表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異形の領主〜追放された俺はユニークスキルで戦国を駆ける〜  作者: 葵 直虎
第一章 追放とは新たなる旅路
2/49

第二話「野盗と決闘」

初投稿です。

倒した妖獣の肉を焼き、腹を満たしてから三日が経った。


朔也は山中で暮らしながら、スキルの性質を自分なりに探っていた。


——【決闘領域】。

一対一の空間を強制展開し、勝つか負けるかがはっきりする戦いを創り出す能力。

ただし、発動には「心からの覚悟」が必要。

ふざけ半分では起動しない。それは、あの夜の経験で身に染みていた。

加えて、領域内で使える力があることも判明した。


——【勝機視界】

数秒間だけ相手の防御の隙・心理的動揺を色で視覚化してくれる能力。

しかし、実力差や相手に隙が生まれなければ簡単には発動しないようだ。



「これは使い方を誤れば……死ぬ」


だが、同時に思う。


(このスキルさえあれば、俺はどんな強敵にも誰からも邪魔されずに勝つ可能性が作れる)


生き抜く鍵。それが今の彼にとっての「決闘」だった。


———


山を下り、小川沿いに進んでいたときだった。


「よう、小僧。随分と物騒な顔してるな」


木々の陰から現れたのは、野盗の一団だった。

五人。全員が刃物を手にしている。


「ほう……竹槍か? それで抵抗するつもりか?」


「別に。逃げるつもりもない」


朔也の声は冷静だった。


だがその目には、あのケモノと戦った夜と同じ色が宿っていた。朔也はもう戦い抜く覚悟が決まっていた。


「おいおい、冗談だろ? 一人で五人と……」

「こいつは何を言ってるんですかい...?一人で五人相手できるとか自分の実力もわからないんですか、こいつは」


野盗たちが好き勝手に笑っている中、ふと朔也にだけ聞こえた。


——発動条件を確認。対象:知性あり。

——スキル【決闘領域】、展開。


「なんだ……!?」


突如、世界が凍りついた。

動いているのは、朔也と——その中で一番凶悪そうな男、野盗の(かしら)だけ。


「おい!お前、ここは……何だ?おい、お前たちおれの声が聞こえねえのか!?」


「お前と俺は、今この場で決着をつける。逃げも隠れもできない。……覚悟しろ」


「ふざけやがって!」


男は大太刀を振り回す。

朔也は冷静に見極め、足を滑らせるように前へ出る。


(想像以上にできるのかこいつ。速い……でも、あの獣と比べれば、遅い!)


熊との戦いを経た体が自然と動く。

そして、ほんの一瞬。

男が見せた“隙”が、朔也の視界に浮かんだ。


——《勝機視界》、一時的発動。

——相手の隙を視覚化:左腰の下、赤。



「もらった!」


朔也の竹槍が、男の脇腹に深く突き刺さる。

息が漏れ、男の目から力が抜けた瞬間——


——スキル解除。勝者:神谷朔也。


世界が動き出す。

野盗の残りの四人が目を見開いた。


「急に頭とあの小僧が消えたと思ったら......お前、カシラに何しやがった!?


「か、頭が……!?」


「まさか、こいつ術でも使えるのか!?」


「に、逃げるしかねえ...... こいつは只者じゃねえ!」

「あのぉ......女は置いてくんすか?」

「馬鹿言うな!俺たちの命の方が大切だろが!置いてけ置いてけ」


と言い出して、野盗たちは逃げ出した。


————


残されたのは、朔也と、倒れた男。そして——木の陰からそっと覗く一人の少女。


服は泥と血で汚れ、足元は縄で擦れた痕が赤く腫れていた。しかし、その髪色は綺麗な橙色であった。

怯えた目で、だが一歩だけ、彼女は朔也に近づいた。


「怖いけど……でも、一人は、もっと怖い。お願い……一緒にいさせてほしいです」


朔也は無言のまま、彼女の足に残る縄を解いた。

そして、ごくわずかに、微笑んだ。


「……わかった。とりあえず、安全な場所に行こう」


その一言に、少女の瞳がふるえた。

そして、かすかに光を宿した。


少女の名は——(あかね)

これが、朔也の最初の“仲間”との出会いだった。

面白かった!続きを読んでみたい人はぜひリアクション、コメントよろしくお願いします!

定期的に更新しますので、ぜひブックマークよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ