表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の手は祈りの形をしていない /異能力を使って将来犯罪をおかすと隔離教室に入れられたボクら(でもボクの異能力、幻聴が聞こえるだけで……)  作者: 陽々陽
007_レクリエーション_クロスコード・デュエル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/62

007_2

ユウ「えと……

 ルール説明、します!」


 校庭。

 ジャージ姿のクラスメイトに向けて、ユウは声を張り上げた。


ユウ「さっき、くじで決めた2人組に分かれてください。

 その2人がチームになります」


エレナ「……ふん」


こはく「……」


 顔を逸らしたまま2人が並び立つ。くじの結果、この二人がチームになったのだ。


ノクス(なんとも、チームワークが期待出来そうだ)


ユウ「相手の陣地にある旗を取ったチームが勝ちです。

 妨害はアリですが、直接の攻撃はダメです。

 皆さんには、この尻尾をつけてもらいます」


 ユウは、手に持ったビニルひもを掲げた。

 ビニルひもは、赤と緑の2種類がある。


ユウ「こんな風に」


 ユウはお尻の前に垂れている尻尾を見せた。

 端をジャージのズボンに挟んでいるだけなので、引っ張れば抵抗なくするっと抜けてしまう。


ユウ「えと……」


ミナト「異能力は使用可能ですが、使用する人は赤色の尻尾をつけてください。

 赤色の尻尾は取られると退場です。


 異能力を使わない人は、緑色の尻尾をつけてください。

 緑色の尻尾は、自分の陣地では取られません。相手の陣地だと取られますが、退場にはなりません。

 自分の陣地の旗まで戻って、もう一回尻尾をつけたらゲームに戻れます」


 ミナトの助け船に、ユウは目で感謝を伝えた。

 ゲームのルールを決定する時にも、ミナトはユウをサポートし細かい部分を調整していた。


トーマ「そう、これが、クロスコード・デュエル!」


ミナト「~交錯する異能者の競演~」


 トーマとミナトが、いつも通りの握手。


エレナ「ふむ。このゲームに相性の良い異能力が、一方的に有利にならないようなルールなのだな。

 私は当然、異能力を使うので赤の尻尾を使おう。お前は緑にすると良い」


こはく「あ?なんで?ウチも異能力使うんですけど?」


エレナ「ふん」


 第一試合。

 エレナ&こはく VS トーマ&内気な少女。

 内気な少女のみ、緑の尻尾だ。他の3人は赤の尻尾をつけている。


 コートはそれほど広くない。10m四方のスペースをさらに敵味方の陣地に2分している。


ミナト「では、ケガの無いよう気をつけて。

 開始!」


トーマ「デュエル・クロッシンッ!」


 ゲーム開始のかけ声(非公式)と共に、トーマが手首内側の絆創膏を剥がした。

 その下には大きな傷口。

 ぞろり、と傷口から赤いこぶしくらいの赤黒いものが這い出した。


トーマ「クリムゾン・コード!」


 赤黒い、血液のかたまりは、トーマの周りをグルグルと這い回る。


エレナ「トーマは私がおさえる。お前はあっちだ」


こはく「あ?指図すんなし」


 文句を言いながらも、こはくはトーマのチームメイトの少女の前に立ち塞がった。

 怯えているのか、少女は自陣で縮こまっているだけだ。目だけが、キョロキョロと周りをうかがっている。


こはく「……これ、マークする必要ある?」


 そういえば、この少女だけ名前を知らないな。こはくは、ふとそう思った。

 この子だけ自己紹介をしそびれて、それっきりになっていたんだっけ。


エレナ「油断するな、そっち行ったぞ!」


こはく「わっ、と」


 いつの間に来たのか。足下からトーマの血液のかたまりが躍りかかる。

 飛び退いてなんとか尻尾を守ったものの、着地がコートの外になってしまう。


こはく「あれ?場外はダメなんだっけ?」


エレナ「失格だ、バカもの!」


 エレナは加速した。チームメイトのこはくが失格になった今、2人に攻められたら勝ち目がない。

 いや、それどころか。

 トーマの血液がエレナたちのフラグに向かって移動を開始している。

 ここから勝つには、この一瞬でトーマの尻尾を取って退場させるか、相手フラグを奪って決着をつけるしかない。


 トーマは、エレナが加速しようとしたのを見て、一瞬の判断で後ろに飛びのいていた。

 いかに加速したとて、数歩先のトーマの後ろに回り込むには時間が足りない。

 相手のフラグはさらに遠く……


トーマ「取った!」


 エレナがトーマの尻尾に手をかける前に、トーマの血液がフラグにたどりついてしまっていた。


ミナト「トーマチームの勝利!」


 攻防は一瞬だったが、血液を見事に操ったトーマに拍手が起こった。


こはく「へー、これ、血かあ……

 グロ……いやちょっと、かあいい?」


 こはくは、赤いスライムのようにぷるぷるしているトーマの血液に興味津々だ。


 エレナはため息をついた。


エレナ「いいか、場外に出たものは失格だ。次は気をつけろ」


こはく「……ウザ……」


エレナ「なにか言ったか?」


こはく「……今の試合、わたし悪くなくない?

 エレナ先輩がトーマおさえるっつったのにさ」


エレナ「別に、どっちが悪いなんて話はしていないが?」


こはく「あ?

 ……ちょっと油断してたから、悪かったなーって思って言ってんのに……」


エレナ「じゃあ反省すると良い」


こはく「……」


ノクス(おお、ユウ、見ろ。あの2人、バチバチだぞ)


ユウ(ノクスってさ、ケンカしてる人を見るの、好きだよね)


ノクス(おう。楽しい)


ユウ(性格悪いよね……)


ノクス(……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ