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神の手は祈りの形をしていない /異能力を使って将来犯罪をおかすと隔離教室に入れられたボクら(でもボクの異能力、幻聴が聞こえるだけで……)  作者: 陽々陽
012_歪む世界

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012_1

 ノクスは上機嫌だった。

 なにしろ、この浮き島責任者代行、学院とのパイプ役の地位を手に入れたのだ。

 ここからはもっと自由に、もっと大っぴらに動きが取れる。


ノクス「ソウガ、お前の望みを叶えるのも時間の問題だぜ」


 タブレットPCに何事かを打ち込みながら、ノクスはルームメイトに語りかけた。


ソウガ「……そう願いたいね」


 就寝を邪魔されたソウガは、やや機嫌が悪い。

 しかし、ノクスが唯一の望みであることも確かだ。しぶしぶながら会話を続けた。


ソウガ「……で、これからは何をすれば良いんだ?

 お前の護衛は続けるんだよな?」


 ユウの護衛として、危険が迫ったときに守る。これは、ノクスとソウガが最初に取り決めた約束のひとつだ。


ソウガ「あの意味分かんねえ文字を書くのも、続けるのか?」


 ソウガはサイドテーブルに置かれた赤いペンを見た。

 授業中、誰にも見つからないように、廊下の天井や壁に一文字ずつ文字を書く……それも、ソウガがノクスに依頼された『仕事』だった。


ノクス「あれはもういい。

 ……いや、今度は時間を見て消してくれ。アルコールか除光液か……なんならヤスリで削っても良い」


ソウガ「……あれ、意味あったのか?」


ノクス「追い込む一要因にはなったさ。

 まあ、これからはあんな小細工は要らない」


 ニヤニヤ笑いながら、ノクスは言った。


ノクス「それにしても、バカ正直な報告だ!」


 ノクスは、タブレットの画面に表示されたエレナの報告書を見て、あざ笑った。


ノクス「ちゃんと事実を正しく、細かく書いてやがる!」


 理想の報告書なんじゃないか、とソウガは思ったが口には出さなかった。


ノクス「せっかく犯人が死んでるんだ、不都合なこと全部、かぐらに被ってもらおう!

 あと、なんだ? 理事長派?に容易に手が出せないよう、証言もねつ造しておこう!」


 エレナの報告書を次々と書き換えながら、ノクスは言った。

 ソウガは改めて、ノクスの不誠実で人を小馬鹿にしたような態度に嫌悪を抱いた。


ノクス「……ソウガ」


 突然、静かに名を呼ばれて、ソウガはぎょっとした。心の内を読まれたのかと思った。


ノクス「これからも頼むぞ。……もうすぐ、だからな」


 薄闇の中、タブレットの液晶の光に照らされたノクスの顔を見て、ソウガは本当にこれで良かったのか、頼る人間を誤ったのではないかと、自問した。


 だが、もう引き返せない。



****読者様へ****


ここまで、ユウ達の物語にお付き合いいただき、ありがとうございます。


8/9から毎日1回以上の更新を継続出来ておりましたが、ついにストックが尽きてしまいました。

ここからは2日に1回くらいのペースで進めて行けたらと考えております。


とりあえず次の更新は9/3(水)を目指します。


これからも、彼らの物語を見守っていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。


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