表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異形の領主〜追放された俺はユニークスキルで戦国を駆ける〜  作者: 葵 直虎
第二章 順調とは新たなる災難
15/49

第十五話 「雷堂を目指して」

初投稿です。

戦場は、なおも激しさを増していた。


砦軍の兵たちは必死に剣を振るい、宗二の指示のもと、劣勢を跳ね返していた。

宗二は高台に立ち、冷静に戦況を見つめながら的確な指示を飛ばしていく。


「左翼、少し下がれ!中央を押し上げるんだ!」


宗二さんの声が飛ぶたびに、兵たちの動きは的確になり、じわじわと領主軍の陣形にほころびが生まれていった。


朔也もその中心で、茜のかけた式神の加護を活かしながら剣を振るう。

体の切れが普段とは段違いだった。


「……これ、すごい。体が、勝手に動くくらい軽い!」


彼はその軽さを実感しながら、次々と敵兵を打ち倒していく。


——だが、敵の数は多い。


「くっ……!」


目の前にはまだ、分厚い兵の壁。雷堂へ辿り着くには、この壁を突破しなければならなかった。


そんなとき——


「朔也、もう一度、お願い……!」


茜が震える声で呼びかけた。


振り返ると、彼女は再び小さな狐を呼び出し、必死に祈るような目でこちらを見ていた。


再び身体に力がみなぎる。

心臓が高鳴り、視界が開けたような感覚。


——これなら、行ける!


「ありがとな、茜!」


朔也は剣を握り直すと、仲間たちに声をかけた。


「道を開くぞ!俺に続け!」


「おう!」

「ついてく!」


声が返ってくる。砦の者たち、村の者たち。かつては寄せ集めだった彼らが、今や一つにまとまっていた。


そんな中、朔也はふと後方を見やった。


そこでは、村人たちが驚くべき粘りを見せていた。

戦闘経験こそ浅いものの、彼らは互いに声を掛け合い、宗二の指示をしっかりと守りながら防衛線を支えていた。


特に一人、がっしりとした体格の若者——庄兵衛が、人々をまとめながら戦っていた。


「おい、下がるな!後ろから援護するぞ!」「怪我人は下がれ!」


的確に仲間を動かすその姿は、まだ粗削りながらも、指揮官としての素質を垣間見せていた。


(あいつ……きっと、これからの砦を支える存在になる)


朔也はそう確信し、再び前を向く。


——突破しなければならない。


朔也を先頭に、砦軍の精鋭たちは一直線に敵陣を切り裂いた。


敵兵たちは、朔也の速度と剣技に追いつけず、なす術なく倒れていく。


そして——


ついに、雷堂の前にたどり着いた。


青い髪を風になびかせ、静かに立つ男。

その双眸が、興味深そうに朔也を見据えていた。


「ここまで来たか、小僧」


雷堂の口元に、わずかな笑みが浮かぶ。


その瞬間、空気が一変した。

雷堂の周囲から、バチバチと雷鳴にも似た音が漏れ始める。


(なっ……これが、宗二さんの話していた雷の力……!)


思わず、朔也は一歩足を止めた。


皮膚にまとわりつくような空気の重み。

耳鳴りのような音圧。

そして、肌に刺さるような静電気の気配。


宗二から話には聞いていた。

だが、実際に目の当たりにすると、想像を遥かに超えていた。


(あれほどの力を持つ相手に……俺は、勝たなきゃならないんだ)


剣を握り直す手に、自然と力がこもる。


雷堂との戦い——それは、これまでの戦いとは次元が違うことを、本能で悟っていた。


そして、戦いの火蓋は切って落とされた。

面白かった!続きを読んでみたい人はぜひコメント、高評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ