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氷雪の狙撃手  作者: ゆうかりはるる
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4-12

 登場の仕方はまさしくヒーローのようであるが、厳密にはヒロイン戦士と言うべきだろう。ともかく、謎の変身ヒロインが露出過多なコスチュームに身を包み、悪を撃つべく爆誕したというシチュエーションだ。

 ところで、ヒーロー(ヒロイン)戦士というものは、知名度、認知度が重要である。知られていること、ヒーローだと認識されていることこそがヒーローをヒーロー足らしめ、悪に立ち向かう勇気と力を与えてくれるのだ。それは時として、必殺技の発動条件にもなるほどに、ヒーローにとって守るべき民草の存在は不可欠なのである。

 そしていま、荒ぶる観客たちの前に突如表れた謎のヒロイン戦士は、かなり微妙な反応をもって迎えられていた。会場の人々の主要なリアクションは、「え、誰?」「ていうか、何?」といったところ。

 と言うのも、星流花祭ミスコンステージに光臨した美少女戦士(語呂的に「美少女」は必須要件だ)は、いわゆる仮面ヒロインだったのだ。

 ヒーロー戦士に比べ、ヒロイン戦士の仮面度はかなり低く、大概はポップでキュートなサングラス的なものを付けるだけで、あら不思議、親しい友人でさえその正体に気づくことはできなくなる。きっと何かそういう幻覚作用のある粉でも蒔いているのじゃないだろうか。

 しかし、実際には、全体的なリアクションとはならなかったが、この美少女戦士の登場にはごく少数ながら、歓声も上がっていた。彼らは、謎の美少女戦士の格好が何であるかわかったからだ。

 美少女戦士のその姿とは、今や国民的アイドル・グループとなった、シュガー・ストロベリー・クリームス、通称SSCのコスプレだった。

 しゃららーん。

 会場内のスピーカーから突如としてイントロが鳴った。それはまさしく、SSCの大ヒット曲のイントロである。ミスコン観客席の中にも潜伏していたと見られる熱狂的なSSCのファン、通称スクリームスが雄叫びを上げる。彼らの掛け声と手拍子が、やがて会場内に伝播していく。

 いつしかそこは、熱狂的なライブ会場となっていた。

 ステージ上では本物のSSCほどではないにせよ、練習を積んだのがわかる、なかなかに軽快なダンスを仮面ヒロインが繰り広げている。仮面ヒロインはマイクを持っていないが、そこは問題なかった。なぜなら、SSCは本物も口パクだからだ!(以下自主規制)だいたいこれだけ激しく踊っている状態で歌など歌われても息切れ混じりで聞くに耐えないだろう。

 人々に三分間の夢を与え、仮面ヒロインはポーズを決めた。

 しかし、そこで事件は起こった。

 キレのある動きでターンしながら両手を拡げた状態でポーズを取る仮面ヒロイン。その仮面ヒロインの顔から、…仮面がわりのサングラスが外れてしまった。

 そこにいたのは、アイドルの衣装に身を包んだミサナ・ハイクリフだった。

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