LMKW31
間に合った・・・
[4日目]
パキンッ!
そんな音と共にドウナのロングブレード「異蛇双頭」が折れた。え?この剣の耐久値 180/250 だったから全然使えるはずだろ?
・・・・・
ウィンドウを開いて見ると耐久値が0に成っていた。多重の付加は意外に武器の消耗が激しいらしい。・・・困ったな。これからも使うつもりだったんだけどな。
俺が頭を悩ませていると戦闘終了のウィンドウが閉じ、代わりにチャット通話が入った。
・・・・・
『はい、ユキです。』
『あ、お兄ちゃん?』
『おう、何だミカヅキ。』
『あの大きい骸骨もう倒しちゃった?』
『ああ、しっかり仇は討ったぞ。』
『やっぱりかークエストクリアの通知が来たからそうじゃ無いかと思ったよー。』
『で、どうだった?強かった?』
本気で倒しに掛かり過ぎてそんな事考えもしなかったな。
『おう、めちゃくちゃ強かった。』
『あー!もう1回戦いたい!!』
『あはは』
俺はもう絶対にあんな化け物と戦いたくないな。
『それで、お前等はこれから如何するんだ?』
『先にお兄ちゃんの家に行って待ってるよ。』
『ん、了解。じゃ、切るな。また後で。』
『じゃあね~!!』
俺はミカヅキとの通話を切って、異蛇双頭のウィンドウを閉じた。うーん、持って帰って武器職人の副職業で直せるか試してみるか。
「白君、これから如何するの?」
「取り敢えず、家に帰ろうかな。」
「了解ー。」
帰り道、俺達は殆ど罠には掛からなかった。と言うか行きに殆ど発動させていた。外に出た時、空耳が聞こえたような気がしたが気のせいだろう。
『我は、こんな所で、終わらぬ………』
「お兄ちゃーん!!」
「........ユキさん........!!」
ミカヅキとフェイが走り寄って来る。2人の壮絶な頭突きを喰らったが此処は我慢だ俺。俺はよろめきながらも2人を受け止める。
「心配........しました.......」
「うわ!お兄ちゃんのLVが 3 も上がってる!?」
ミカヅキ、今って「感動の再開」的なノリじゃ無いのか?
「お兄ちゃん!そんな事よりスッポン鍋だよ!」
話題が変わり過ぎだろ・・・俺は内心でツッコミを入れながら声には出さない様にする。
「さあさあ、お兄ちゃん買い物だよ!早く1の町いこ~!!」
「........ユキさん........私もスッポン鍋.........食べたい......」
「ハァ、仕方ないな。」
俺は2人に引かれながら、1の町に向かった。因みにユウ、アルファ、摩耶もついて来ている。
俺達は1の町に転移すると、そこに思わぬ人がいた。
「お久しぶりですね、ユキさん。」
「えっと、デュエムさんどうしたんですか?」
「皆様方が大盗賊バルトロンを討伐して下さった様なので褒賞をお持ちしました。」
「良く分かりましたね。」
「まあ、そこは自警団の情報網ですよ。」
自警団のデュエムさんだ。デュエムさんはそう言ってウィンドウを開く。少しするとデュエムさんから報酬が送られて来た。
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クエストクリア報酬
・200,000G
・HP回復薬×20
・MP回復薬×20
・蘇生薬(極弱)×1
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「おお、すげー!報酬高!」
後ろを振り向いて見ると報酬を貰っているのはクエストを受けていた、俺、ユウ、ミカヅキ、摩耶だけの様だ。ユウが貰っているのが気に入らないな。
「おい、ユウ。お前は何も頑張って無いんだから5人で割るぞ。」
「え?」
「私も賛成。」
「私も~~!!」
「ふふ、ユウさん私もそれで良いと思います。」
「........ユキさんの言う事........なら賛成。」
アルファまで賛成するのは意外だったな。結局1人15万ずつで分けて残りの5万で今日の鍋の準備をする事に決まった。回復薬は1人16個ずつ、蘇生薬は俺とフェイで1つ、ミカヅキが1つ、アルファが1つ、そして摩耶が1つ貰う事に決まった。
「まあまあ、ユウさん落ち込まないで下さい。」
「・・・」
「あ~あ、拗ねた。」
「あの、ユキさん如何したら良いでしょうか・・・」
「放置しとけば勝手に起き上って来るから当分放置してて。」
「そんな事で良いのでしょうか?」
「ユウだから良いんだよ。」
結局ユウが立ち直ったのは買い物が終わってからだった。
「さて、作るか。」
「やったー!」
「.......楽しみ.......」
最初はLVの上げの為に軽く野菜を切る所から始める。
トン・・・・・トン・・・・・トン・・・・・トン・・・・トン・・・・トン・・・・トン・・・・トン・・・トン・・・トン・・・トン・・・トン
今のだけでLVが 3 つ上がった。・・・マジか。白菜的な野菜を切りながらLVを上げて行く。
トン・・トン・・トン・・トン・・トン・・トン・・トン・・トン・・トン・トン・トン・トン・トン・トン・トン・トン・トン・トン・トン・トン・トントントントン
うわー地味だな。まあでもまたLVが 2 つ上がった。他にも人参、大根、ネギなど色々切って行くだけで最終的にLVが 18 になった。ビックリするくらいLVが上がるのが早い。1日あればLV 50 まで行くんじゃないだろうか。
でも、意外に楽しかったな。最後の方は俺もノリノリで人参を桜型に切っていた。切り終わってから切れ端を如何するかに困ったのは皆には内緒だ。
1時間かかったが下準備が終わった。ふぅ、リビングに持っていくか。因みにリビングは狭いので俺の家に摩耶とフェイ、フェイの家にミカヅキとユウとアルファがいる。
ミカヅキとフェイを一緒にすると喧嘩するので別々にした。先にフェイと摩耶の方に持って行く。近いからな。
「ほら、準備で来たぞ。摩耶、徐々に野菜入れて行ってくれよ。」
「はーい。」
摩耶のテンションが高いな。次にミカヅキ達の方に持って行く。スッポンは血抜きまで終わらせたものをフェイのスリングカットで真二つにして貰った。甲羅ごとパッカリだ。
「ほら、スッポン鍋。コンロの火の管理はアルファに任せるな。」
「ミカヅキ野菜はお前が入れろよ。」
「はーい!!」
「分かりました!」
「ユウお前は灰汁取りだ。出汁をあんまり減らすなよ。」
「分かってるよ!!」
ユウの機嫌がかなり悪いが鍋を食べたら落ち着いてくれるだろう。多分。
俺は1度、摩耶達の方に戻る。そこで摩耶の驚きの声が上がった。おそらくガールズトークを楽しんでいるのだろう。
「ただいまー。」
「あ、おかえり白君。」
「ん。」
「それで白君!実はフェイちゃんってね――」
「うわああぁぁぁぁああ!!」
珍しくフェイから悲鳴が上がった。フェイが摩耶の口を全力で塞いでいた。そんなに俺に聞かれたくない事か・・・何だろな?
「んんんんんむうぅぅぅう!!」
「摩耶さん........黙って。」
フェイが怖い。目が本気だった。これは摩耶の為にも何を言おうとしたかは追及しない方が良さそうだな。その後も俺はフェイの家と俺の家を行ったり来たりして鍋の様子を確認しながら鍋パを楽しんだ。冬にもまたやりたいな。
夏に鍋は正直きついです。
修正、デュエムさんの台詞の前に空白を追加しました。デュエムさんはNPCです。




