浅知恵は身を滅ぼす
「ここはどこだ?」
真っ白な空間、家で寝ていたはずの俺は、いつの間にかそんな場所にいた。
目の前に金色の輪っかを浮かべて翼が生えた幼女が土下座をしていたので、ここにいる理由もここがどこかも想像は付くが。
「ごめんなさい、想像の通り私は神です、うっかり寝ぼけて放った神罰の雷を貴方に直撃させてしまいました! 本当にごめんなさい!」
「待てやこら! 他人の寿命と間違ったとか、神罰対象を間違ったとかじゃないんかい!」
どこかは正解でも理由が斜め上だった、誰だこんなガキを神様になんてしやがったのは!
「最近老化が進んでボケてきてる老害創造神です」
すいません、心読まないでください。
というか、いい笑顔で上司なはずの方を貶めて大丈夫なんですか?
「耳の中詰まってんのか、私らの言ってることなんて聞こえてないので大丈夫です」
太陽のように眩しい素敵な笑顔ですね。 こっちは冷や汗出てるけど。
「ありがとうございます! あ、そうだ、今回のお詫びに好きな転生特典をプレゼントさせていただきます! あと、機嫌がいいのでドド~ンと好きなだけ叶えちゃいます!」
「いいんですか?」
「ここ百年近くで唯一、私を見た瞬間「チェンジ!」って言わなかったの貴方だけなんで……そんなに大きいのがいいのかな」
いきなりグスンって泣きだされました、どうすればいいか分かりません。
とりあえず頭を撫でてあげながら特典でも考えます。
~しばらくして~
「あ~、すいません、ありがとうございました」
「いえいえ、ところで特典ですけど」
「わかってます、どうぞ好きなことをおしゃってください」
「では……」
「本当にこの特典でよろしいんですか?」
説明をした後、幼女女神は真剣な顔で訪ねてきたが。
「はい、それでお願いします」
その後、彼女は直ぐに俺を送り出した。
「分かりました……ではまたすぐに会いましょう」
その不思議な一言と共に。
気づくと俺は大きな水晶が浮かぶ洞窟の中にいた。
これは当然だ、なぜなら俺の望んだ特典の一つは、ファンタジー世界のダンジョンマスターなのだから。
つまりこの洞窟は俺のダンジョンであり、この水晶はダンジョンコアなのだろう。
「とりあえずダンジョンを広げて畑と水源だな、蓄積魔力の大半を使っちまうみたいだが」
まぁ生きるためには食べ物と水が必要だから仕方がない。
そう自分に言い聞かせて、水晶に手を当てて操作する、操作方法はなぜかわかるので心配はいらない。
少し水晶が輝きを強めた後、狭い洞窟だったはずなのに扉が生まれ、その先にはそれなりの大きさの畑と、川ができていた。
これに水晶で作った農具で耕して種を蒔き肥料を与えれば問題ないはずだ。
早速取り掛かろう、それで今日の作業は終わりだ。
せっせと土を耕し種を蒔き肥料と水を与える、すべての畑にそれらを行うのは辛かったが、明日からの生活が楽しみになる。
楽しい明日を夢見ながら寝付くことにしよう、お休み。
起きると俺はまた白い空間にいた、どういうことだかさっぱり分からん。
「やぁ、近年稀に見るお馬鹿さん♪」
「どういうことだ?」
「貴方が特典言った時のこと思い返してみな、それでわかるだろ」
ふむ。
~回想~
「では、まず転生先ですけど、ファンタジーな世界で」
「オーソドックスな剣と魔法のファンタジー世界でいいですか?」
むしろそれが望みです。
「了解です」
「あとダンジョンマスターになりたいです」
「生まれながらだとダンジョンコアと一蓮托生になりますがよろしいですか? “最悪魔力欠乏でも死にますが”」
別に関係ないから構わないだろう。
「分かりました」
「あと、ダンジョンに出入りは不可能でお願いします」
「了解しました、って正気ですか? ダンジョンマスターとしてはポピュラーな設定になりますけど?」
別に問題はないです。
「分かりました、ですが……」
以上が回想の全てである、うん、全くわからん。
今北産業でよろしく頼む。
「魔力なくなりゃ死ぬのに魔力を初手から使い込んだ。
侵入者拒んだから魔力補給不可
結果:魔力欠乏で死亡←今ここ 以上」
なん……だと!?
「あんた性格は良かったんだけど、頭がちょっとできてなかったね」
「そんな……夢の引きこもりニートライフが」
「むしろダンジョンマスターでなぜそれができると思ったよ。
まぁ残念だが、次の転生は特典無しの漂白転生だ、また一から頑張んな。
何も覚えてないから頑張れるかどうかは知らんがね」
終わり
久しぶりに書いたリハビリ駄文です。(リハビリするような腕は元々無いですが)
お目汚し失礼いたしました。