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異形の領主〜追放された俺はユニークスキルで戦国を駆ける〜  作者: 葵 直虎
第一章 追放とは新たなる旅路
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第七話「決闘、そして名を刻む」

初投稿です。

宗二が左馬之助を留めておけたのも束の間。

砦の柵が悲鳴を上げる。


敵兵は次々と乗り越えてくる。

若者たちは必死に食い止めるが、徐々に押し込まれ始めていた。


「まずいな……!」


宗二が苦い顔をする。


朔也は冷静に、しかし焦りを押し殺して考えた。


(このままじゃ持たない。だが、砦を離れて突っ込めば、敵兵に囲まれて終わる……)


どうする?


どうやって、あの大将——日比野左馬之助の前まで辿り着く?


朔也は深く息を吸い、叫んだ。


「全員、後退しろ!」


突然聞こえた声に、砦の兵たちが驚いた顔を向ける。


「わ、わかった!」


一斉に砦の中央へ後退を始める。

一見、勢いに負けて逃げて、総崩れに見えるその動き。


敵兵たちは歓声を上げ、砦へなだれ込んできた。


——そのとき。


「今だ!」


朔也は脇道から一気に走った。

敵兵たちの動線が砦の中心に向かったことで、左右の守りがガラ空きになった。


小さな隙間を突き、敵兵の間を駆け抜ける。


何度も槍が飛んできた。

それをかわし、払い、突き進む。


(目指すは、大将——!)


日比野左馬之助が、馬上から砦を見下ろしていた。


「なんだ、敗走か? 小賢しい!」


左馬之助が笑う、その瞬間。

朔也は砦の柵を蹴って跳躍した。


宙を舞いながら、叫ぶ。


「日比野左馬之助......勝負だ!」

「な、なんだこの小僧は......!?」


——発動条件確認。対象:知性あり

——スキル【決闘領域】、展開


空間が歪む。


朔也と左馬之助を中心に、周囲数十メートルの領域に隔離された。


砦で戦っていた兵たち、敵兵はお互いがぶつかり合っているため、突如として消えた二人には気づいていない。


———


「ここはなんだ....」


「ここは俺の力、決闘領域の生み出した、俺とお前が一騎打ちをするための場所だ。周りの奴らからは俺たちの姿は見られず、邪魔もすることができない」


朔也は左馬之助の疑問に答えた。


「そんなことが起きるとは.....何か特別な力をお前は持っているのか。しかし、この俺に一騎打ちをしてくるとは.....なんとも、面白い小僧だな!本気で勝てると思っているのか...?」


左馬之助は初めは戸惑いつつも、目を見開き、愉快そうに笑った。


「当たり前だろ!お前を倒して、おれは......あの砦を、仲間たちを守るんだ......!」


「そうか.....なら本気で相手をしてやらないとな。名前はなんだ?」


「神谷朔也だ!」


「そうか...... それでは、いくぞ!」


馬から飛び降り、剛力の大太刀を構える。


刹那。

左馬之助が踏み込む。

巨漢とは思えぬ速さだ。


大太刀が唸りを上げて、朔也を叩き潰そうと迫る。


「——っ!」


朔也は槍で受け止めるが、腕に痺れる衝撃。

左馬之助の怪力に、じりじりと押されていく。


——《勝機視界》、発動

——視覚化:右脇腹、赤。


(勝機視界のおかげで、あいつの弱点は見えてるんだが..... この力と速さのせいで反撃する機会が作れない。まずい、押し負ける!)


二撃目。

三撃目。


朔也は必死にかわし、受け流すが、限界は近かった。


(このままじゃ……!)


そのとき——。


朔也の中に、閃光のような感覚が走った。


【新スキル解放:《未来一閃》】


——数秒先の未来を視る力。


朔也は、次の瞬間、左馬之助が振るう刃の軌道を“見た”。


(この力であいつの弱点に打ち込める……今だ!)


全身の力を集中させ、朔也は一歩踏み込む。

左馬之助の刀が振り下ろされる直前、その刃の死角へ——飛び込んだ。


「なっ……!」


驚愕の表情を浮かべた左馬之助の脇腹へ、朔也の槍が深く突き刺さる。


「——これが、俺の覚悟の力だ!」


「ぐぅ...... こんな小僧に俺の弱点が見抜かれてるなんて。くそっ......」


豪快なうめき声と共に、左馬之助は膝をついた。


———


決闘領域が解かれ、空間が元に戻る。


砦に沈黙が訪れた。


砦の兵たち、敵兵たちが固まって見つめる中、

左馬之助は血を流しながら、うつ伏せに倒れたまま言った。


「……神谷……朔也……か……」


朔也の名を、深く胸に刻み、左馬之助は意識を失った。


「左馬之助さん.....あんたなんで倒れてるんだ...」

「もしかして、あの小僧がやったのか?......一時撤退だ!」


周囲の敵兵たちは総崩れになり、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。


砦の中央。

朔也は、静かに槍を地に突き立てた。


「……勝ったぞ」


宗二が駆け寄り、無言で朔也の肩を叩く。


そして、にやりと笑った。


「よくやってくれた、朔也!これで、この砦も——いや、この地も、お前のものになるかもな」


焚き火のような歓声が、砦中に広がっていった。

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