LMKW61
[8日目]
俺は意識を一点に集中し、ユウに斬りかかる。
バーンの対処は、バーニングドラゴンと同じで翼を狙う事にした。
まずは小手調べで、左を抜ける様に流し斬りを行う。
そして、
「からの、「【ターン・スラッシュ】!!」だろ!!」
ターン・スラッシュを放つ。
予想通りだが盾で防がれた。
俺は続けてスキルを放つ。
「【クロス・セイバー】!!」
「ふん!!」
何時の間にか、バーンがこちらを向き、ユウが正面を向いていた。
その所為でユウにまだ見せた事が無かった、スキルのクロス・セイバーを盾で弾かれた。
クロス・セイバーは、二刀流のスキルで剣筋を交差させるように相手を斬るスキルだ。
「次はこっちのターンだな。【ラインストライク】!!」
翼を大きく羽ばたかせて、後方に回避する。
その後、ユウに背中を見せる様にして逃げるフリをする。
「バーン、追え!」
「ギャウ!」
「【ターン・スラッシュ】!」
魔法剣1を半回転してユウに打ち込む。
カウンターの様に使えるのは確認済みである。
「何てな!引っ掛かるかっての!」
クッ、盾で弾かれたか。
「お返しだ!【ウェーブソード】!」
「うっ・・・」
異蛇双頭 2式で衝撃波は防いだが、押し込まれて右腕が浅く切れた。
「まだまだ!!【ウェーブソード】!【ウェーブソード】!【ウェーブソード】!・・・・・」
まずい、完全に避けるか防ぐしか出来なくなってる。
MP切れを待つのも有りだが、多分無理だ。バーンとユウが交互にMP回復し続ければ良いだけだしな。間違い無く、先にこっちがMP切れになる。
アレを使うか。
「【ダークビジョン】!」
狙うのは、ユウでは無くバーンだ。
よし、掛かった!発生したのは混乱と酩酊か。
「グギャアアアアア!!ガウウウウウウ!!ウグウアアアアアアアア!!!」
「くそ!?バーン!落ち着け!」
ッツ!マズイ!
ユウがイベントリから気付け薬を取り出した。
何で混乱回復アイテム何か持ってんだよ!
「ぐあ!」
あ、バーンが暴れて頭突きした所為でユウの持ってた気付け薬が落ちた。
「【バジリオンボルト】!【バジリオンボルト】!【バジリオンボルト】!【バジリオンボルト】!【バジリオンボルト】!」
取り敢えず5発ほど討ち込んでおく。
爆炎が晴れると同時にユウが落下した。
バーンは・・・倒したみたいだな。後はユウか・・・しぶといな。
まだ、HPが半分ほど残っている。因みに俺も半分くらいだ。
「くっそユキ、やりやがったな!」
「知るか!大会のお返しどわぁぁあああ!!」
落ちた。
焔翔が切れて落ちた。
「いって!」
「クッぷっくふハハハハ!!ざまあねぇなユキ!」
「だー!もう面倒くさい!」
落下したダメージでHPを3割程削られた。
そろそろ壊れても良いんじゃないか?
俺は異蛇双頭 2式をイベントリに仕舞って、魔法剣1を振り回す。
もちろんユウには当たっていない。10m位あるしな。
目的は別、俺は最初からずっとユウだけじゃ無く、取り合っているスイカを攻撃し続けていた。
魔法剣1を振る度に、ウォーターブラストの付加効果の遠距離連動攻撃でスイカにダメージを蓄積させ続けていた。
そして、ユウがロングブレードを構えて走り込んできた瞬間にスイカが割れた。
「焔よ来い【焔翔】!焔よ来い【焔翔】!じゃあな、ユウ。」
「ユキ!逃げるな!」
「やだな!もう、目的は達した!」
俺は迷わずスタート地点に向かって逃亡した。
HPだけ見ると俺の負けだけど結果は俺の勝ちだ。
これこそ、試合に負けて勝負に勝つだな。うん。
背後からユウの叫びが聞こえた気がするが気にしない。バーンが居ない時点で追いつかれる事は無いからな。
「NO.11のスイカが破壊されました。」
アナウンスが入った。って事は俺が破壊したスイカはNO.11だったのか。
その後、俺はゆっくり夏アリジゴクとスイカを倒したり、破壊したりしながら噴水まで戻った。
噴水に着いた時点で丁度、焔翔が切れた。と言う事はもう1時間経ったのか。早いな。
因みに俺がここまで飛んで来る間にNO.3とNO.5、NO.9、NO.10、NO.13、NO.15が破壊されたとアナウンスが入った。後、NO.0はまだ3分の1もHPが減っていなかった。
今の内に俺は、ほぼ空に成ったMPを回復する。
噴水の周りには意外にプレイヤーが居た。露店なども在る。
300人は居るな。
「さて、次行くか。」
「あ、お兄ちゃ~~~ん!!」
「げ・・・」
ミカヅキが走って来る。まずい、昨日のLV上げでHPとDEFも多少は上がったけど耐えられる保証が無い!
考えろユキ!こんな時は如何すれば良い・・・考えろ・・・!!
俺は咄嗟にベルトからギルシュヴェルグを抜き、屈んで避けながらミカヅキの足を浅く切った。
「はぶっ!ぎゃぁぁぁぁあああああああ!!じびでる・・・(痺れるー)!!」
「おお!!」
前に見たフェイの動きを見よう見真似で行ったら成功した。
俺は対ミカヅキ用護身術を手に入れたような気がした。
「さて、逃げるか。
焔よ来い【焔翔】!焔よ来い【焔翔】!!焔よ来い【焔翔】!!!焔よ来い【焔翔】!!!!」
森に向かう前に、俺は再び焔翔を4重で発動した。
「じゃあなミカヅキ。」
「まっで(待って)、おじいぢゃん(お兄ちゃん)!!」
「誰がおじいちゃんだ!」
麻痺で動けないミカヅキを放置して、俺は森に入って向かった。
森でのスイカ探しは非常に困難だった。
まず第1にスイカと色合いが似てて見つけ難い。
第2に木が生い茂り過ぎてて飛び難い。
第3に気が生い茂り過ぎてて上から見ても全く地面が見えない。
第4に……(略)
と言う事で15分探して、まだ1つしか見つけられていない。
しかも、NO.162と3桁。不幸だ。じゃなくて、探すか。
「NO.20のスイカが破壊されました。」
また1つスイカが減ったな。
「こうなったらいっそ、森全体を焼き払うか?・・・無しだな。」
俺はスイカ探しを続行した。
「うーん。此処、何処だ?」
迷った。
あれから5分程、低空飛行で飛び回っていたら、迷った。
「困ったの・・・迷ったの。」
そして、前から俺以外にも迷子が出現した。