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神の手は祈りの形をしていない /異能力を使って将来犯罪をおかすと隔離教室に入れられたボクら(でもボクの異能力、幻聴が聞こえるだけで……)  作者: 陽々陽
007_レクリエーション_クロスコード・デュエル

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007_4

ルイ「ユウ……お前、本気か?」


ユウ「なにか、変?」


 ユウはわざと横を向いて見せた。

 ちゃんと赤色の尻尾が見えるように。


ルイ「ミドリにしなくていいのかって聞いてるんだよ」


ユウ「?ルイだって赤の尻尾じゃん。一緒だよ」


ルイ「……オレの能力が、幻聴と一緒だって……?」


ユウ(……ヤバいよ、ノクス。思ったより怒ってる……)


ノクス(失礼な話だぜ)


 赤い尻尾を選んだのは、ユウ、ルイ、サキ。ましろはミドリの尻尾をつけた。


ミナト「開始!」


トーマ「デュエル・クロッシンッ!」


ルイ「手加減しないって言ったよな!ユウ!」


 ルイがユウに向かって距離を詰める。

 サキは自分たちのフラグの前で守りの姿勢だ。


ユウ(作戦通り……!)


 ユウの最初の役割は囮だ。

 1人を自陣に引き込んで……


ユウ「ましろ!ルイ集中で!」


ましろ「はーい」


 自陣にいる限り、尻尾を取られることのないましろと、2人でルイを挟み撃ちにする。


ルイ「アブねえ!」


 バチィッ!

 ましろの足下が派手な音を立てた。


ましろ「きゃっ!」


ルイ「直接感電させんのは、反則っぽいからよ。

 地面に電場を溜めた、誘導放電の地雷だぜ」


 よく見ると、ルイの足下がわずかに光を放っている。


ましろ「……え……」


ルイ「違うよ!?危なくないからね!?静電気みたいなもんだから!」


 怯えたましろに、思わず弁明を始めるルイ。


ノクス(今だぞ!速く!)


ユウ(分かってる!)


 ルイをましろに任せ、ユウはルイの横を走り抜けた。

 相手陣地のフラグに向かう。


サキ「任せな!」


 サキが地面に両手を置くと、ユウの目の前に土の壁がせり出た。


ユウ「なにこれ、すげえ!」


 身の丈ほどの土壁に、勢いを殺しきれず、ぶつかる。

 しかし体勢を選ぶくらいの猶予はあった。ユウは肩から、ちょうど壁にタックルするような形になった。

 土壁が少しだけ揺れた。何度かぶつかればぶち破ることも可能だろう。


 当然、相手はそんな猶予を与えてはくれない。


ユウ「うわっと!」


 ユウは辛うじて、サキの手から逃れた。

 サキが土壁を回り込み、ユウの尻尾を狙ったのだ。

 壁を使ってサキと距離をとるユウ。


ユウ「あれ?」


 このままサキとの攻防が始まるかと思ったが、サキはユウに構わず、そのままユウ・ましろチームのフラグに走った。


ユウ(ボクの方が近いのに?!)


 もうあと数歩。ユウは、ルイ・サキチームのフラグの近くにいる。


ユウ(これなら勝てる---?!)


ノクス(急げ、ユウ!)


ユウ「これは、ズルい!」


 ルイ・サキチームのフラグに身体を向けたユウは、思わず叫んだ。

 そこにはフラグを囲むように土壁がそびえ立っていた。


ノクス(届くぞ、乗り越えろ!)


 ユウは壁の中腹を蹴った。辛うじて、片手が壁の上面にかかる。

 サキはまだコート中央。このまま登れば……


ミナト「そこまで!」


ユウ「え?」


 試合は、唐突に終わった。

 なぜ負けたか、ユウには分からなかった。

 

 ルイはましろとにらみ合っていたし、サキもまだコート中央くらいで……


ユウ「やっぱズルイよ、異能力って……」


 サキがユウ・ましろチームのフラグを掲げていた。

 地面ごと、コート中央に移動させたフラグを。


********


ルイ「どうだ、ユウ!俺たち最強だぜ!」


 ルイが嬉しそうにガッツポーズを見せた。

 そして、サキとハイタッチ。


あかり「……なによ、ほとんどサキのおかげじゃない」


 あかりが不機嫌そうにつぶやく。


リュカ「さあ、あかりくん。次はボクらの番だ」


 リュカが立ち上がって言った。地面に腰をおろしているあかりに手を差し伸べる。

 あかりはその手を無視して自分で立ち上がった。

 なぜ、こんなにも機嫌が悪いのか、自分でも分からない。


リュカ「ボクらのセッションを皆に見せつけてやろう!」


 ああ、きっと、このキザ男が自分のチームメイトで、事あるごとにわめき散らかすからだ。


リュカ「君はどうするんだい?尻尾の色は?

 ボクはもちろん赤さ」


あかり「ミドリよ。試合に使えるような力じゃないもの」


リュカ「分かった。今つけてあげよう」


あかり「結構よ!」


 あかりはリュカの手のから、ミドリのビニルひもを奪い取った。


 次の試合は、あかり・リュカのチームと……


かぐら「ウッス!やるッスよ!」


 無駄に腕を回しながら、かぐらが大きな声で気合いを入れた。


かぐら「ね、しおんちゃん!」


 そのままの勢いでチームメイトに声をかける。


しおん「はい、です!やるですよ!」


 かぐらと同じように腕を回しているのは、常磐しおん(ときわしおん)。

 小柄、という言葉では表せないくらい、ちっこい彼女は、このクラスの中でひときわ幼く見える。

 今も、かぐらの真似をして同じ動作をしているつもりだが、アスリートのようなかぐらの動きに対し、父母に良いところを見せたい幼稚園児のおゆうぎ感がただよっている。


ミナト「かぐらさんの能力は危ないので、使用禁止です」


かぐら「マジッスか!でもそんな気はしてたッス!問題ないッス!フィジカルは強い方ッス!」


 なんでも切断する能力……このようなレクリエーションはもちろん、訓練の場でも使用が難しい能力である。


ミナト「しおんちゃんの能力も……」


しおん「マジですか!フィジカル雑魚の私には、大問題です!」


ミナト「……いえ、禁止まではしません。非常に危険……

 とってもあぶないから、気をつけるんだよ」


あかり「同い年だから、やさしく言い換えることないのよ」


しおん「はい、です!」


 ぴょこん、と、しおんは手を上げて答えた。

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