第十八話 「雷鳴一閃 決着」
初投稿です。
——スキル解除。勝者:神谷朔也。
静寂が砦を包む。
雷堂は一歩、二歩と後退し、しばらく朔也を見据えていた。
「……見事だ、小僧」
低く、よく通る声が砦に響く。
剣を収めた雷堂は、微かに口角を上げた。
「まだまだ力量には開きがあるが……それでも、確かに、光るものを感じた」
朔也は肩で息をしながら剣を収めた。
その目はまっすぐ雷堂を捉えている。
「お前たちのことを、少し見直した。——だが、俺自身が動くのはまだ先だ」
雷堂は背後に控えていた小柄な影に視線を向ける。
「舞」
「はい、雷堂さま」
朔也たちの前に進み出たのは、一人の少女だった。
細身の体に忍び装束を纏い、整った顔立ちに涼やかな瞳を宿している。
「こいつは俺の妹分だ。名は舞。俺の目と耳として、しばらくお前たちと行動させる」
朔也は驚きに目を見開く。
「義妹……? 本当に、俺たちに?」
「ああ。舞はくの一として鍛え上げてある。腕は立つし、気も利く。……まあ、お前たちが妙な真似をすれば、容赦はせんがな」
最後ににやりと笑い、雷堂は剣を背負い直した。
「俺はこれから領主へ報告に戻る。……小僧、舞を頼むぞ」
そう言い残して、雷堂は踵を返す。
砦の者たちが見守る中、雷堂は静かに去っていった。
舞は深く頭を下げると、朔也たちに向き直った。
「雷堂さまから命じられました。これから、神谷朔也さまにお仕えします。どうぞ、よろしくお願いいたします」
礼儀正しい口調に、朔也は苦笑しつつも応じる。
「そんな畏まらなくてもいいよ。あれば呼び捨てにしてもらって大丈夫。よろしく、舞」
「それなら...よろしくね、朔也」
隣で見守っていた宗二と茜も、ほっとしたように微笑んだ。
こうして、砦には新たな仲間——舞が加わったのだった。
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