喜多羅結衣の独白
私、喜多羅結衣は親友の美波ちゃんから届いた画像を凝視していた。
画像には仲良さそうに歩く男子と女子2人が映っている。
「これ、りょーくんと岩倉さんと一ノ宮さん……だよね」
りょーくんこと涼太君は覚えていないみたいだけど岩倉さんと一ノ宮さんは十中八九小学校の同級生だ。多分当時からの好意があったんだろうな……。
二人の誘いにりょーくんが割とそっけなく返しているのを見かけてはいたが、休日に3人で出かけるぐらいまで仲良くなっているとは思わなかった。
「ゆっくり幼馴染に戻れたらと思っていたけど、ゆっくりはしてられなさそうだなぁ」
あまりの衝撃にそんなことを呟いてしまう。
『はじめまして、西園涼太です。』そんな一言共に過去の自分の愚行を思い知らされた日から早2ヶ月と少し。これまで昔みたいな関係に戻りたいと願いつつ決定的な拒絶が怖くて中途半端な関わりになってしまっていた。
美波ちゃんも明らかにりょーくんを狙ってる。それに加えて小学校時代を知る2人。
そもそもりょーくんの根っこの部分は変わっていない以上、高校生活が長くなるにつれてライバルがさらに増えるのは目に見えている。
「しっかりと自分の罪を見つめ直して、覚悟きめなきゃ。」
そう決めた私はペンを持ち日記帳を開いた。
ここから記すのは私にとって一番幸せな時だったはずの時間と、馬鹿で幼かった私がその幸せを完全に手放してしまったのを自覚するまでのお話。