1話
「お前を幽閉する」
その言葉は唐突に告げられた。パディシャーと其の臣下たちが左右に並んで集まる広間の真ん中でプルデンティアの耳にその言葉は冷たく響く。あまりに唐突でプルデンティアは状況を把握するため、寸の間呆然とした.
何?この状況。なんで他の側近がいるのよ。私の今日の予定にこんなのないのに.突拍子すぎるわ.二人で久しぶりに話をしようと言うから来たのに。パディシャーは私を騙したの?
「っ、お待ちを。何故ですか、パディシャー。私は王であるあなたには臣下として礼を尽くしてきました。なのに、幽閉だなんて、、、。それに忠誠を誓ったでしょう⁈」
プルデンティアは大声を出さなくとも、驚き9割怒り0.5割で普段の冷静さを欠いていた。
パディシャーは王が座るものとは思えない質素な木の椅子の上でひざを組み、、そんなプルデンティアの混乱する美しい顔を見下ろし、眺めながら、静かな空間で声を響かせる。
「だからなんだ。忠誠を誓ったとて誓っただけだ。お前はウィルトゥス家の者だ。裏で何をしているか分かったものではない。それに、何故だと?そのんなこともわからないとは。尚更、反省のために幽閉するべきだな。話してくれ、ドゥクス」
王はプルデンティアに話す機会を与えさせないまま、一人の側近の名を呼ぶ。
右の列から進み出たその男は細い目に決意を宿したように赤く光らせる。パディシャーのそばへ行くときになびく額の右にある一房の髪はプルデンティアを嘲笑っているようだった。
「はい。プルデンティア・ウィルトゥス、私たちは貴女の周辺を調べました。結果、黒い石とある術を使った痕跡を発見。黒い石にはパディシャーの象徴である烏が彫られており、術は石と併用することでパディシャーを害することができるものでした。これです」
ドゥクスは黒く光るひし形の石を浮遊させ、一つの模様の幻影を皆に見えるようにうつす。恐らく先ほど言っていた術だろう。プルデンティアには確かに見覚えがある。書庫の整理をしていたときに見つけたのだ。
「私はパディシャーを傷つけたりしない。その気があったら、とっくの前にしているわ。そんな術は使わずにね」
「では何故このようなものがあったのでしょう?これらは貴女の敷地内で見つかりましたが。貴女はパディシャーに何をしようとしていたんですか?」
ドゥクス・グラディウは静かに問いただすが、その細い目の奥は勝利を確信し、輝いていた。彼はプルデンティアとは敵対する集団、クーラトールのリーダーだ。
クーラトールはドゥクスを筆頭とした、政治に関わる人物たちの集団だ.ほとんどがプルデンティアを恐れ、目障りに思う者がだ。
ようやくこの女を追い出せる。生涯追放でないのは残念だが吉報であることには変わりない。パディシャーから「幽閉のための罪を探せ」と命じられた時は、耳を疑った。それでも、それ以上に彼を狂喜させたのは王がプルデンティアを排除する姿勢を見せたことだ。
「私の敷地内ぐらい誰でも入れるわ。大切なものを置いてない場所が大半なんだから」
「ふっ、なんとでもいうがいい。幽閉は今までの悪行を思い返すのに十分な時間を与えてくれるだろう」
ドゥクスはプルデンティアの言葉を鼻で笑い、パディシャーに向き合う。
「パディシャー、こちらが調査の報告書です」
ドゥクスは頭を垂れる。その口元は密かに勝利を確信したように歪んでいた。
試しに書いてみました。感想をぜひ聞かせてください。続きは書こうかなと思っています。




