確認する。
うん、俺のからだすにはちょっと足りないかもな。
「フェイ、ちょっと良いか?」
「.........大丈夫........です........よ?」
「この人達に少しポーション分けてあげたいんだけど……余って無いか?」
「ちょっと待って..........下さいね.........」
フェイの開いているウィンドウを覗き込みながら一緒にポーションの欄を探す。
「ポーションが400本.............MPポーションが20本...........ハイ・ポーションは67本.............ハイ・MPポーションは...........9本までは余裕が.......有りますね..........」
「みたいですけど、足りますか?」
「MPポーションがもう少しだけ欲しい所ですが……多分、大丈夫だと思います。それではポーション100個とMPポーション20個、ハイ・ポーション50個、ハイ・MPポーションは最大の9個でお願いします」
「フェイ、それっていくらくらいだ?」
まず、単価が分からないので俺にはどうする事も出来ない。なので素直にフェイの計算が終わるのを待つ事にする。
「ポーションが合計で50,000G...........MPポーションが..........16,000G.........ハイ・ポーション60000G..........ハイ・MPポーション13,500G..........全部足して139,500G..........くらい?」
「ふーん、139,500G化……相場より60,000Gほど高いが……ある意味では妥当な所かもしれないな」
いやいや、60,000Gはぼり過ぎだろと内心でフェイと横からひょこっと現れてそんな事を言ったユウにツッコミを入れながら、フェイがお金を受け取って代わりにポーションを山のように積んでいくのを見る。そのとき何かが頭の隅で引っかかったが、よくは思い出せなかった。
6人はデスペナルティーから解放されるのを待って、町に戻って行った。俺とユウはその間に幾つかボスの情報を教えて貰った。
ボスの名前は「黒騎士デュラハン」LVは100、人型のモンスターで馬に乗って戦うらしい。その所為で前衛の剣は殆どボスに当たらないんだとか。なら、まず馬を倒せば?と思って聞いてみたところ、
『あー、馬は名前の欄が「???」になっててLVも見えなかったので少なくてもLV150は超えてると思います。総攻撃しても3割削るのでやっとでしたから』
だそうだ。つまり馬上の黒騎士を魔法や弓で上手い事攻撃して倒すしかないらしい。ある意味、俺向きな相手かな?
馬上では回避されにくい事を考えると上空から攻撃できる俺はかなり有利だろう。
「いててて……」
敵の内容を反復していると中に入って戦闘をしていたプレイヤー達が転送されてきた。
「さて、俺達も行くか。摩耶、付与頼む」
「うん、分かった。【仲間付与・DEF ・MDEF ・SPD】」
摩耶はパーティー全体に掛かる仲間付与を使用したあと、個人に付与を施していく。俺にはATK、MATK、SPDの3つを、ユウにはATKとDEF、MDEFの3つ、ミカヅキとフェイにはATKとDEFとSPDを、そして最後に自分にMATKとMDEF、MENを付与していた。MENはメンタルの略で状態異常系の攻撃に補正と抵抗の効果があるらしい。
「あとは……武器に付加しとくか。全員、武器貸してくれ」
俺も無からの生成で月鏡刀を複製したあと、全員の武器に付加を施していく。黒騎士の弱点は光・白・聖なので付加するのはホワイトアウトの魔術だ。黒系統の敵に浄化の光で広範囲に大ダメージを与える魔術で俺の使える魔法や魔術、魔導の中では奥義の死を呼ぶ者の鎮魂歌の次に強い白系統の魔術だ。
「これでよしっ、と。」
最後に焔翼翔を3重で発動してMPポーションでMPを回復する。焔翔と比べて翼が2枚から4枚に増えて派手さも少し増した気がする。正直そこはあまり嬉しくない。
「じゃ、そろそろ行くか」
「「「「おーーー!!!!」」」」
俺達はボス部屋に突入した。
次回、ボス戦です。