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ソウガ「……アイツ、正気か……?!」
ソウガは空中で、なんとか、あかりの体を受け止めた。
ギリギリだった。手が届いたのは幸運としか、言いようがない。
あかりは気を失って、ぐったりと、重い。
ソウガ「……くっそ!」
風に煽られながら、自分の呼気で固めた空気にすがりつく。
ここから意識のない人間を一人、抱えながら、島に戻ることが出来るだろうか?
自分の呼気という限られた手がかりしか使えない。
ソウガ「……おい、あかり! 目を覚ませ! 死ぬぞ?!」
あかりの反応はない。
ソウガは覚悟を決めて、少しでも多くの呼気を操ろうと、深い呼吸を始めた。




