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氷雪の狙撃手  作者: ゆうかりはるる
7/40

2-2

 星流花祭の開催が発表されてから二週間が過ぎている。

 その間に、主要イベントに関して、より詳細な内容が告知されるとともに、運営スタッフの募集が行われ、いよいよ学園祭に向けた準備期間が本格的に始まっていた。

 ちなみにミサナたちのグループは、当初の冗談をノカが素早く実行に移し、スターダストフラワー・ロックアンドポップ・ライブパフォーマンスという非常に長たらしい正式名称に決定した音楽フェスティバルにさっさとエントリーした上に、見事抽選を勝ち抜いて本戦出場を決めてしまった。

 そして、ミサナとリーンにそのことが報告されたのは、出場が決まってからだった。


「ちょっと、ノカ、聞いてるの?」

「うるさいなぁ、リンは。人がせっかくSSCの曲聴いてるのに」

 そう言うノカはイヤホンを片方の耳に挿して携帯音楽プレーヤーで音楽を聴いていた。もう片方のイヤホンは、ミサナの耳に挿してある。実はミサナは二週間前に初めて聴いたSSCにすっかりはまってしまって、今ではノカと並ぶほどの信奉者になっているのだ。二人はステレオの原理で左右で聴こえる音が違うのもまったく気にせず、休み時間になるとふたりで顔を寄せ合って一台の携帯音楽プレーヤーで一緒にSSCを聴いている。

 ミサナとノカが直接何かの行動を共にすること自体が珍しいので、これはこれでいいかもな、とリーンも思うのだが、それはさておき、

「だからさ! あんたが勝手に出場を決めた野外ライブ、どうするつもりよ」

「野外ライブじゃないよ〜。スターダストフラワー・ロックアンドポップ・ライブパフォーマンスでしょー?」

 というノカの言葉をみなまで言わせず、

「だぁーっ! 何でそういうことだけ正確に覚えてんのよ。普段の勉強にも活かせ、それを!」

 ちなみにこの場には当然のごとくエミもいるのだが、これまた当然のごとく、あまり会話に絡んでこない。エミはいつも空気のようにそこにありつつ、ときどき場を引っ掻き回す。

「だから文化的な勉強に忙しくってさ」

「あんたの口から文化的とか聞きたくないわ!」

 ちなみにミサナは相も変わらぬ無表情でイヤホンの中の音楽に聴き入っている。思わず『真剣に』と形容したくなるが、単に表情の変化に乏しいだけだろう。

「そんなに言うならリンが仕切ってよー、あたしがフォローするからさ」

 あんたがフォロー?、と言いたくなるのをリーンはぐっとこらえて、

「じゃあまずは、さっさと曲を決めないと練習始められないでしょ。あと、練習場所も考えないと」

 そこでエミが急に会話に加わってきた。

「わたし、いい練習場所知ってるよ?」

「え! どこなの?」

「教えて、エミ」

 ノカとリーンの反応に満足したのか、エミはニコリと笑って、

「じゃあ、いまから行ってみる?」

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