登場人物紹介(ジュリ・オ・イルシアその1)
ジュリ・オ・イルシア(16)
162cm51kg B85W58H83(「器」の身体スペック)
金髪碧眼、髪は腰の手前まで伸びるほど長い。目鼻立ちは極めて整っているが、男とも女ともどちらとも言えそうな風貌。人間離れした神々しさまで感じさせるほどではあるが、本人の性格上存外親しみやすい印象ではある。
身体は女性のそれであり、実はかなりスタイルが良い。身体の線を隠す法衣を着ていると、性別の判別は難しくなる。
「御柱」と言われる存在であり、イルシアの国家の象徴にしてトップ。人間離れした知能を持ち、極めて短時間で日本語をほぼマスターした。これにはからくりがあるのだが、それについては後述。
半面、性格は天真爛漫。時として幼さまで感じるほど。国のトップに相応しい判断能力と思慮は備えているが、好奇心から予想もつかない行動に出ることもある。
魔法については攻撃的なものは使えないが、その他の魔法は非常に高い精度で使える。半面、燃費は非常に悪い。魔力の容量はぶち抜けているが、その効率の悪さも圧倒的である。これは、彼女が御柱として「未完成」であることに由来している。
生まれてから16年間のほとんどを王城の「繭の間」で過ごしていた。そのため、外の世界に強いあこがれを持っている。そして「御柱」という役目に苦痛を感じていた一方、自分がそれをやり遂げねばならないという責任も感じていた。
イルシアを日本に転移させたのは彼女の意思によるところが大きい。実はその気になればモリファスも「死病」も何とかできる余地があったのだが、それには後述の「継承の儀」を受けることで自我を殺すことが必要だった。それを避けるために次善策としての「大転移」を発動したというのが本件のそもそもの始まりである。
なお、仮に全てが決着した場合「御柱」という役割を捨てる気でいる。勿論イルシアの人たちを一通り救い、帰還とその後の問題解決のメドが立つことが前提。あくまで彼女のアイデンティティは「ジュリ・オ・イルシア」という一個人であり、クト神の代行者としての「御柱」にはない。
実は彼女の肉体は人工物である。その本体は巨大な線虫状の魔法生命体(厳密には違うが現在はこのようにしておく)。この生命体自体には実体がなく、触っても通り抜ける。
この魔法生命体自体もまた人工的に造られたものであり、イルシアの御柱が代々自分たちの意識と自我をダウンロードするために最適化されたものである。
ただしダウンロードできるまでには時間をゆっくりかけて現世に慣らしていく必要がある。その過程で知識などを徐々にインストールしていき、最後の「継承の儀」で人格をダウンロードするといった具合である。
この際に、仮初の人格は消滅する。歴代の御柱にもそれを受け入れがたいと感じていた人物は少なくなく、彼女の母親もまたそうであった。
ただし、力で圧倒的に上回る先代に敵うことはないため、今まで反抗が成功したことはなかった。ジュリの場合は何らかのトラブルにより先代が継承の儀の前に死んだため、14歳を超えて仮初の人格が「生存」した初のケースである。
とはいえ、能力的には「完成」されていないため、非常に燃費が悪くなっている。肉体の器と、それを動かす魔法生命体が定着しきっていないため、一日の多くの時間を「寝て」過ごさねばならないのが現状である。
これを補完する方法こそ「同化の法」である。他者の生命と魂を魔法生命体にリンクさせることで、リンク元の魔力と生命力を補うという禁術である。
「魔紋」もこれに原理としては極めて近い。ただし、対象が御柱に限定されているという点と、準備にそれほど時間がかからない点は異なる。
また、リンク対象の魔力が相当高くないとどっちの寿命も大幅に縮むというデメリットも抱えている。なので、例えば町田とノア、綿貫とアムルがこれを執り行うと幸福な結果にはならない。ゴイルが市川にこれを提案したのは、市川の魔力がノアをも凌駕するほどのものであったからである。
ただし、もう一つのデメリットが存在する。それは次話で明かされることになるだろう。
彼女の身体は強化された魔族ベースである。人工生命体ではあるが性行為含めて出産は可能であり、医学的には一般人と大きな違いはない。実際、神族の血を引く「デミゴッド」はメジアに存在している(ある主要・重要キャラクターもこれに類する)。
性別は女性だが、「繭の間」で肉体を操作すれば男性にも両性具有にもなれる。女性の姿でいるのは歴代の御柱がそうしてきたのを踏襲していただけに過ぎない。
このためか、市川に抱いている感情が親愛の情なのか、恋愛感情なのかは本人も理解できていない。成り行きで市川を「夫」としたが、それがどのような意味を持っているか理解しているかはやや怪しい。
趣味は特にないが、大転移後は外の世界をできるだけ知りたいと考えているようだ。
彼女についてはまだ明かしていない設定も多々あるが、残りは「その2」に譲る。




