LMKW28
[4日目]
「ユウ無しだと、摩耶とアルファはしんどくないか?」
「そうですね。ハッキリ言って役に立てないと思います。」
「私もアルさんと同意見かな。」
「なら俺とフェイとミカヅキで出鼻を挫くように倒すか。」
「私もそれで良いと思うー!」
「........私も........ユキさんが言うなら.........それで良いと.........思う。」
「じゃあ、決まりだな。摩耶とアルファは余裕が有れば援護してくれ。」
「はーい。」
「分かりました。」
ボス部屋の扉が音を立てながら開くと同時に、俺達は出発した。
「【爆裂】、【爆裂】、【爆裂】、【爆裂】、【爆裂】!!」
俺は出てきたイアラを端から倒して行く。作戦は「安全を第一に」だ。
「........行きます!」
「負けない!」
フェイとミカヅキはどちらが先にマジックタートルを倒すかで先程から競っている。今はフェイが24体、ミカヅキが19体でフェイの優勢だ。これは、喧嘩するほど仲が良い、と言う奴なのか?
そんな事を考えていると残った1体の取り合いが始まった。嬉々とした表情で斧を振るうミカヅキと必死の形相でナイフを投げるミカヅキ。今回の取り合いはミカヅキが勝ったらしい。マジックタートルが可哀想になって来たな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
戦闘終了
「撃破ボーナス」
・1250 EXP+325 EXP 5/11
「ドロップアイテム」
・イアラの核×4 ・マジックタートルの甲羅×3 ・マジックタートルの子供×1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「マジックタートルの子供って何?」
「白君!?」
「お兄ちゃん!?」
「ユキさん!?」
「........ユキさん!?」
女性陣が一斉に反応した。え、何?目が怖いんですけど。
「それで何なんだ?」
「白君、それはマジックタートルのレアドロップの食材アイテムなの!」
「それが如何したんだ?」
「コラーゲン!!」
「......つまり.........スッポン。」
成程、女子はそういうの好きだもんな。
「この中に料理人っていますか?」
「ヨミちゃんが料理人だけどーー」
「リオも料理人だけどいないよ~!」
「と言う事は誰もいないんですね・・・」
女性陣はこのメンバーだけで食べるつもりらしい。因みにレアな食材は料理人じゃないと調理出来ない。一応空腹度などの設定もあるらしいがポーションや回復薬を大量に飲んでいるので今の所あまり関係が無い。一定時間のステータス上昇が無ければ完全にネタ職業だ。
「副職業空いてる人いる?」
「お兄ちゃん2枠空いてたよね?」
「白君って現実でも料理上手だったよね?」
「.......ユキさん.......」
一斉に視線が俺の方を向いた。これは取るしか無いみたいだな。
「ハァ、それで副職業ってどうやって取得するんだ。」
「ステータスの副職業で『無し』の所を選択したら取得できる副職業が表示されるからそこから選んで取得するの。」
無しの場所をタップすると、かなりの数の副職業が出て来た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
取得可能副職業一覧
・暗殺者
・絵描き
・演者
・歌手
・鍛冶師
・狩人
・鑑定士
・技師
・業務
・経営
・詐欺師
・詩人
・生産師
・調合師
・釣り人
・農家
・料理人
・錬金術師
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
取り敢えず料理人を取得する。ついでに俺は鍛冶師も習得しておいた。武器を強化できるらしい。ユウに「武器職人なら取得しとけ」と言われた。俺って結構無知だな。
「お兄ちゃんが料理人を取得した事だし。スッポン鍋だ~」
「でも、何処でするの?」
「.........ユキさんと私の........マイホーム?」
フェイさん?何言ってるんですか?その言い方だと別の意味に聞こえるんですが・・・
「お兄ちゃんとのマイホーム!?」
「白君!?」
「ユキ!?」
「誤解だって!!」
仕方無く、家を買った事とフェイの家が偶々(・・)横だった事を伝えた。
「良かった良かった。お兄ちゃんがこの女と『結婚』したのかと思ったよー」
「「『結婚?』」」
「白君もフェイちゃんも知らないの?」
「......何.......それ?」
「知らないけど?」
「うん、まあ知らないなら、気にしなくて良いんじゃ無いかな?」
うーん。何か気になる言い方だな・・・その後、追及してみたけどうまくはぐらかされてしまった。本当に何だったのだろうか。
結局グダグダしながらも3の町の近くまで来た。そこで俺達はまたまた盗賊と出くわしてしまった。何か変な縁でもあるのかな?
「ぐへへへ、おで、このチッコイの2人貰うべ。」
「おう、じゃあ俺は美人さん2人だー。捕まえて奴隷にするだ。」
「ふん、好きにしろ。俺は強い奴と戦いたい。」
1番最初の盗賊は太ったオジサンだ、LVは 52 だ。強いな。けどフェイとミカヅキはLV 47 だから何とかなるだろう。2番目はがたいの良いオジサンだ、LVは 46 。魔法使いの2人にはキツイかな?最後はメガネで細身のオジサンと言うには少し若い人だ、LVは 55 。ユウは役に立たないから、俺1人でやるのか。俺のLVは 57 だけどこれは意外にきついかも知れないな。
さて、やるか。
「お前が俺の相手か?」
「ああ、そうだ。お前は強いか?」
「どうだろうな?」
「俺はドウナだ。」
「そうか、俺はユキだ。」
「さあ、やろう!戦いだ!!」
戦闘狂か・・・めんどくさいな。
ドウナが突撃して来る。武器はユウと同じロングブレードか。長さ140㎝程のロングブレードで2刀流、って色々可笑しいだろ。ドウナが軽々とロングブレードを振り回して来る。
「危ねぇ!!」
「ハハハ、踊れ踊れ!」
化け物かよ!逃げながら魔法で削るか。
「【爆裂】!!」
「ぐオぅ。」
直撃か。爆炎の中からドウナが飛び出して来る。何と言うか猪突猛進だな。ドウナの攻撃を剣で受け止める。重ッ!
鍔迫り合いには成らなかった。止めていたドウナのロングブレードが俺の剣を2秒ほどで折った。俺はロングブレードを右腕で受け止める。
「グゥ!」
「あははは、死ね――」
「ふん!」
右足でドウナの首を蹴り飛ばす。アレ?今かなり嫌な感触がしたぞ。ああ、相手のHPが徐々に減っているけど俺は気にしないぞ、うん。
「ああ、ああう、あがあがああぁぁ.........」
ドウナがうまく声を出せずにいる。ドウナのHPが2割を切った。うーん、やっぱり酷いな・・・
結局ドウナはロングブレードを手から落とし消滅した。次にこういう事が有った場合、絶対に首は狙わないと心に決めた。
俺はHPを回復しながら他のメンバーを見る。HPが満タンに成ると同時に右腕が元通りになった。
「ああ、痛かった。」
「平然と無茶したな・・・」
「まあな。」
「酷かったな。」
「ああ。」
俺達の会話はそれ以上続かなかった。と言うか続ける気に成れなかった。
明日は3話更新です。