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異形の領主〜追放された俺はユニークスキルで戦国を駆ける〜  作者: 葵 直虎
第二章 順調とは新たなる災難
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第十一話 「新たな力と砦の未来」

初投稿です。

さらに数日が過ぎた。


砦には、活気が満ちていた。


「ふっ……!」

「よし、そこだ、もう一度踏み込め!」


広場では、宗二が剣を握る若者たちに指導を行っていた。

村から来た農民たちも、今では槍を手にし、訓練に汗を流している。


彼らの顔には、不安よりも、確かな希望の色が濃くなっっていた。


朔也はその様子を見ながら、ふと広場の隅に目を向けた。

そこでは、茜が一人、深呼吸を繰り返していた。


「茜、調子はどうだ?」

朔也が声をかけると、茜は顔を上げ、はにかんだように笑った。


「うん、たぶん、少し……感じられるようになったかも... でも、式神ってどういうものなんだろうね」


茜は胸に手を当てながら答える。


「確かに...何かわからないものを召喚するのは難しいんじゃないか...? 何か守り神みたいなものとかあったりしないのか?」


「うーん... そういえば、村の近くに祠があって、そこにはお狐さまが祀られていた気がする...!」


「そしたら、狐を想像してみるのがよさそうだ」


朔也と茜が試行錯誤しながら、話し合っている姿を見て、

近くで腕を組んで見守っていた宗二が、うなずいた。


「確かに、式神の姿を想像するのは大切だな。お前の【式神契約】は、感覚がものを言う。まずは、何を呼びたいのか想像して、そして契約する流れをつかめ」


「はいっ」


茜は真剣な表情で再び目を閉じる。

呼吸を整え、集中する──。


やがて──彼女の背後に、ふわりと白い光が集まった。

小さな狐のような霊体が姿を現す。


「……!」


朔也は思わず声を上げそうになったが、ぐっと堪えた。


「まだ微かなものだが……契約の第一歩だな」

宗二が静かに言った。


「やった……私、できたんだ……!」


茜の瞳に、喜びと涙が滲んでいた。


───


その夜。

朔也、茜、宗二、砦の古株たちで、集会を開いていた。


「……皆、よくここまで頑張った。

砦の修繕も進み、見張り台もできた。

畑も広げられたし、十分やれている」


宗二が静かに告げると、兵士たちも村人たちも、誇らしげに胸を張った。


「みんな、ここまで砦や村を発展させてくれてありがとう。これからもより一層力を合わせてやっていこう!」


(ここまで来られたのは、一人の力ではない..... 皆が力を合わせたからだ……)


「おぉ!」


ふと、隣を見ると、茜が式神の小さな狐を指でつついて遊んでいた。

無邪気な笑顔に、朔也も自然と頬を緩める。


(だけど──)


朔也の胸には、わずかな不安もよぎっていた。


この砦の噂は、やがて周囲に広まるだろう。

変わった連中が砦に集まっていると、警戒もされるはずだ。


「……気を抜くなよ、朔也」

宗二がぼそりと呟いた。


「前の襲撃から一ヶ月以上が経った...。そろそろ、次の戦いがあってもおかしくないぞ。おそらく、前回以上に激しい戦いになるだろう」」


「……はい」

朔也は真剣な顔で頷いた。


───


その翌朝。

見張り台に立っていた兵が、慌てて走り込んできた。


「お、お頭! 砦の北で、見慣れない兵がうろついているとのことです!」


「……来たか」

宗二が低く呟いた。


「間違いないな。近隣の領主が、こちらの動きを探りに来ている」


朔也は拳を握った。


(この砦は、まだ小さい。それでも──この場所を、皆を守り抜く)


砦に、新たな試練が迫っていた。

面白かった!続きを読んでみたい人はぜひコメント、高評価よろしくお願いします!

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