最強後衛の異世界ハーレム無双 ‐冥王転移の凡夫な俺じゃあダメですか?‐
{神迷塔ダンジョン・転移門}
オルテシア大陸
中央領地、北東部
神々が創りし白塔は聳え立つ。
初級者、愛好家、熟練者、最前線
試練は迫る平等に
総ての冒険家を魅了し誘う
彼の建物は神迷塔
無数の転移門が世界を繋ぐ
世界の中の異世界へ
――最強後衛の異世界ハーレム無双 ‐冥王転移の凡夫な俺じゃあダメですか?‐ Since2025
超自然的な力。
・
・
・
・
・
俺たちはそれを日頃から耳にするが
実際に目にしたことのあるやつは
皆無と言って差し支えないだろう
幽霊
神様
パワースポット
パワーストーン
妖怪
魔法
サンタクロース
昔は本当に存在していたけれど
科学がそれを淘汰したのか
あるいは天動説が覆されたように
嘘のメッキが剝がれだしたのか
しかしながら
現代においてもそんな超自然を
信じずにはいられない人たちがいる
例えば、現人神だとか預言者なんて自称する人に縋ったり
あるいは人形だとか大木や人骨なんていうような物に縋ったり
――――――――――――――――
{埼玉県・某所}
「りんちゃん......手を合わせた?...はい。それじゃあいってらっしゃい。」
我が家の場合、それは安っぽい”壺”だった。
時に五芒星、六芒星、丸印。二重丸。
訳の分からない呪術的な印がいくつも施された壺。
1つ200万はくだらないその壺をコレクトする為に、
家は狭くなり、食事は貧しくなっていった。
「こんなものが無ければ?あぁこんなものが無ければ。こんなものが無ければこんなものが無ければこんなものが無ければこんなものが無ければこんなものが無ければこんなものが無ければ......」
大容量のキャンプバックに詰めれるだけ壺を詰め。
真夏の夜、家を飛び出した。
「アイツのかーちゃん宗教ハマってんだって......」
「えっ、キッモー。」
「どんなのどんなの......?」
「だってお前、三軍じゃんw」
「おめー、頭悪いし足遅いし。あと臭いし。」
「り、りんたろう君。この前貸した500円なんだけどさ......確かにボクはデブだけど......」
『うるさいッ・・・!!』
――はッ?!
気が付くと町内会の見知ったオジサンが俺の目の前に立っていた。
そういえば、俺が手を合わせていたのは仏壇だった。
「りんたろう君。明美さんは、そういうご家庭を支援するボランティア活動をされている方なんだよ。......君が学校に行けてないのは、その、君の中に原因があるんじゃないかな?」
――なんだこいつは。
「うるさい......」
「りんたろう君?」
「うるさいッ、うるさいうるさいうるさいッうるさいッ!!」
この壺を持った俺にはきっと、
超自然的な力が宿っていた。
何か腕力がすごく上がるような。
俺はそのオッサンの胸ぐらを掴み道路へ押し出した。
「ダ、ダメだよ、りんたろう君」
大の大人を押し出せる力があった。
これなら、俺の真の力を知らない中学の奴らもタコ殴りにできる。
そもそも、この壺は一つ20kgはくだらないはずだ。
俺はオッサンを押し倒し、力いっぱい顔面を殴る。殴る。殴る。
「や、やめなさい!!りんたろう君!!やっ、やめ......」
その時、夜闇に紛れて現れた影が背中を強く押し出した。
バリバリとバックの中の壺が割れ、俺の身体は宙を舞った。
「りんた......」
――バッシュ......!!
目の前で、潰れたトマトが姿を消した。
――――――――――――
「え......?」
ただ忘れっぽい夢を見たような暇
俺の視界に、何かが映る。
「は?」
吸い込まれる。
・
・
・
・
『おぎゃあ......おぎゃあ......おぎゃあ......!!』
「産まれましたよ~。」
「先生!!」
「えぇ、きっと賢い子に。貴方の村を代表する...英雄に、なるでしょう。」
『おぎゃあ......おぎゃあ......おぎゃあ......おぎゃあ.....おぎゃあ......おぎゃあ......!!』
―――――――――――
――チッチッ......シュボッ!......
「フゥーッ。」
目まぐるしくまわる視界。
『オッ......オェええェええ・・・!!』
ぶちまけた吐しゃ物の下には、何やらRPGの世界で見る様な魔法陣。
「ん?」
その音に気付き、
白衣を着た眼鏡の女が、
煙草をくゆらせながらこちらを振り向く。
髪型はボサッとしてガサツな後ろ一つ結び。
目の下にはクマを付けていた。
「おや。.......しまった。」
ガラス製の、高さ3メートルはあろうかというポッドに囲まれ、
薄暗い部屋に怪しげなネオンが光る。
俺の目の前にいる女はポケットに手を突っ込み、
冷静に「しまった。」と、そう呟いた。
「スーッ...フーゥ.....」
灰皿にたばこをトントン当て、
怪しげな女は頭を掻く。
「こりゃあ珍しい。私の仮説が正しく”無け”れば、侵入者だ。」
女は机の上に置かれたメスを拾い切っ先を光らせる。
「ちょっちょっと待ってくれ!!俺は侵入者じゃない!!」
「では、どうして顔が血塗れなのだろう。」
俺は頬にべっとりと付いた血を触り、それを服の裾で拭く。
「と、とにかく俺は侵入者じゃない。」
俺は手を突き出して無抵抗をアピールする。
焦ってはいたが、内心では高揚が抑えきれなかった。
まったく知らない世界のはずなのに、
何故か見たことあるような培養ポッド。
中にいるこの世のモノとは思えない、
得体のしれない生物。
その女は指揮者のように杖を振り、
足元に散らばった俺のゲロは、
みるみるうちに蒸発していく。
この状況を俺は知っている。
ネットで今流行っているアレ。
迫りくるトラック.....知らなくて暗い場所.....
これはきっと.....
「俺は、異世界転生者だ......!!」
「それは違うな。」
返す刀で即答される。
「あえ?」
女は2本目の煙草にシュボっと火をつけ煙を吐き出した。
1本目がなにか気に喰わなかったのだろうか。
「転生はさきほど失敗した。それはお前の身体だろう。」
「○○(博士。)」
ガシャと闇の中から鎧兜を纏った大男が現れる。
「○○。✕×✕✕✕✕✕✕✕✕。○○○○○○〇。△△△△△。......✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕。(あぁ。まぁそのままにしておけ。経過報告もいらん。私のミスだ。......破棄しておきたまえ。)」
「✕✕(はい。)」
「それで。スーッ......ハァーッ。ひみふぁ。.....君は、転移魔術式の誤った接続により、何故だかここに辿り付いてしまった訳であるが。異界間転移はそう簡単ではない。私の仮説が正しければ、私達など足元にも及ばぬ高位の誰かが、直接異界との通路を開いた疑いがある。」
――異界との通路.....?
異界が何を指すのかは分からないが。
とにかく、ここは夢の中ではない。
辺りに広がる消毒液のツンとした匂いが、
そのことを、ハッキリと伝えてくれていた。
「そして君はその時、たまたま、転生者を産み出さんとする我々の魔術式とリンクでき。たまたま、あの娼婦が出産している時に、たまたま我が家に有った転移陣へと移動した。なんと凄まじい偶然なのだろうか。おおよそ此方だけでは再現性に乏しく、こうして新たに、それも質の良いドラマグラが生まれてしまったというワケだ。フハハハハハ。」
「.....フハハハハハ。」
闇の中から兜にこもった笑い声が、
釣られるように続いた。
「ドラマグラ......?」
聞き慣れない単語に、俺は首を傾げる。
「あぁ。分かりやすく言えばイカレぽんち。気違いの類だよ。彼らはとても突飛で革新的な発想を持っている割に、そのどれもが実用に至らず、論理説明も不十分で頭がおかしいとされている。出来ることは旨い料理を作るくらいだ。大抵は赤子の状態からドラマグラだと次第に判明していく......あるいはドラマグラ化していく......が、君はどうやら違うらしい。現時点で、そのダッさいジャージも悪臭も、言語能力も、その全てがズレ切っている。まるでパラレルワールドから来たみたいに.....」
「げ、言語?何を言ってるんだアンタ。」
「こっちの台詞だ。君は私以外とは共通言語で会話を出来ない。だから今私の後ろにいるニーシャは、何故私が笑っているのかも分かっていない。フハハハハハ。」
「フハハハハハ。」
「ハ、ハハ......」
なるほど。
どうやら俺、相沢倫太郎はひょんなことから、
このマッドサイエンティストによって
異世界転移させられたらしい。
まったく、どうやったら元の世界に戻れるのやら。
「ハハハ。でも、ひとつ違うぜ。異世界は存在する。少なくとも、俺の世界にそのポッドの中にいる気色の悪い生物はいないし、さっきお前が見せた魔法も存在しない。」
「はぁ。まったく要領がいいのか悪いのか分からんやつだな。私はドラマグラたちの世界について肯定派の立場を取っている。しかしながら例えばだ。例えばお前......”スマホ”とやらを知っているか?」
「スマホ?あぁ、もちろん。スマホのことは知っているぞ。スマホなら今.....」
俺はポケットをまさぐり思い出す。
スマホが無い。
ポケットに必ず入れていた、俺のスマホが。
なんで.....
「では、それがどのように作られるか説明してみろ。」
「なっ、それは。その、電気回路みたいやつを。.....なんかするんじゃないのか?」
「.....分かった。ではジェットエンジンは?」
「あぁ、もちろん知ってる。」
「では、その作り方は?」
「いいや複雑すぎてわかんねぇーよ!!」
「はぁ。」
女は呆れた様に溜息を吐き、眼精疲労を取りたいのか目頭を押した。
「物を浮かすことも、箒に乗り空を飛ぶことも、杖から水を出すことも、人間を介した魔素の性質変化だ。我々はその方法や原理を基本的には、説明することが出来る。しかし貴様らは、通信 読書 録画 録音 写真撮影それらの再生等 複合的機能を持つそのアイテムなどについて、何故か誰も、それを詳細には説明が出来ない。あるいは出来たとしても、この世界では論理性に欠け、その方法では再現ができない。噓八百のイカレぽんち。私も何度か労力を無駄に費やしたよ。差し当たってはスマホに関しても、代替品の既にあることが、君達の価値を殊更低下させている。」
クールダウンするように、女はポケットに手を入れ、
反対の手では煙草を丁寧に吸った。
「ふぅ。まぁ.....私はそうは思わないが。」
俺は未だグルグル揺れる頭で考える。
これはここまでの仮説だが。
周りのメカメカした研究設備を見るにも、
この女の話を聞くにも、
恐らくこの世界は、
技術の遅れた中世ファンタジーということではないようだ。
あるいは、その技術格差が大きいのか。
「狂信者たちはみな、ドラマグラという小説の中に存在する高度な概念を共通認識として持っている。しかしながら、彼らは一様に、その革新的な技術を再現することは出来ない。10年前にもお前のような転移者が現れ、多くの尋問が行われた。その時の彼女は転生者に比べて多くの鮮明な記憶を持つドラマグラであったが、結局魔法技術を底上げするような有力な情報は得られなかった。」
と、言われましても。。。
俺は返す言葉なく立ち尽くす。
「はぁ......仕方がない。.....勿体無いが、ここで消すか。」
「ちょっと待て、どうしてそうなるんだよ!!」
女は呆れながら目線を上げる。
「貴様、火炎を発生させる簡易魔術式を言ってみろ。」
「し、知らねぇよ。」
「では、二酸化マンガンの化学式は?」
「は?」
「クロム酸カリウムは?」
「いや。」
「水は?」
「あー、あ。.....エイチツーオー。」
「もういいさ。.....無能。その状態の君は何ら私に利益をもたらさない。あるのは目下の不利益だけだ。.....実に、ドラマグラたちが定義する超自然的な力。私たちはそれを日頃から耳にするが、実際に目にしたことのあるやつは皆無と言って差し支えないだろう。」
――・・・?!
「衛星、ロケット、原子力潜水艦、核爆弾、電子パルス、人工知能.....等々。昔はこの世界にも存在していたけれど、魔法がそれを淘汰したのか。さながら超自然的な迷宮で、我々が魔術を使えなくなるように。」
「魔法が......淘汰した......?」
「実に、ドラマグラたちの発想は目を見張るが、彼らの知識は一様に傾いている。これは”ドラマグラ症候群”と呼ばれるものだ。そして特段注視すべきことに、悪魔の門と呼ばれている異界発動系の魔術は禁忌扱いされ禁固刑及び死刑に処せられる。分かるだろ、これは『転生』についての話さ。」
白衣の女は、肩を落としたように続きを話す。
「例えば......君が極度の海洋恐怖症だとして。君が一匹のアジに転生させられたとする。アジの親は自分の子供の魂が贄となり、大変心苦しい思いをする。一方、海洋恐怖症の君には毎日拷問のような人生が訪れるだろう。あるいは君が閉所恐怖症だとして、蝉に転生したとする。蝉の親は自らの子供の魂が死に、他者の魂に入れ替わったことを嘆くだろうし、閉所恐怖症の君は空を見る前に地中七年間もいなくてはならないというストレスで死ぬほどの苦痛を味わうだろう。あるいはストレスで本当に死ぬかもしれない。あるいは君が大の虫嫌いだとして、メスのゴキブリに転生させられたとする。「ゴキブリですが、何か?」と開き直りたいところかもしれないが、君がどれだけの知恵を振り絞ろうともゴキブリは所詮ゴキブリのまま、テラフォーマーズへ進化することも無く、最終的に犯されるか共食いされるか、ゴキブリとして惨めに生きるか迫られる。一般的に後世へ記憶が引き継げないということは、残酷な不幸を取り除くための神々の措置であると解釈できる。しかし我々人類が身勝手ながら、あの世へ旅立つはずの崇高な魂を現世に呼び戻し、身勝手に記憶を引き継いだまま転生されば、おおよそ人道に反する最悪の結末を招きかねないということになる。すなわち転生とはね・・・。”魂を弄ぶ行為”と、解釈もできるのだよ。すなわち、君をここに置いておくメリットが私たちには無い。戦争準備に時間を取られず、暇を持て余していれば話は別だっただろうがね。.....あー、......しまった。私は内弁慶でね。研究所にいるとつい喋り過ぎてしまうんだ。」
女は俺の前で杖を向ける。
「な、なにをする気だ......」
何をされるか分からない杖を向けられている。
ただの木の棒で無いと知れば、
さながら銃口を突きつけられている気分になる。
「ドラマグラへの尋問は何度もしてきたよ。10年前のあの子を買い取ってね。あぁ、今は後ろのポッドでおやすみ中だ......」
女が指す先には、
俺が気色の悪いと言った生物がいた。
「実に彼らは魔法生物との適合率が高い。魔力を内在しないからだろうね。ともすれば君にも使い道はあるのだろうけれど。出会いが悪かったね。――私はイレギュラーが嫌いな魔術師なんだ。」
「やめろ......」
「知っているぞ。君達、ドラマグラはこういう時、もっともプリミティブでフェティッシュな......」
「やめろッ!!俺は元ネタを知らないんだ!!」
「とかく。君は知り過ぎた。というか私の素顔を見てしまったから、さながらトラックとやらに潰された時みたいに。あぁ参った......そういえば君は転移者だったな......では、バージンを捧げてもら――」
「侵入者です。ネビュラさま。」
(......※△です。”ネビュラ”......)
動揺からか。俺は奴のテレパスの一部が聞こえた気がした。
「ネビュラ......」
俺がそう呟くと、その女は赤色に光らせた瞳孔を刺すようにこちらへ向けた。
『そうか。』
『ディスプルーフ。』
【質量保存則の反駁】
系統:契約魔法系・固有魔法
等級:X級
詳細:???
女は右手をかざしてそう唱え、
何も無い場所からローブを取り出しては素早く羽織る。
そして被ったフードは紋様が走る様に紫色に光り、
目元は陰りに消えた。
刹那に変る世界の空気。
重力。
目の前の人間が放つ、並々ならぬ圧力。
真正面に相対し、中てられたこの心臓の動機。
「こいつは.....やばい.....」
すかさず今度は、
振りかざす左手の杖の先端が俺に向く。
『デモリッシャー。』
【破滅した鎧騎士】
系統:契約魔法系・固有魔法
等級:X級
詳細:終遺物・???
杖に引っ張られるように、
ニーシャと呼ばれた男がピッピッピと3回音を鳴らした後、
縦に半分で割れた。
それはまるで怪物の口のように、
鋭利な牙とグロテスクな内側を覗かせて。
爆風にでも煽られたかのような勢いと速度で。
俺を嚙み砕こうと飛び掛かる。
――ガファツ!!
「うっ」
右頬に酸が掛かったような痛みと、
身体全体を圧迫する重量で、
俺はその時、意識を失った。
――――――――――――――
{5年後}
それからというもの俺はとある料理屋の店主に保護され、
そこに住み込みで働いていた。
店のモットーは『誰でも歓迎!!』
そこではウェイトレスにうさ耳の獣人ミミとリザードマンのケン、
そして厨房ではドワーフのダンジーと
俺を拾ってくれた店主バルゼンの親方が働いていて、
俺も厨房を任された。
どうやら親方の父親は転生者だったらしい。
料理は苦手な部類だったと思うが、
どうやら俺は筋が良かったらしく、
チャーハンやカレーライスなんかの料理は
よくバルゼンさんに褒められた。
働きながらも俺は、
バルゼンさんのお店の近くにある{王立ウッドレン図書館}に赴き、
この世界のことについて沢山勉強した。
どうやら俺が今いる場所はアイギス領と呼ばれる場所らしい。
少々寒い日が続くのは、
ここが北領と呼ばれる寒冷地帯に
近い場所であるからだそうだ。
どうやら公にはなっていないらしいが、
俺を闇医者から救ってくれたのは、
フェノンズと呼ばれるアイギス最強の自警団らしい。
そしてこれは俺と俺のパーティに入ってくれた仲間達しか知らないことだが。
あの日、あの場所で出会い俺を殺そうとした闇医者は、
アルプ・ネビュラという名の冒険者。
細かく言えば”シーカー?”とよばれる類の
伝説的にヤバい奴だったらしい。
ネビュラが戦争を企ててること、
そして俺があの『冥王ネビュラ』に召喚されたこと。
あの日、ネビュラが転生者を産み出すという禁忌に触れていたことは、
今度あのマッドサイエンティストにあった時の
交渉材料にでもとっておこうかな~。
そうそう。
仲間っていうのは、
俺がこの街で出会い創設したクランの
愉快なメンバーのことだ。
【月炎の舞踏会】
首 領:「リンタロー・アイザワ」
種 別:「冒険者」
階級位:D級
構成員:4名
登 録:神迷塔ギルド協会
称 号:神迷塔のルーキー
月炎の舞踏会のクランメンバー。
まず前衛に3人の女の子がいる。
とある寒い雪の日。
珍しい食材の買い出しの時、
ノスティアの貧民街で出会った猫の獣人のマルタ。
虎のように明るい髪色で力が強い。
根っこはドジだが、
ロリッ娘ならではの素早しっこい身のこなしで敵を攪乱しつつ、
部分獣化をした時は鋭い爪で優秀なアタッカーになってくれる。
【マルタ・レスワラ の登録情報】
・ステータス
名前:マルタ 種族:猫人族
所属ギルド:神迷塔ギルド
所属クラン:月炎の舞踏会
役職:メイン 斥候者
サブ 攻撃者
資格:神迷塔冒険者C級
加護:なし 魔法:なし 耐性:打撃耐性B 毒耐性B
固有スキル:猫人獣化
自由記載:ダンジョンでも鼻が効く。
指標レベル:3
そしてダークエルフでありながら、
ノスティアのとある領主の家でメイドをしていたスミーナ。
スミーナはいつも褐色肌を包むメイド服を着ていて、
大人びた振る舞いで俺とマルタに魔法を教えてくれる先生のような存在だ。
胸が大きいからかよくマルタには嫉妬されてる。
俺としてはもっと仲良くしてほしいものだな。
スミーナは魔法知識もさることながら、
月光剣と呼ばれる最強格の剣技を操る黒魔術師。
いつも冷静で頼りになるが表情は読みづらい。
クーデレというやつだろうか?
【スミーナ・ノヨドコナ の登録情報】
・ステータス
名前:スミーナ 種族:ダークエルフ
所属ギルド:神迷塔ギルド
所属クラン:月炎の舞踏会
役職:メイン 攻撃者
サブ なし
資格:家庭菜園師1級 1級調理師 専門魔獣調理A級・・・(以下略)
加護:不明 魔法:黒術魔法全般 耐性:催眠耐性
自由記載:月光剣を修得している。
指標レベル:3
そして最後は、
俺と同じヒューマンで、
最強の炎使いであるアンデルシアたん。
アンデルシアたんは俺の天使......いやいやじゃなくて、
ノスティアのとある領主の娘だった。
そう、スミーナが仕えていた貴族の屋敷はアンデルシアたんの家だ。
俺はアンデルシアたんの家へ料理番として赴き、
そこで2人と出会った。
アンデルシアたんは寒い冬を暖めてくれた炎魔法にぞっこんで、
日夜問わず7歳の頃から鍛錬を繰り返していたらしい。
それにも関わらず彼女の能力は中々実らなかった。
しかし、アンデルシアたんが16歳を迎えた時。
俺は彼女とスミーナを
アイギス領の代表的なダンジョン神迷塔に誘った。
そこで前衛を張った炎剣士アンデルシアたんの能力は開花。
俺なんて足元にも及ばない程の無双っぷりを見せてくれたのだ。
そう。アンデルシアたんの炎魔法が弱く見えたのは、
寒冷なノスティアで炎魔法を繰り出していたからだった。
【アンデルシア・ベラレルタの登録情報】
・ステータス
名前:アンデルシア 種族:ヒューマン
所属ギルド:神迷塔ギルド
所属クラン:月炎の舞踏会
役職:メイン 攻撃者
サブ 回復者
資格:神迷塔冒険者B級
加護:寒暖の加護 魔法:炎術魔法全般 耐性:火炎耐性A 熱耐性C
自由記載:戦闘で負った傷を熱消毒、熱止血可能。
指標レベル:4
さて。俺はと言えば、、、
そんな優秀な仲間に引っ張られるだけのお荷物凡夫だ。
だがマルタは俺にはみんなを引っ張れるリーダーシップがあると言ってくれた。
これもあの冥王に召喚された影響だろうか?
【リンタロー・アイザワの登録情報】
・ステータス
名前:リンタロー 種族:ヒューマン
所属ギルド:神迷塔ギルド
所属クラン:月炎の舞踏会
役職:メイン 支援者
サブ なし
資格:神迷塔冒険者E級
加護:なし 魔法:前衛支援 転移魔法 耐性:なし
自由記載:武器を研ぐ『研石』を持参。
指標レベル:2
まあ実戦では向こうの世界に居た時何らと変わらず冴えないままで、
みんなを後衛からちょっとバフするばかり。
でもみんなにはそれがいいらしく、
俺はめげずに今日も彼女たちとダンジョンに潜ろうとしている。
「ほ......本当に良いんですか?確かにリンタローさまのクランは目覚ましい成長を遂げていらっしゃるとは思いますが、ここはまだ。いえ、かなり、時期尚早かと思いますが。特にリンタロー様が。」
可憐な受付番ルーゼンさんの注意喚起を聞いて
マルタが俺の脇腹を肘で小突いた。
「だってよリンタロー、言われてるニャ!!ニャハハハ!!」
獣化をし肉体の大きさを変化させるマルタの服装は露出が多い。
そんな天真爛漫なマルタの笑顔が今日も痛いのであった。
「ったく~。」
俺は人懐っこいマルタを引き剝がす。
むくれるアンデルシアたんが今日も可愛い。
「はい、ルーゼンさん。でも良いんです。僕はアンデルシアたんの活躍が見たいから。彼女はきっともっと強くなる娘です。だから僕なんかが足を引っ張れないんです。」
「もうリンタローってば。......私が自信を持って戦えるのは、その、......リンタローがいてくれるからなんだからね?」
「え、いまなんて言ったのアンデルシアたん!?」
「ふふ。恥ずかしがってしまって。」
「もう!スミーナも茶化さないでよ!!」
ダンジョンへの旅はいつも過酷だ。それでも俺たちは5年の歳月を経て、ここまで登り詰めた。次に挑むのはモンスターのリスクもお宝や魔晶石のリターンの、今までより数段高い最難関ダンジョンだ。でもきっと俺達なら行ける。
「わ......わかりました。では一応、こちらの署名欄にサインをお願い致します。当ギルドが責任を取れないというサインです。」
「構いませんよ。いつだって、ダンジョンとはそういうものですから!!」
道なき道を今日も進む。
美しい白色の大理石が広がる神迷塔のダンジョンは、奇しくも俺がこの世界に来たときと同じ原理を持つ転移型ダンジョンだ。各ダンジョンへの入り口からリレーポイントと呼ばれるセーフゾーンへ転移装置を使って飛ぶ。これは裏話だが、この転移装置一つ一つに開拓に貢献したクランの名前が付けられ、それがお酒としてギルドのバーで売られている。そしてまだ使われていない転移装置、俺たちはその装置にフレイムダンスの名を刻む日まで、進み続けるのだ。
「行きましょう。リンタローさま。」
「行こう、リンタロー!!」
「行くニャ、リンタロ~!!」
俺は転移門の前で、
3人の手を取り今日も進む。
そう。
これは何をしても冴えないアイザワ・リンタローと、
強くて逞しい仲間達との物語。
そしてその記録である。
タイトルは...... そうだな、
【最強後衛の異世界ハーレム無双 ‐冥王転移の凡夫な俺じゃあダメですか?‐】
・
・
・
・
・
・
『ダメだろ。』
その端的な言葉に、
俺は何処か清々しく、
穏やかな気持ちで笑って返す。
「ダメかー。」
そいつは俺の手記を土の地面に落して音読を止めた。
俺は高難易度ダンジョンとは思えない穏やかな沃地で、
青々と生い茂る木の葉の間に広がる青空を仰ぎ見ながら、
先刻捥がれた自分の四肢が、
刻々とラーシャに喰われていく音を
ただ呆然と、成す術も無く聞いていた。
「高難易度ダンジョンで注意しなくてはならないことは.....3つある。なんだと思う?」
――パチンとライターを開いては、また、パチン。と閉める音が続く。
「一つ目は意識外の障害。例えば無臭の毒ガスだとか、栄養不足による脚気だとか、自律神経や海馬、三半規管などに干渉するような精神汚染ないし魔素の乱れによる不調がこれに当たる。」
――ブベッ!!
ラーシャと呼ばれた鎧騎士は、
正中線で開く口からアンデルシアの服を吐き出した。
栄養の無い部分だけ、分けたのだろう。
「パンツ......」
「二つ目は言わずもがな強いモンスターだ。私が対峙したもので一番衝撃だったのは深界魚と呼ばれる生物で、陸地なのに浮遊して襲ってくる化物なんだがね、カメレオンみたいに姿を消せるやつで、捕獲するのに何人もの私の部下が食われてしまった。あぁ、君と適合させる子だから互いに仲良くやってくれ。」
漂う風に、ずっと血の匂いが混じっている。
やがてネビュラはライターで煙草に火をつけ、
血の匂いにメンソールの匂いが混じっていた。
「そして三つ目。みっふめはね......ハァー。バケモノよりも恐ろしく狡猾で手強い生物。」
ネビュラはさぞ想い更けるように肺へ煙を溜める。
その紫煙が俺の青空を侵食するまで。
「すなわちね......”同業者”だよ。」
俺は余りの絶望に笑いながら泣いていた。
「不死鳥の騎士団が五年前。ふぅー。君を保護しなかったのが答えさ。君はあの日から世界に見捨てられたんだ。少なくとも、アイギスにはね。しかし戦争の準備で後回しにしてたとはいえ、よく五年も私から生き残ったよ。そのあいだ、君が一切あの日のことを口外しなかったのも理由の一つだが、君は私の素顔を見たのみならず名前まで知ってしまった。つまり分かるだろ、私は普段素性を明かすことも無いし、こんなにお喋りでもな......しまった。喋り過ぎてしまったよ。許してくれ、内弁慶なんだ。」
――チリチリ......フー.....チリチリ.....
煙草の燃える音がする。
アルプ・ネビュラは五年前と全く変わらず、
若い容姿に寝不足のようなクマを浮かべていた。
「しかし、喋らない事には想いは伝わらないな。」
「ネビュラ、おで.....」
「はぁ、ラーシャ。君は節操がないな。」
ネビュラは涎を垂らすラーシャの前で立ち上がり、
下敷きの様に座っていたマルタから尻をどけた。
「はい、どうぞ。」
「う”ん”!!」
俺は目を瞑って息を吸う。
耳を塞ぐ腕は捥がれた。
逃げ出したいと疼く足は斬られた。
「まったく、直ぐにリーシャと世代交代してしまうぞ。.....あぁ、すまない。で、なんだっけか。」
ネビュラはマルタの下にあった丸太の上で
膝を抱えるように座りなおし、
頬杖をついて俺を見下ろす。
普通の冴えない、理系の寝不足大学生に見える。
五年前とその容姿は何も変わっていない。
「う~ん。いい天気だ。」
ラーシャの咀嚼音が止み、
鳥の囀りが安らかに聞こえる。
ネビュラは音を楽しむように、
穏やかに目を閉じていた。
「ここはいい。ダンジョンとは思えない。とても眠たくなってくるよ。私はホームを持たないからね。.....いつも外弁慶とも言える。閑話休題。」
ネビュラは二本目の煙草に火をつける。
「どうして。あの時、どうして君だけ逃げようとしたんだい.....?」
・・・
「君は、最初からクズだったのかもしれない。しかしこの五年でこの世界の言葉を操り、習得難度も使用魔法量も高い転移魔法を1から学び、一日一度だけ5メートル先に移動できる程度に会得出来たことはスゴイことだ。凄い執念だ。驚くべきことだよ。でも、どうして君だったんだ。仲間のためにとか、敵を倒すために、とかじゃなくて。」
どうして.....だろうか。.....思えば俺は、最初から。
「さい.....」
「ん?」
ネビュラは杖を振り、
遠のく意識が少し楽になる。
「さいしょ.....から、さいしょに、クマみたいなやつと、戦った時から。ダメだと思った。」
「うん。」
「チートスキルもない、レベルもない。ゲームだとかマンガだとか、ラノベで見てたような世界よりも、よっぽど疲れるし、よっぽど怖いし、よっぽど自分は弱いし、.....何よりも、痛かった。痛かったんだ.....!!初めて怪我をした時、痛かった。なんかこの世界、便利な治癒魔法とか無いし!!血は止まんないし、血見るの嫌だし。そもそも魔法覚えるのとかクソコスパだし!!......毎日毎日毎日毎日、何時間掛けたと思ってんだッ!!何時間も掛けて勉強してやっと枯れ葉に火が付いただけって何だよそれッ!!剣術もガキの頃からやってる奴らには敵わないし.....!!弓も当たんないし。なんだよココ、聞いてた話と違ぇよ!!なんだよ.....!!」
溢れ出す感情のまま、俺は泣いていた。
――スー、ーッ.....ハー
「分かるよ。」
ネビュラは一吸いしてから、遠くを見つめて言った。
「私もきっと、そう思うんだろうな。いくら超自然的な探求が出来て、整った秩序で物作りが出来たとしても。なんでこんな不便なんだー。なんで杖を振っても火が出ないんだー。火は何処だー。魔法は何処だ―って。」
――パチン。とネビュラはライターの蓋を閉める。
「イカレぽんち。イカレたクソ野郎。イッちゃってる人。気違い。.....狂信者。でも私は、君の気持が分かるし。.....君達の世界が、あると思っているよ。.....あぁ、また喋り過ぎてしま・・」
同情。.....された?
「さてと.....そろそろ.....」
俺が。こいつに.....?.....は?
「.....殺してやる。」
「お?」
「殺してやる、ネビュラ。殺してやる.....殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!!殺してやるネビュラ!!ぶっ殺してるッ!!このイカレ野郎ッ!!お前が!!お前に、お前に.....一体俺の?!――ぶふkつy.....!!」
脇腹に衝撃が走る。
俺の身体は思った以上に軽いようで、
思った以上に転がり易いようで、
さながらサッカーボールにでもなったような気分だった。
「ダメだよ。もっと端的じゃなきゃ。後世に残らずとも、私の心に残るような。端的な言葉じゃなきゃ。それとも、聞かれてから応えたいタイプだったとかか。あぁ、余計なプレッシャーをかけるといけない。大丈夫だ、私は君のよき理解者に成れる。何を言ったってね。」
はぁ.....そうか.....俺はもう.....
「じゃあ.....ほら、”言い遺す言葉”は?」
俺はもう.....
「最強.....無双.....凡夫な.....じゃ.....ダメ、ですか.....?」
――パチン。スゥー、ハー.....
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「何言ってんだ、お前。」
{原題:ノアの旅人『冥王ネビュラ』 より}
読了ありがとうございました。
ブックマーク・評価、感想などは大変励みになっています。
是非ともよろしくお願いいたします。
――――――――――――――――
ワールドシリーズ
・ワールドシーカー『ノアの旅人』
・ワールドシーカー『ノアの罪人』
・ダンジョン作りにはSayがいる!!
・その他(短編、設定資料etc...)




