LMKW19
[3日目]
「悪かったな・・・けど何が悪かったんだ?」
「多分......武器の耐久値........」
勘違いした人もいるかもしれないが、俺が聞いたのは何故、付加が失敗したかだ。決して俺の何が悪かったのかを聞いた訳では無い。
「やっぱそうか。と言う事ですまんがもう1本見せてくれないか?」
「ユキさんの為........ならナイフの.......10本や100本........折れても.....構わないよ?」
「お、おう。」
そういう事を無意識に言うのはずるいと思う。ホントに。マジで一瞬「くらっ」とした・・・
そしてフェイから短剣を受け取る。俺は短剣と自分の剣のウインドウを開いた。
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『ナイフ』(短剣)
ステータス:攻撃力+10
付属効果:投げスキル攻撃力+1%上昇
耐久値:1/1
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『銀の剣』(剣)
ステータス:攻撃力+20
付属効果:無し
耐久値:25/30
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銀の剣に灼熱剣を使用し爆裂を付加する。すると耐久値が、
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『銀の剣』(剣)
ステータス:攻撃力+20
付属効果:無し
耐久値:5/30
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20 減った。最低限、武器に魔法を付加するには耐久値が 21 必要らしい。つまり耐久値 21 以上のナイフを使えば爆裂ナイフが作れるのか・・・よしナイフ作るか。作る価値は十二分にあると思うし。そして沼の中心から綺麗な水が湧き出てくると同時に大部屋の扉が開いた。
「中心から溢れて来る水ってなんか綺麗だな。」
「絵に........なりますね。」
するとフェイが水を瓶に汲んで行く。
「それ何かに使うのか?」
「はい.......此処の水で.......良い薬が作れるって........聞いていたので。」
「へー」
なんとなく2本ほど瓶に水を汲む俺であった。すると大部屋の扉と2の町への扉が開いた事で立ち往生していたプレイヤー達が入ってきた。
「うわーすげー」
「これが有名なダイヤリー・ネイム・メモリーかぁ」
「『ユウ』『摩耶』『ミカヅキ』『ユキ』って4人が初めてボスを倒したんだ~」
「ユキってあれだろ?」
「紅翼の銀少女だったけ?」
「紅翼?」
「いやな、戦闘中に背中から炎の羽、生やして戦うらしい。」
「ユキってあの子?」
「えッ!?」
入ってきたプレイヤーの視線が一斉にこっちを向いた。・・・視線が痛いな、逃げるか。
「フェイ、ちょっとごめん。」
「?」
そう言ってフェイを抱え上げる。そして、
「焔よ来い【焔翔】!」
焔翔を発動し、俺はフェイをお姫様抱っこしながら空を飛んで2の町まで逃げた。
「すごかった.......」
「そうか?」
「空からの眺め.......って思ってたより..........ずっと......綺麗だった。」
「そっか、それは良かった。」
「それで......これから.....どうするの?」
「うーん。取り敢えずアイテム換金して昼ご飯食べて武器作るかな。」
「じゃあ、私は.......ユキさんが武器........作ってる間......薬作ってる。」
「ん。じゃあ、アイテム売りに行くか。」
「....はい!」
俺はアイテムを売り、一旦フェイと別れてログアウトした。
今日の昼ご飯は嘉月が買ってきたカップの焼きそばだ。
「ん~!!おいしい!!!」
「何かお前、俺のご飯よりおいしそうに食ってるな・・・」
「そんな事無いって!はいご飯おかわり!!」
「早いな!!」
ご飯を御椀に盛る。
「それで?調子はどうだメンバー集め。」
「やっと、3人集まったよー」
「そうか、俺はまだ1人だわ。」
「まあ、頑張りなよお兄ちゃん。」
「何その上から目線!?」
そのあと軽い冗談を交えたあと食器洗浄機の電源を入れてゲームに復帰した。
ログインした後は銀を10個購入し家に戻る。武器工房に入りナイフ作りを始める。銀を2つ熱し溶かしている間、俺は石を削っていた。石と言っても縦50㎝、横2m、高さ50㎝程はある。その石の表面を最近覚えた風の魔法ウィンドシュレッドで削りナイフの型を作って行く。イメージは食事用のナイフの刃の部分を大きくし鋭くする様なのイメージで削っていく。ウィンドシュレッドは使用者の意思を反映して風の刃を起こす魔法だ。つまりより強固なイメージが有れば有る程、威力や正確さは増す魔法だ。
取り敢えず2パターン掘ってみた。銀を注ぐと横向きに見える形と刃の方を下に向けて上のあまり大事じゃ無い所だけが見えるタイプ。より上手く行った方をこれからの作り方に採用する事にした。
まず前者に溶かした銀を流し込む、そのあと後者にも銀を流し込む。銀が固まるのを待つ間、再び剣を打って待つ。2回目の剣作りは前よりも早い1時間半で出来た。出来栄えも前の物より良い。もちろん使った素材は同じだ。名前は.......考えるのがめんどくさいから「ユキの打った剣part.2」でいいか。
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『ユキの打った剣part.2』(剣)
ステータス:攻撃力+25
付属効果:無し
耐久値:35/35
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「お、武器職人のLV. 7 になった。」
「ユキさん.......」
「ん。どうしたフェイ?ってフェイ!?」
「インタ―フォン........鳴らしたけど........出なかったから.......」
「ああ、すまん。剣作るのに没頭してた。」
「こっちは......終わったから........見に来た。」
「そう言えば、どうやって入ったんだ?」
「ユキさん......まだ許可出したまま.....」
「ああ、あれって毎回取り消さないといけないのか・・・めんどくさいな、フェイになら別にみられて困るものは無いから好きに出入りして良いぞ。」
「良いの......?」
「おう。」
・・・・・
「あ、そう言えばフェイに見てもらいたい物があったんだよ。」
「見てもらいたい物?」
「コレどっちが使いやすい?」
俺はそう言ってさっき作った銀のナイフを見せた。するとフェイは、
「こっち.......」
即答で後者のナイフを選んだ。
「なんでこっちを選んだか教えて貰っても良いか?」
「こっちの方が..........使いやすそう。」
「そうか・・・」
フェイは案外、直感で決めるタイプらしい。まあ、これで決定だ。俺は後者の方のナイフを量産する事にした。ついでに初作に名前を付ける訳だがこれはフェイの武器だしフェイに付けて貰うとしよう。決してそれっぽい名前が浮かば無かった訳では無い。
「フェイ、このナイフの名前どうする?」
「えっと......『ギリシュ・ヴェルグ』.........で良い?」
「分かった。あと名前の後ろに付加した魔法の名前は入れるか?」
「お願いします.......」
「ん。了解っと。」
あと1話!!